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会社

私は会社を設立して13年目を迎えようとしてる。それにあたり今年も新入社員を迎え入れようとする予定だ。

私の会社がどんな事業をしてるかって?公には言えるような事業じゃない。世の中に蔓延る悪人達を誘拐して権限や肩書やお金などを全て奪って過酷で極まりないゲームをさせて更生させることをやっている。もちろん13年目に向かうにあたり拠点も増やしていこうと思っている。私達、裏NPO法人社会的ダスト更生プロジェクトは年々拠点を増やしていく。

「これから定例会議を行います。まずは会計部から予算計画をお願い致します。ハミルトン部長お願い致します。」

「来年度の予算案は…」

「ケイジ、あの人話し出すと長いのよね。だいたい会議の時間長くなるのはハミルトン部長の話の長さね。」

「クリスティーナ。話は長いけど彼は社長からかなり信頼を得てるやつだ。会議のやり方をよく分からない人物だけど会計部としてはかなり優秀な社員だな。」

「あんた達、私達の会計部長をそんなふうに言わないで。」

「あら、こんな所に会計部の社員がいたなんて知らなかったわ。」

「私達はあんた達ゲーム推進部と違って難しいことをしてるのよ。」

「そうかしら?そんなことを言うなら私達の仕事はマルチタスクよ。ゲームの運営から毎年新人教育もしてるし私達が前線にいるようなものよ。あなた達より背負う物が大きいわ。」

「クリスティーナ、相手にするな。会計部にゲーム推進部のマルチタスクが分からないように俺達も会計部の仕事何してるか全て分かるわけではない。特に会計部と俺達が関わる機会は少ない。」

13年目はは会計部の社員を1人雇うつもりだ。少人数で今まで回していたが流石に1人雇わないと追いつかないレベルになった。

「情報部から新拠点の情報を報告します。」

情報部は会計部と並ぶ頭脳派が集まった部署だ。情報部は会計部よりかなり社員がいる。情報部は社員やプレイヤーの情報だけを操っているわけではない。新しい拠点を作るのであればその拠点がどんな施設が作れるかもちゃんと調べている。情報部の情報収集能力は恐ろしく、社長の私でも得られない情報を調べ尽くす。情報部は我が社の中でもかなり恐れられている。彼らはどんな情報も握っているし、ゲーム推進部の社員達は情報部だけは敵に回さないようにしてる。情報部なしではゲームの運営が全く成り立たなくなる。

「次はゲーム推進部長、エンゾ・ベルモンド部長お願いします。」

「まず来年度は情報部長が言ったようにゲーム会場の拠点を増やして行くつもりです。」

「どこに増やすの?」

クリスティーナがケイジに聞く。

「俺の予想だとそろそろ西アジアやアフリカのエリアにも進出する予定だな。あのエリアは俺達の会社が開拓してない場所が多い。特にアフリカには一つも拠点がない。」

「まずは中国の重慶に新しく拠点を置きます。」

「中国にもよく拠点を置けたもんだな。これまでに北京と上海に拠点があるし。」

「管理国家じゃなくても拠点をバレずに作るのは難しいことね。そのうち政界に蔓延る連中もゲームで裁けたら楽しいけど。」

「近いうちそれも実現出来るだろうな。社長はそこまで目標にしてるか分からんが、権力でしか人を操れない弱い連中が泣きながら理不尽な目に何度もあう姿を想像すると楽しくなってくるな。クリスティーナは部下の面倒やっと見れるようになったけどな。」

「そうよ。私にかかればあの間抜けも少しはまともになったんだから。」

「クリスティーナ、成長したからもう間抜けじゃないぞ。」

ヘンリー、クロエ、太一、ジュンソが後ろの席に座っていた。

「12期生仲が良いことね。ヘンリー、あんたまだミスが多いんだから独り立ちにはあと半年はかかるわね。」

「ケイジさんにかかればもう独り立ちしてるところだけどな。」

「それも言えてるな。採用したのは俺だからな。」

「ケイジまで余計なこと言わないで。」

「拠点は他の東アジアだと東京にもう1拠点、大阪に新拠点をおくつもりです。さらにソウルにももう1拠点置いて、釜山にも拠点を置きます。ウランバートルに拠点を置くかは検討中です。」

