楽器運送1
プレイヤー達で意見が分かれる。ゲームの達成の為にジェイを待つプレイヤーもいれば、ジェイが来ないと疑ってゲームから離脱しようとしてるプレイヤーもいた。
「駄目だ!ゲームマスターはいつか来る!あいつはそこまでゲームで不正を行うようなやつではない!」
ディーン・スターキーが言った。
「たったゲームを2回もしてないのにどうして言いきれるんだ?」
スティーブン・ハンソンが言った。
「ディーンの言う通りだ。これだけ時間を過ごせばゲームマスターの傾向くらい分かるだろ?」
リック・ウィザースプーンが言った。
「スティーブンはここから抜け出す具体的な策略はあるのか?」
サーマン・ゴンザレスが言った。
「それは行動するうちに考えれば良い。」
「甘い。ゲームマスターの思うつぼだな。頭を使わない馬鹿はいつまでたっても理不尽な状況から抜け出せず文句ばかり言う。」
リックが言った。
「お前はゲームマスターとか何でもないだろ?」
「俺はスティーブンの言うことに賛同だ。たのゲームマスターは信用できない。俺はあいつ奴隷じゃない。」
ロバート・バイロンが言った。
「勝手な行動をするな!こんな砂漠で出口を見つけるのは無謀すぎる。」
「あいつは必ず俺達を判定する。」
「一人でも抜けたらここまで来た意味がないだろ。」
「分かった。10分時間を与える。もし脱出方法があるなら勝手に行動していて良い。ただし納得のいく解決策がなければここでゲームマスターを待つんだな。」
ここは小さな軍隊のようなもの。
「だから勝手に決めるな!」
「それならザックとジョージ対決だ。ザックが勝てば全員でゲームマスターを待つ。ジョージが勝ったらお前らは出口を探して良い。」
ウィルはザックに石を投げた。
「ザックが今、石を持ってる。1分以内にジョージが石をとればジョージの勝ち、ザックが石をキープすればザックの勝ち。どっちもどんな道具を使っても良い。」
「行くぞ!」
ザックの目の前には勢いよく走るジョージがいた。
「石を渡せ!」
「こっちに来るな!」
ザックは必死に逃げる。
「ジョージ行け!」
スティーブンはジョージを応援する。
「やめろ…」
ジョージがザックに馬乗りした。
「クソ!」
「もらい!」
「終了だ。」
ザックは負けてしまった。
「約束通りお前らは別行動で大丈夫だ。」
ジャクソン、ジョージ、ロバート、スティーブンは森を出ようとした。
「俺達はどうするんだ?」
「とりあえずあのゲームマスターを待つしか選択肢はない。それにあいつらが仮に脱出の手がかりを得たら俺達も利用して脱出すれば良い。」
「そうだな。逆に利用してやるか。」
残されたプレイヤー達はジェイのことを待った。6時間ジェイのことを待った。
「ゲームマスター、本当に来ないんじゃないか?俺達のこと見殺しにするんじゃないか?」
「さあ、分からないが。」
「プレイヤー諸君!」
森や砂漠の一帯でジェイの声が響く。
「ゲームマスター!」
「全員揃ってないようだな。」
「これ、俺達だけで最初からやり直しとか言わないか?」
「第2ゲーム通過とする!」
「何だか知らねーがラッキーだな。」
プレイヤー達は一安心した。
「石像に残ったプレイヤーは3日間の食事をカップラーメンとする!」
「あのクソまずいパンよりかましだな。」
「それはあのパンよりまだ良いな。」
本当に誰が食べても美味しくないパンだ。プレイヤー達はカップラーメンで喜び出す。
「なおゲーム以外の方法で脱出を試みたプレイヤーにはペナルティとして3日間ものすごい汚いトイレを掃除をして貰う。」
「クソ、お前らについて来なければ良かった!」
ロバートはスティーブン達に怒った。
「ついて来たのはお前の意思だろ!自分の行動によく責任を持て!」
「だけどここから脱出はお前が主導しただろ!」
「プレイヤー諸君、静かにしたまえ!これで第2ゲーム飛行機操縦を終了とする。次のゲームは5日後に行う。」
またプレイヤー達はテレポートさせられた。
「何でよりによってこんなことに。」
プレイヤー達は食事をした。
「お前ら、カップラーメン分けろ!」
「俺達の特権だ。」
「よこせ!」
カップラーメンを貰えなかったプレイヤー達はカップラーメンを奪おうした。
「やめろ!」
「何をやってるんだ?」
モニターからジェイが出て来た。
