果物収穫1
プレイヤー達はご飯を食べていた。
「近づくな。このうんこ!」
ジャクソンはキツネに襲撃されてる姿をプレイヤー全員に見られて馬鹿にされている。そしてキツネの臭いが残ってるので避けられている。
「ザック、ジョージ。そろそろ準備は良いな。」
ウィルが2人と何かを企んでいた。
「おら、汚いんだよ!」
ザックとジョージはジャクソンをトイレに呼び出してボコボコに殴っていた。
「アニマルホーダーが動物の排泄物に愛されるなんて願いがかなって良かったな。」
「そんなわけ…」
振り返って言ったのはウィルだった。このゲーム会場の中でも力が空間も人も支配していた。
「ザック、ジョージ、殴るのはこの辺にしとけ。こいつに死なれたら困る。俺も死ぬことになるからな。あれを持ってこい。」
ザックとジョージはモップを持ってジャクソンの体をこすった。
「ちょうど臭いからきれいになって良かっただろ。」
3人はジャクソンにモップを投げ捨ててトイレを出た。
「何が間違ってるんだ。」
一人取り残された彼は自分の今までの行動が間違ってたのか考えた。
「2人ともありがとう。最高なパフォーマンスだったよ。」
ウィルは誰かを虐げて楽しむのが好きだった。
「次のゲームの準備は出来たのかしら?」
イザベルがジェイに聞いた。
「もうそんなの一人で終わってる。」
「私は出る出番なしってわけね。どちらにせよあんたに軟禁されてる状態だから無理だけど。」
イザベルは第4ゲームの企画書を読んだ。
「あんたのゲーム最初に広大な会場を使うゲームが多いわね。」
「駄目だと言うのか?その根拠は?」
「ないけど思ったことを言ったのよ。それよりプレイヤー達の間で力関係が生まれたようね。あんたは介入するつもりかしら?」
「プレイヤー同士の関係には関わることはない。」
「そうなるとウィルと言う男をどん底に落とさないといけないわ。」
「リック・ウィザースプーンもだ。あの二人はただの悪党じゃない。今までのゲームでほとんどのプレイヤーが不平不満を言い続け理不尽な仕打ちに動揺してた。だけどあの2人には何も効いてない。少し動揺する所はあるけど疲労困憊になるレベルではない。生き残る為なら悪人であろうと冷静になるような人間ということだな。」
「何か作戦はあるのかしら?」
「あるけど、簡単に教えたらつまらない。」
ジェイがイザベルにマカロンを投げる。それを彼女が受け取った。
「私がいるとはいえ新人が受け持つ案件には少しハードルが高そうね。プレイヤーの組み合わせはどこが選んでるか分かってるでしょ?」
「情報部だ。プレイヤーの細かい情報を教えてくれのは奴らしかいない。」
ゲームごとのプレイヤー選びは毎回情報部の社員達が慎重に選んで決めている。ゲーム会場のエリアごとで担当する社員が決まっている。担当するエリアは一年ごとに変わる。情報部もゲーム推進部と並ぶ能力がかなり求められる部署の一つだ。
「これから戻る。」
「お手並み拝見ね。」
モニターにジェイが映った。
「まだゲームの時間じゃないだろ!」
プレイヤー達はご飯を食べていた為文句を言った。
「プレイヤー諸君、これからゲームを始める。」
「ゲームは今から9時からやる話だろ。」
「それよりはやくやるなんて聞いてない。」
「君達に9時にやると言ったが、9時ぴったりにやるとは言ってない。」
「いや2時間はやいだろ。」
「文句を言うならゲームで脱出させるチャンスを与えてやらないがそれでも良いのか?」
「分かったよ。やれば良いんだろ。」
ザックが言った。
「第4ゲームは果物収穫だ。今から別会場に移動してもらう。そこの扉を1回出てもらう。」
プレイヤー達は出口に出て違う部屋に入った。
「ここは果樹園か?」
「ここが第4ゲームの会場だ。ルールを説明する。」
プレイヤー達は天井に浮かぶジェイのホログラムを見た。
「オレンジ2000個、パイン200個、ブドウ1000個を指定のボックスに入れればゲームクリアとする。」
「指定のボックスってどんなものなんだ?」
スティーブンが聞く。
「オレンジがオレンジ色のボックス、パインが緑のボックス、ブドウが紫色のボックスだ。指定されたボックスに間違って他の果物を入れればペナルティとしてマイナス1としてカウントされる。さらに果物を食べた場合マイナス5個としてカウントされる。」
「何だ。今までで一番簡単なゲームじゃないか。」
