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第55話:正義の光と影

「恐れを知らぬは愚か者よ」


 ルシフェルは手をかざし、無数の光の矢を放った。それは「堕天の残響」と呼ばれる技で、矢が触れたもの全てに闇を侵食させる。


 「ぐっ……!」カイはその場に踏みとどまるが、矢の一部が彼の肩をかすめ、闇が広がり始める。体力が奪われ、視界が歪む感覚が押し寄せる。


「これが、貴様の限界か?神託者よ!」


 広間に緊張が張り詰める中、カイが目を閉じた。次の瞬間、空気が揺れる。その姿が一瞬で消えたかと思うと、ルシフェルの側面に現れ、神速の拳を放つ。


「……速い!」


 ルシフェルが低く呟く間もなく、拳の余波が広間全体を震わせる。だが、その攻撃は彼の頬を掠めただけで終わる。ルシフェルは一歩も動いていないように見えた。


「これはただの挨拶だよ、本番はこれからだ」


 カイは再び姿を消す。音すら追いつかない速度で、ルシフェルの四方八方から次々と攻撃を繰り出す。拳、蹴り、光の斬撃が立て続けに炸裂し、空間が軋む音を立てる。


 だが、ルシフェルの姿はそこにある。全ての攻撃を完璧に避け、まるで影のように揺らぐだけだった。



【カイが互角に戦ってる!】

【いけそうな予感】

【これで負けたら世界終わるんだよな……】

【でもカイきゅん、なんか本気っぽい】

【あいつ、まだ何か隠してるよな?】

【こんな世界滅だほうがいいんだよ】



「しかし、速いだけだな……」


 ルシフェルの冷笑が広間に響く。彼の声にはまるで嘲笑の余裕が込められている。


「そうかなっ」


 カイの声と共に、一際大きな閃光が広間を包む。自然のエネルギーを操り、光の刃を生み出したカイが渾身の一撃を繰り出す。その一撃は、ルシフェルの胸元を捉えるかに見えた。