「君達、不正行為は見過ごさないと言ったよな。」
「ゲームだけ真剣にやれば良いだろ!ゲームではズルはしてないだろ。」
「この集団生活もゲームの一環だ。カップラーメンを食べて良いのは石像の前に立ったプレイヤー達のみだ。盗もうとしたプレイヤーはペナルティとしてトイレの便器に立って踊ることだな。」
「ゲームマスターの言うことは絶対だ。恨むなら賢くない選択をした自分達を恨むんだな。」
休憩時間だけは全員揃っていた。
「ジャクソン、トイレ掃除は進んだか?」
「人ごとのように聞くな。汚すぎて話にならん。」
「だけどそう言うお前も動物の排泄物を放置したままだろ。」
「愛玩動物と人間は違う。それよりお前何で息子のことを虐待してたんだ?」
ジャクソンはディーンに聞いた。
「虐待?気に食わないから教育してやったんだよ。」
「何がそんなに気に食わないんだ?何が教育だ?」
「多頭飼育虐待してるお前よりましだろ。お前に答える筋はない。」
「これはお前も虐待されてんだんだな?俺も同じだ。」
「勝手に決めつけるな!」
「この反応は図星だな。」
「俺の息子があのクソ兄貴に似てたからムカついてたんだよ。」
ディーンも同じように小さい頃から父親から虐待を受けていた。彼には兄がいた。勉強も出来てスポーツも万能でいつも父親から評価されてて贔屓されていた。いつも比較されて完璧じゃないディーンを毎日見て虐待していた。殴ったり、ご飯を与えないなど酷いことをたくさんしていた。彼も結婚後、前妻とのうまが合わず離婚してシングルファザーになった。彼の息子はかなり頭が良くて才能があった。それに嫉妬して毎日のようにディーンは息子を虐待した。
「お前息子に嫉妬してたんだな。とは言え虐待するような親はまともじゃないな。俺はお前に同情しない。お前を見てると俺のこと殴ってた親父のことを思い出す。あいつとは絶縁だ。俺の味方は動物だけだ。」
「味方?どう見ても動物を下僕にしてるだけだろ。お前は俺の父親と同じ。それが子供から動物に入れ替わっただけ。自分の思い通りになって欲しいアクセサリーだろ。相手がどう思ってようが関係ない。自分の気持ちを満たせてくれるアクセサリー。そうだろ?」
「お前の父親と一緒にするな。」
「お前は逮捕されてなくても人間としての根が腐ってるのは他の奴らと一緒だな。」
ゲームが再開した。いつものようにジェイがモニターに映し出された。
「プレイヤー諸君。ゲームの準備はできたか?」
「次のゲームは何だ?」
「次のゲームは楽器運送だ。」
「楽器運送?面白そうなゲームじゃん。」
リックが言った。
「リックのやつ気がおかしくなったか。」
「また場所を変える。」
プレイヤー達は再びテレポートされた。
「草原?」
「ここは地平線のような場所。」
「もしかしてまた飛行機を使うのか?飛行機はもううんざりだ。」
「飛行機はもちろん使わない。そろそろルールについて説明しよう。」
プレイヤー達はジェイを見た。
「今から3チームに分かれて行動してもらう。チームAはザック・マグワイア、リック・ウィザースプーン、ジャクソン・ストレイス。チームBはサーマン・ゴンザレス、スティーブン・ハンソン、ウィル・ムーア。チームC、ディーン・スターキー、ジョージ・クレモンズ、ロバート・バイロン。今すぐチームごとに分かれろ。」
言われるようにプレイヤー達はチームになって分かれた。
「各チーム指定された楽器をゴール地点まで品質を保った状態で届けろ。万が一、1チームでも楽器を傷つければ最初からやり直しとする。全チーム問題なければゲームクリアだ。質問を受け付ける。」
ウィルが手を挙げた。
「ゲームプレイ中各チームの進行状況は分かるのか?」
「良い質問だ。ゲームプレイ中は各チームの状況は確認は出来ない。」
「俺からも質問だ。」
スティーブンが手を挙げた。
「持ち運ぶ楽器はどんな楽器だ?」
「特に決まってない。ゲームの度に伝える。他に質問はないか?」
「ない。」
「それではゲームを開始する。」
プレイヤー達のもとに風が吹いた。そしてチームごとにバラバラに吹き飛ばされた。
「エレキギターか。それなら簡単だ。」
ザックのチームは3人でエレキギターを運ぶことになる。一人はタブレットを見てコンパスつきの地図を確認しながら誘導する。リックが誘導役になった。