第2ゲームと第3ゲームと比べれば一部のプレイヤー達にとって大変ではないと思うようになった。
「しかし例外がある。黄金のリンゴがこの果樹園に一つある。ゲーム終了までに黄金のリンゴを食べたものは食事のグレードを上げる。さらに快適に寝れるベッドも用意する。」
同期のケイジも別会場で同じやり方をしていた。
「ゲームマスター気前が良いじゃないか。」
「このゲーム、俺は乗る気だ。」
「質問ある者は手を挙げろ。」
ディーンが手を挙げた。
「リンゴ、パイン、ブドウ以外にフルーツはあるのが?」
「もちろんだ。この果樹園には黄金のリンゴを含め、50種類のフルーツがある。」
「これは面白くなってきたな。」
「第4ゲーム開始だ。」
プレイヤー達は走って行く。
「ウィル、何で着いて来たんだ?」
彼はザックのあとをつけた。
「オレンジ見つけた。」
「こっちもだ。」
「パインを取りたいがナイフでもあれば良いが。」
収穫に必要な道具が揃っていない中でゲームを進行してた為思うようにいかなかった。
「やっとナイフ発見だ。」
サーマンはナイフを見つけた。そして近くにあったパインアップルを切って収穫した。
「肝心の黄色のボックスはどこだ?」
果樹園には地図がない。記憶を頼りにボックスを見つけないといけない。
「ディーン、オレンジのボックス見かけたか?」
ロバートがオレンジの入ったかごを背負いながら言った。
「それがどこにも見当たらないんだ。」
「地図とかはあるのか?」
「ない。それにコンパスを使ってみたが全然機能しない。」
この果樹園ではコンパスが壊れてなくても機能しないように高度な設定をしている。
「オレンジのボックスどこにあるか?」
ほとんどのプレイヤーがボックスがどこにあるか分からない状態だった。
「ぶどうだ。ん?」
ジョージがブドウを採ろうとすると大量の蜂が出て来た。
「うわ、来るな!」
「ジョージのやつ、何騒いでるんだ?」
「道をあけろ!」
「うわ!大量の蜂だぞ!」
ロバートとディーンは巻き沿いになって逃げた。
「お前何で蜂なんかこっちに連れて来たんだよ。」
「知らない。これもゲームマスターの仕業だろ。怒るならあのゲームマスターに怒れよ。」
「だからと言って数万匹も連れてくるな!」
3人は必死になって逃げた。
「逃げきった。」
「俺らまで酷い目にあったぞ。」
「ここの果樹園、ただの果樹園じゃなさそうだな。」
「おい、ジョージ、お前のせいでたくさんオレンジ落としただろ。」
ロバートはジョージを責める。
「そんなこと俺に言われても。何度言ったら分かるんだ?すぐに人のせいにするな。」
「お前のような犯罪者に言う資格ないだろ。」
「ここでは誰が言う資格なんて関係。どう言う目的で集められてるか知らんが、ここいるのは俺達だけ。外の人間が言ってる側を責めることはできない。だから俺は何度でもお前に言う。」
「見つけたぞ!」
ディーンはオレンジのボックスを見つけた。
「やっと見つけた。」
ロバートはかごに入ったオレンジをボックスの中に入れた。
「規格外のオレンジが10個検出されました。よって、ペナルティとしてマイナス20個としてカウントする。」
「プレイヤー諸君、果物には許容範囲というものがある。ロバートの入れたオレンジにはカビの生えた物や皮が破けているもの落書きが描いてあるものも検出された。今後も規格外のものをボックスに入れたらペナルティでマイナス2ポイントだ。」
「ただの減点じゃないかよ。」
「畜生!」
「ここからは別行動だ。もしオレンジ持ってるやついたらロバートが大きいカゴ持ってると言ってくれ。」
ジョージ、ロバート、ディーンは別々になった。
「ここにリンゴがあるのか。」
ジャクソンは一人だった。
「ここにいたんだな。」
リックが声をかけた。
「そう言えば何で俺のこと見捨てたんだよ。」
「お前自分のことばかり考えてんだな。」
「強姦魔よりかはマシだ。」
「どうせお前が逆らったところで誰もお前の言い分など聞いてくれない。ゲームマスターにあれほど言われて懲りてないんだな。まあ良いよ。ちょうどお前に良い話がある。」
「何?」
リックはジャクソンに何かを伝えていた。
「ここに大量のリンゴが。」
ウィルはリンゴが大量になってる木を見つけた。
「何か怪しくないか。」
スティーブンが言った。
「調べた限りこのステージはトラップがそんなにない。」