 ——だが。


「神の真似事か?愚かな……」


 ルシフェルが静かに手を挙げた瞬間、空間が裂けるような音が響いた。黒い霧がその手元から広がり、広間全体を呑み込むように侵食していく。


「『万象封殺結界アンフィニティ・クレイドル』」


 直後、カイの動きが鈍る。黒い霧が彼の足元を包み、感覚そのものが狂わされるのを感じた。


「これが我が深淵の領域だ」


 ルシフェルとカイを包む領域に黒い霧が一気に広がり、空間そのものが変質していく。重力がねじれ、時間が歪み、広間全体が異次元の風景へと変貌を遂げる。


「この領域では、時間も空間も我が意のままに支配される。貴様の未来視も瞬間移動も、ここでは役に立たぬ。」


 ルシフェルは不敵な笑みを浮かべながらカイを見下ろした。その瞳は、あらゆるものを見透かす冷たさを持っている。


「……スキル禁止より厄介だな」


 カイは苦笑いしながら、視界を巡らせた。だが、時間が歪む中でのルシフェルの動きは、まるで無限の影が絡み合うように見え、捉えることができない。


【時間と空間を支配ってヤバすぎだろ】

【マジでどうやって勝つのこれ】

【武王もつかったけど領域ってずるいよね】

【手足縛られたようなもんじゃん】

【だから人間じゃ勝てねえって】


「さて……次は、こちらから行こうか」


 次の瞬間、ルシフェルが動いた。彼の動きは肉眼で捉えることすらできず、カイの背後に一瞬で現れた。


「っ——!」


 避ける暇もなく、漆黒の刃がカイの背中を掠め、激痛と共に体勢を崩させる。その刃の余波が広間全体を切り裂き、空間を震わせた。


「これが暗黒の神、堕天の王の力だ。貴様ごときが届く領域ではない」


 ルシフェルは悠然と立ち、周囲に黒い霧を纏わせながら、不敵な笑みを浮かべた。その姿は、圧倒的な力を前にした絶望そのものだった。


 広間を覆う漆黒の闇が、ルシフェルの冷たい笑みと共に蠢いた。


 その空間は、カイにとって初めて感じる異質な領域だった。足元の感覚が狂い、重力さえもねじれるように感じる。時間が歪み、何かが確実に崩壊していく。


「たしかに悪の王を名乗るだけはあるか……」カイは一瞬息を飲んだ。


「我は6000年の時を生き、世界の理を知る者。貴様のような未熟な存在が我の前で何を成せる?」


【6000年?くそジジイやん】

【知識や技の解像度が6000てこと?】

【世界への理解度じゃね?】

【練度って考えたらバケモンだ】

【だから最初から無理なんだって】


 ルシフェルは悠然と闇の中を歩く。その動きはあまりにも滑らかで、次の瞬間には目の前に迫っていた。


 「……!」カイは瞬間移動で距離を取る。しかし、ルシフェルの動きはさらに一瞬先を行く。


「……遅いな」ルシフェルの声と同時に、その手から放たれた闇の波動がカイを吹き飛ばした。


 壁際に叩きつけられたカイはすぐに体勢を整えたが、その表情にはどこかまだ余裕があった。


「6000年って言った?」カイは冷笑する。


「そうだ。過去最強の信託者でもせいぜい3000年だったか——人間程度の修練では、我ら不滅の存在には未来永劫及ばぬということだ」


 再びルシフェルが迫る。物理法則を無視した軌道で、カイの視界を翻弄するかのように動く彼の姿は、まさに悪夢そのものだったが、カイは余裕の表情を浮かべていた。


「なら、ボクの方が上だな」


 カイは手を広げ、大地のエネルギーを吸収し始める。自然の風、炎、そして水が彼の周囲に渦を巻き、光を放ち始める。


「何をやっても無駄だ!」


 ルシフェルは空中で止まり、手を掲げると、漆黒と純白の光が彼の手元に集まった。


 それは、光と闇が交錯した「天の裁き」と呼ばれる巨大な剣だった。


 剣を握るルシフェルが一振りすると、空間そのものが裂けるような音を立て、次元が歪んだ。カイは即座に風を纏い、裂け目を回避するが、剣が振られるたびに空間全体が揺れる。


「貴様に、この剣を防ぐ術などない!」


 漆黒の刃が彼の手に宿り、広間全体に放たれた。しかし、その刃がカイの間近で静止し、徐々に逆方向へと押し返されていく。


「……なに?」


 カイの体から光のフィールドが広がり始める。それは彼を中心に球状に展開され、ルシフェルの刃を完全に弾き返し、放った当人へと戻ってきた。ルシフェルは時間を遅らせながら咄嗟に同じ剣を繰り出し攻撃を相殺した。


「我が剣の軌道を曲げた?それはなんだ……」


「これかい?……自動防御フィールドっていうらしいよ」


 ルフェルは次々と漆黒の刃を放つが、光のフィールドが輝きを増し、その攻撃を全て反転させていく。跳ね返された闇の刃がルシフェルを直撃し、彼の翼を掠めた。空間全体が光に満ち、闇が後退した。


「貴様……なんなのだ、その力は!」


 カイは静かに手を掲げ、その力を増幅させた。


「ボクはね——十二界、12000年の修練を積んだ人間だからね」


「十二界……だと、ばかな……創造神の領域になど、人間が到達するわけがなかろう!」


 ルシフェルの表情に焦りが浮かぶ。しかし、その目にはまだ余裕が残されていた。


【12000年キター!!】

【そりゃカイきゅんつえーーーーわ】

【おお!無敵防御フィールド復活か!】

【練度って考えたら神やんけ】

【どうせハッタリだろ、ありえんし】



「あんたの常識なんて知らないよ」


 その瞬間、カイの体から強烈な光が放たれる。彼の意思が、十二界を生き抜いた力が、再び広間を揺るがす。光と闇が衝突し、広間全体が激しく揺れ動いた。


 ルシフェルの笑みが消え、彼の目に僅かな焦りが浮かぶ。


「なるほど……面白い。しかし、これで終わりではないぞ!」


 ルシフェルが漆黒の翼を広げると、暗黒のエネルギーが彼を中心に渦を巻き始める。広間の壁が崩れ始め、触媒から溢れ出す闇がさらに力を増していく。


 戦いは激しさを増し、空間そのものが二人の力に引き裂かれていく。


「せっかく出した領域を壊してどうする気だ?」


「壊す?これはただの始まりだ。貴様には、真の絶望を見せてやる!」


 戦闘の激しさは頂点に達し、『万象封殺結界アンフィニティ・クレイドル』の崩壊が加速する中、ルシフェルの本気がついに解放されようとしていた。


「四堕天使よ我の元へ集え——」


 次回予告:「闇と光の境界〜四神vs神将〜」


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