「俺達はサックスか。まずケースを見つけないと危険だ。おい、そんな持ち方するな。」
サーマンのチームはアルトサックスを運ぶことになった。
「だからキーの部分を握って持つな。それなら俺が運ぶ。」
ウィルはサーマンに渡した。誘導役はスティーブンがすることになった。
「ケースがあれば楽器の衝撃は最小限に抑えられる。」
一方ディーンのチームは苦戦していた。
「何でこのデカいピアノ運ばないとならないんだ。」
何とグランドピアノだ。ディーンとロバートの二人で運ぶことになった。
「こんな重いの運ばせるなんて、あのゲームマスターは鬼畜だな。」
ザックのチームは順調に楽器を運んだ。
「ジャクソン、どうしたんだ?」
「聞こえる。逃げるぞ。」
ジャクソンは走った。
「何もたもたしてる。急げ。」
牛の大群が来た。
「リック、他のルートを探してくれ。」
ジャクソンは耳が良いのですぐに感知した。
「ルートを迂回するぞ。」
「まだあいつら追って来る。」
「隠れ屋が一軒ある。」
「どれくらいの距離だ?」
「走って15分だ。」
ザック達は必死になって走り続けた。
「あいつら楽器を壊す為だけに存在する牛だ。」
「楽器を隠せと言うのか?無理だ。このゲームは楽器を届けるゲームだろ。」
「とにかく走るぞ。」
「ここから真っ直ぐだ。とにかく走れ。」
ザック達は走った。
「変なアイコンがある。」
スティーブンが言った。
「これはアイテムのありかかもしれない。行くぞ。」
ウィルが言うように全員謎のアイコンのエリアに向かった。
「何かあの鷹、俺達のこと見てないか?」
鷹はプレオ達をにらんでいた。
「こっちに来る。逃げるぞ!」
「いやたったの1羽だ。俺達で何とかなる。」
サーマンがそのまま進んだ。
「そうだな。せっかくアイコンの近くにいるからな。」
謎のアイコンのエリアに行くと。倉庫だった。そして3人は近づく。
「ここに宝がありそうだな。」
「そんな都合の良いものあるわけないだろ。あのゲームマスターがそんなサービスするわけないだろ。」
そして小さな倉庫に近づく。
「何だ?」
倉庫に張り付いていた鷹の大群が一斉にやって来た。
「やっぱり何か罠があると思ったんだよ!この間抜けどもが!」
スティーブンが怒り出した。
「キレてる場合じゃないだろ。」
「大変だ。こいつらただの鷹じゃない。金属を溶かすくちばしを持った鷹だ。」
「だけど倉庫はすぐ近くだ。何とか押し切るしかないだろ。」
サーマンがサックスを持ちながら進んだ。
「お前ら2人は鷹を追いはらってくれ!」
「おい、無茶言うなよ!」
「行くしかないだろ。」
スティーブンとウィルで鷹と戦うことになった。
「こっちに来るな。」
サーモンは必死に楽器を抱いて守る。
「うわ!」
「サーマン!」
サーマンは転んだ。
「これくらい平気だ。それより楽器を守りぬかないと不味い。」
サックスをぶつけずに済んだ。
「入るぞ!すぐに閉めろ!」
ウィルがすぐに閉めた。
「電気をつけてくれ。」
スティーブンが電気をつけた。
「あそこの段ボール開けてみるぞ。」
スティーブンが箱を開けるとアルトサックスのケースとアイテムが入っていた。
「よし、ケースにいれるぞ。」
「サーマン、サックスやってたのか?」
「ああ、他にギターやベースとかもできる。」
「このアイテムはウォーターガンだ。そしてこれがよく分からない笛だ。あとは鳥の餌か。」
「笛はいらないんじゃないか?」
「分からない。だけどここにあるのは何か意味があるだろ。」
アイテムをカバンの中に入れた。そして彼らは倉庫を出た。
「あいつらまだいたのか。」
倉庫の外ではさっきの鷹がたくさん待ち伏せしていた。
「こうなったら餌をまくぞ。ウィル頼んだぞ。」
ウィルは勢いよく鳥の餌の袋を開けてばら撒いた。
「よし逃げるぞ!」
鷹はあっという間に餌の方に目がいき、餌を食べはじめた。プレイヤー達が手に入れたのは我が社が開発したどんな鳥でも食べたくなる餌だ。どんな鳥が食べても栄養的には問題はない。
「持ちにくいがハードケースに入れて良かった。スティーブン、ゴールまでどれくらいだ?」
「ここから行くと35分だ。モンスターとかがいなければの話だけどな。」
一方ディーン達はピアノを運ぶのに大苦戦していた。