『速記者と録音機』
速記者が歩いていると、録音機が倒れていました。動けないようです。一応確認しますが、普通、録音機は動きません。これはお話です。
速記者は、心優しい人でしたので、録音機を家に連れ帰って、介抱してやりました。一応確認しますが、速記者というのは、大抵、心優しいものです。もう一つ、一応確認しますが、介抱というのは、この場合、電池を入れかえてあげただけのことです。
録音機は、何度も何度もおじぎをして、速記者のもとを去っていきました。一応確認しますが、以下略。
世間の人たちは、将来害をなすことがわかっている者を助けるなんて、とうわさしました。
教訓:速記者のほうは、録音機によるテープ起こしを、敵視してはいないのです。