ウィルは自信満々に登った。
「あいつがあんなに確信持って言うってそんなにトラップがないのか。」
木に登る彼を見た。
「早速取るか。痛い!」
「君達にまだ紹介してなかったか。このステージにはトゲの生えたそっくりな果物がある。これも規格外の果物だ。」
ジェイが大音量で言った。
「この木のリンゴが全てそうだと言うのか?」
スティーブンが聞いた。
「それは違う。混合してる。中にはいちごやラズベリーなど関係ないフルーツも一緒に混ざってる木もある。」
「やっぱりそう簡単にいかせないと思った。」
スティーブンはこのゲームの単純さを疑っていた。
「ウィル、お前残念だったな。トラップがなくて油断するなんてお前らしくないな。お前ってもっと慎重で用心深い人物だと思ったがそんな詰めが甘いところもあったとはな。」
彼は少し無言になった。
「勝手に言ってろ。俺はもっと効率の良いやり方を見つける。ここからはお前とは別行動だ。」
「バツが悪くなったようだな。」
ジャクソンは一人事を言いながら果物を集めていた。
「ディーン、何でここにいるんだ。」
「俺も果物を見つけてただけだ。パインは5個は入ったようだな。」
「カゴを見つけた。これを使え。」
ジャクソンはディーンに渡した。
「お前は何で息子を虐待なんてするんだ?」
「ムカつくから。」
「何でムカつくんだ?」
「お前には話すがあの歳なのに能力もあって何もかも上手くいって俺のできないことまでできて。それがムカついてた。」
「ついに硬い口を開いたか。俺が今惨めな立場だから話せると思ったんだろ?」
果物を収穫しながら会話をする。
「そうだ。お前のような動物から酷い目にあった奴なら俺のプライドに何も問題ないからな。このこと言ったらボコボコにするからな。」
「今の状況で俺がお前のこと言っても誰も信じないだろ。どちらにせよ言うつもりはない。俺達のことはいずれゲームマスターが話す運命にあるから。ロバートのやつも確信ついたこと言われて何も言い返せてなかったからな。」
「俺には弟がいる。今は絶縁だけど。小さい頃よく父親から弟と毎日のように比較されてた。悔しいけど弟は俺より才能もあって身長もかなり高かった。弟ばかり褒められてたし、そんな弟は俺のことを毎日馬鹿にしてた。それに出来そこないの息子はいらないと毎日虐待を受けた。殴られたり、蹴られたり、ご飯を抜きにされたり。その時の母さんはあいつの言いなりだった。あいつと離れたくなかったから。弟のことを悪く言えばあいつから愛されなくなってしまうからずっと何も言えなかった。俺のことなんてどうでも良かった。昔の俺でも大人の考えてることなんて分かってた。」
「虐待する親ってまともじゃないよな。結局そう言う人間はお前のように新たに虐待する人間を産むだけなんだよ。」
「お前が言えた口じゃないだろ。」
「つまりあの時いた息子の姿を見るとあの時のトラウマと嫉妬心が蘇ったんだろ。お前にもプライドがあったからカッコ悪い姿は息子の前には見せられなかったか。虐待受けてたなんて言えなかったんだな。」
「幸せな家庭を再構築するつもりだった。だけど結局自分で作って自分で全て壊してしまったな。」
「後悔してもお前が殺した息子は二度と戻ることはない。どんなに逃げられたって世間はお前を見逃さない。さっき動物達に襲われて思った。」
二人は果物を収穫して指定のボックスにたくさん入れた。
「ジョージ!」
ザックは彼を呼んだ。
「何だ?」
「ウィルの言ったこと本当にやるつもりなのか?」
「そうするしかないだろ。俺も殴りたい気持ちだった。だけどあいつの力は尋常じゃないしどんな攻撃でも勝てない。俺達を半殺しにする勢いだった。まさか黄金のリンゴ黙って食べるのか?」
「そのまさかだ。」
ザックとジョージはウィルに黄金のリンゴを見つけて渡すようにと命令した。
「あれよりもっと酷い目に合うんだぞ?分かってるのか?やめとけ!」
「だって考えて見ろよ。あのリンゴを食べれば今までよりも待遇が良くなるだろ。ゲームマスターから受け取った特権は奪うのは規則違反と言う決まりだ。つまり特権を利用すればあいつにいつでも反撃できると言うことだ。」
「お前にしては頭がさえるな。いつもの他責思考なお前とは違うな。」
「ゲームマスターが言いそうなことを言うな。」
「その案にのった。」
ジョージとザックはウィルを裏切りはじめた。