他に台湾や香港、マカオにも拠点がある。

「はじめて中央アジアに拠点を置きます。場所はウズベキスタンのタシケントです。」

今までウズベキスタンに拠点置くことは無かった。

「南アジアはムンバイに新拠点を置く。そしてさらにパキスタンのイスラマバードにも新拠点の建設を計画する予定だ。」

「パキスタンに拠点ってこれを初めて試みよね?」

「問題は言葉が対応できる社員がどれくらいいるかだな。思い当たる社員がいなければお金の無駄だ。会計部もこの計画に全面的に協力するわけではないからな。」

「それもそうね。特にインドは言葉の数が尋常じゃないわ。うちの翻訳変換音声ソフトを使っても不自然になるわ。」

「次に東南アジアだ。」

東南アジアにはバンコク、シンガポールにすでに拠点がある。しかしまだバンコクのゲーム会場では一度もゲームが行われていない。今後バンコクに蔓延る色んな国から来た犯罪者を我が社が裁くつもりでいる。バンコクは我が社からしたら国際的で重要な拠点の一つである。

「そして規模拡大の為今年は新入社員を10人雇うつもりだ。」

「中々多い人数ね。私達でゲーム推進部に残ったの結局10人中8人よね。」

「サミュエルは情報部に行ったけどすぐに情報部からきられて誰もやりたくない部署に異動したな。」

「ティムは今も備品管理部で活躍してるわ。」

「備品開発部は同期の馬鹿力な野郎も活躍してますよ。」

「ルーカス・ガーランドか。」

「ケイジ、同期でもないのに他の部署の部下のことよく知ってるわね。」

「12期生の採用面接であいつはゲーム推進部の社員として応募してた。ゲーム推進部の基準には達成できなかったがあいつは備品開発部に向いてると思ったんだ。」

「そう言えば備品開発部って備品の管理以外何かするんですか?」

「ヘンリー、あんたね。ゲーム推進部と近い距離にいる部署のこと全然知らないのね。備品管理部は機材の開発や運送や倉庫の整理だけじゃなくて、新しいゲーム会場が出来る度にゲームの操作機材の設置や温度管理装置やフィールド管理装置、システム部も一緒に人工知能の設置もしているのよ。1年経とうとしてるのにあんたはまだまだね。」

「採用担当が来週から面接を行う。今年の採用担当もベン・ハワードとケイジ・パーカーが行う。」

「またあんたが採用担当なわけ?今度はヘンリーみたいな間抜け採用して私の直属の部下にしないで。間抜けは一人で十分なのよ。」

「ヘンリーはただの間抜けじゃないけどな。」

「身体能力が高いところだけは認めるわ。確かに雷を上手くコントロールしたり力技で機械を操作するのはあいつくらいね。」

クリスティーナは何だかんだヘンリーを信頼するようになった。

「以上定例会議を終了します。」

会議が終わると多くの社員が会議室から出る。

「社員の人数もかなり増えたな。」

「今後新しく部署を設立する予定だ。」

ケイジとクリスティーナの同期ジェイ・トンプソンが言った。

「新しい部署って何の部署かしら?そもそもその情報本当なの?それとも情報部から聞き出したわけ?」

「社長達が話してるのをたまたま聞いたんだ。誰かに聞かれて困る内容ではなさそうだけどな。」

「どんな部署なの?」

「そこまではよく分からなかった。」

「新しい部署が出来るなら私が昇進するチャンスもありそうね。」

「ケイジの次の出世は俺だな。」

ジェイはケイジとクリスティーナと並ぶ実力ある社員の1人だ。10期生で高い業績を出しているのはケイジ、クリスティーナ、ジェイの3人だ。

「10期生も12期生もポテンシャルが高すぎるわ。」

11期生、香港出身の武夢華は言った。

「半年で一人でゲーム運営をするようになった社員が12期生は3人もいるのよ。それに12期生は全体的な業績が高いわ。」

「間抜けだと思っていたヘンリーもかなり能力値が高いやつだと思っていなかったからな。」

「私達11期生は中々飛び抜けた社員がいないわね。」

「逆に10期生と12期生が飛び抜けた奴らばかりなんだよ。」

「12期生に関しては採用担当が変わったのもありそうだけどな。」

「そう言えばジェイ・トンプソンって元々成績がそんなに高くない社員だったらしいぞ。」

「そうなの?」

「聞いたことある。半年でかなり上の方に言ったのよ。」

11期生はジェイの話題で盛り上がっていた。

「太一、ゲーム運営はどうだった?」

「よくある答えを言うよ。最初大変だったけど、何とかやり遂げたよ。それに扱うプレイヤーも詐欺師連中だったからそこまで扱いは大変ではなかった。」

「全員を更生させてたのは中々の腕前だな。」

もちろんゲーム終了後は殺人をしようとしたり人のことを追い詰めようとすればかなり強い電流が走るようになっている。私の会社は更生後のプレイヤーの対処も徹底している。

「次のゲームの企画案を見ても良いか?」

「分かった。俺がジェイが教えてくれたゲームを俺なりにアレンジして新たに運営するゲームを加える。」

「的あてゲーム?金持ちのお坊ちゃまらしからぬ悪趣味のゲームを考えたもんだな。」

「先輩達には敵わないな。」

入江太一は日本の大手企業の社長の長男だ。疾走してまでこの会社に入った。まだ日本国内では彼の行方を捜している。まさかこんな非合法なやり方をしてる企業に社長の息子が働いてるなんて誰も予想がつかないだろう。

「次のゲーム会場は東京で運営してもらう。」

「初の日本勤務ですね。」

「お前が扱うプレイヤー達は日本のブラック企業の経営者達だ。」

「リストは決まってるのか?」

「まだだ。」

「経営者だけじゃなく、上にはヘコヘコして下には厳しいゴミのような奴らも一緒に扱うよ。」

「それは任せる。だけどプレイヤーの中で1人以上経営者がいるようにして欲しい。」

「分かった。情報部から思い当たるプレイヤーを探してみる。」

ジェイは太一はもちろん他の社員からも慕われてる。

「ジェイ、俺と勝負だ。」

「ヘンリー、戦えるのは俺との戦闘許可がおりてからだ。基本的に俺は部下と上司以外とは戦わない。」

「電撃波!」

ジェイはとっさにヘンリーの電気を防御した。

「ジェイ、中々の腕前だな。」

「お前も電気のコントロールが上手くなったものだな。俺はお前とクリスティーナとケイジと剣術や銃術の訓練もしてるのは知ってる。だけどこれ以上ここでは戦えない。俺と戦いたいならちゃんと戦闘許可を申請しろ。」

ジェイは基本的に無駄な戦いをしないポリシーがある。戦いは事前に決まった戦いしか基本的には受けつけない。

「ヘンリー、あんたこんな所にいたのね!」

クリスティーナがヘンリーとジェイの所に来た。

「あんた達ここで何やってたの?」

「ヘンリーのやつがいきなり戦おうとしてきたら戦闘許可がない戦いは受けつけないって言ったんだ。だけどお前の訓練でヘンリーも成長したもんだな。銃術は12期生の中ではトップを誇る成績だからな。剣術も太一に敗れてジュンソと同じ2位だ。」

「あんたは相変わらず筋肉バカね。」

「運動神経のある天才って言えよ。」

「あんたの部下もケイジの二人の部下も大したものよ。クロエ・デンゼルも最近になって一人で運営できる状態になったわ。」

私の会社ではどんどん新しい風が吹く。

「失礼します。」

私の部屋、社長室にベンとケイジが入って来た。

「話はどんなことですか?」

「あんた達が今回出した求人広告中々いいものだったわ。」

求人はダークウェブへと誘導する広告だけではなく世界のあらゆる都市にさりげなく張っている。もちろん裏NPO法人社会的ダスト更生プロジェクトだと言うことは求人には明かしていない。

「今のところ応募者が162人よ。今年の応募倍率は例年より高いわね。それに国も様々よ。この調子ならまだまだ応募はさっとしそうわね。」

「これは見込んで数字ですよ。これから伸びますよ。」

「これからどんどん応募者を増やすつもりです。」

今回からは1回応募したら辞退できないシステムになった。応募者は無条件で面接会場や試験会場に来ることを強いられる。気が変わっても一度応募したら最後まで面接と試験を全うしなければならない。

「次もあんた達に任すつもりでいるわ。腕前が良いからあんた達の給料をまたあげるわ。」

話が終わり2人は社長室を出た。

「10期生中々のメンバーね。」

私は10期生の写真を見ながら言った。

そして数週間後、新入社員の採用面接がはじまった。

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