表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/33

乙女ゲーヒロイン、ライバルキャラと仲良くしたい。

 「楓さん、おはよう!」

 千里の道も一歩から。秋葉の親友になるには、まず挨拶から始めよう。そういう小さな積み重ねで段々と友情が芽生え…

「……」

芽生え…


 あ、あれ〜?この間まで挨拶返してくれてたのに何で?急に無視するなんて事ある?塩対応通り越して水対応だよ。

「莉愛、おはよ!って…何でそんな落ち込んでるんだ?」

「あ、葵…おはよう。別に何でも…」

「?あ、そうだ、廊下に中間テストの結果貼り出されてるけど見たか?」

 あれ、もう出てるのか。思ってたより早かったな~。

「ちょっと見てくる」



 廊下に向かうと、結果の前に人だかりが出来ていた。私の結果は…

「1位…」

 ここはゲーム通りか。まぁ勉強は頑張ったし、獲ってもおかしくない。問題はその下。

「秋葉は2位…」

 成る程、朝のあの態度はこのせいか。惜しくも1位獲得ならず、イライラが出てしまった訳だ。努力した分、悔しさもひとしおだろうな。

 このまま1位を獲り続けても、秋葉の神経を逆撫でするだけだ。それでも手を抜くつもりは無い。それ以外のアプローチをする。





「楓さん、ペア組も!」



「楓さん、移動教室行こ!」



「楓さん、あの動画見た?」



「楓さん、お昼一緒に…」

「あーしつこい!!何なのさっきから!!」

 昼休み。秋葉とお昼を一緒にしようと声をかけたら、何か怒られた。

「今日随分と話し掛けて来るけど、何のつもり?2位の私を馬鹿にしに来たの?」

「そんな事しないよ。楓さんと仲良くなりたいなって」

 2位だから馬鹿にするなんて有り得ない。だってその2位は、秋葉が努力した結果なんだから。

「私は仲良くするつもりなんて無い。じゃ、もう行くから。」

「待って!今日も図書室でしょ?」

「だったら何?」

「私も行く!」

「…は?」





 図書室には私達の他に人はいなかった。席はいくらでもあったが、あえて秋葉の隣に座る。秋葉は思いっきり顔を顰めたが、移動する訳でもなくそのまま座っている。

「何で着いて来るの」

「私も勉強したいし」

 中間テストが終わったからと気を抜くべからず。6月末には期末テストが私達を待っている。今は5月下旬、時間はあるように見えて一瞬で過ぎて行く。悠長にはしていられない。


 一緒に弁当を食べる形になる。こっちから話し掛けるけど、秋葉は殆どスルー、偶に素っ気ない返事をするだけ。

「そう言えば、もうすぐ生徒会長選挙だね〜」

「……」

「生徒会は1年生でも入れるらしいよ」

「……」

「楓さん、生徒会似合いそうだな〜」

「何勝手に話進めてんの」

「え?いや、生徒会の楓さんもいいな~って」

「それはもう聞いたし」

 食べ終わった秋葉が箸を置き、弁当を片付け始める。

「生徒会なら貴女が入れば良いじゃない」

「でも生徒会のバッジは楓さんの方が似合うと思うよ?」

 生徒会役員には専用のバッジが配られる。赤い花に金の葉のバッジ。その色合いは私より秋葉によく似合うと思う。

「生徒会自体には貴女が相応しいんじゃない?勧誘されてるんだし」

「あれ?何で知って…」

「とにかく、生徒会なんて入ってる時間無いし、入る気も無いから」

「そっか…」



 テキストを並べて、2人で勉強する。苦手教科は数学なので、今日はそこを重点的に。静かな図書室にペンと紙の音が響く。この空間はよく集中出来て好きだ。

 チラッと秋葉の手元に視線を移す。秋葉の字はとても綺麗だ。女性らしさは残しつつ、達筆って感じがする。私の字も汚くはないけど、ちょっと丸っこい。




 暫く手を動かしていると、5限の開始時刻が近くなっていた。

「楓さん、そろそろ時間だよ?教室戻ろ!」

「あぁ、もうそんな時間か…」


 教室まで戻る最中、秋葉が口を開いた。

「咲良さんって…」

「うん?」

「意外と真面目なんだ」

「い、意外とって何!?そんな不真面目に見えるの!?」

ショック。

「いや、勉強とかしてないイメージだったから」 

「えぇ…私、これでも1位獲る為に頑張ってるんだから!楓さんと一緒だよ!」

「え…」

 中間テストでは確かに1位だったけど、秋葉との点差は僅かだった。あんまり気を抜けないのが現状だ。

「だから、次の期末も負けないよ!」

そう言って笑うと、秋葉はむっとして言い返してきた。

「次は負けないから」







 放課後。帰宅途中の私は、猫ちゃんが路地裏に入って行くのを見かけた。私も後を追って路地裏に入る。

「あっお~い猫ちゃん、何処行くのかにゃ〜」

「あ?何してんだお前」

 おっとぉ…。

 そこにいたのは紅牙だった。猫ちゃんが奥にいるが、衝撃過ぎて追いかける事も出来ない。

「えっと…」

「どうせ猫追い回して来たんだろ。さっさと帰れ」

「ご、ご尤もで…」 

 紅牙の言う事は正しい。高校生にもなって猫を追い掛けて寄り道なんて、あんまり褒められた事じゃない。ここは帰った方が良い。だけど…

「だ、大丈夫…?」

 喧嘩帰りなのか、紅牙はボロボロになって座り込んでいる。顔には殴られた跡があるし、シャツには誰の物かも分からない血が付いている。

「こん位大した事ねぇよ、失せろ」

「えっ、でも…」

「うぜぇな、とっとと…」

「猫ちゃん…」

「てめ、そこは俺の心配を…ってぇ」

 殴られた頬が痛むのか、紅牙は顔を顰める。

「あ、やっぱ痛いんじゃん」

「うっせぇな…」

丁度良くそこにあった水道でハンカチを濡らし、紅牙に差し出す。

「冷やしとけば?」

「いらねぇ」

「おりゃ」

 ビチャっとハンカチを顔に押し付け、猫ちゃんに意識を移す。この子この間の三毛ちゃんだ。可愛い〜。

「てめっ」

「見てて痛々しいからちゃんと手当てしてね。じゃ!」

 


 よ~し、イベント回避成功〜!

 実はこれ、紅牙ルートのイベントだったりする。ゲームでは保健委員の私が学校まで引っ張って行き、手当てするという内容だ。まさかこんなに早かったとは思って無かったけど。そのまま放置するのも何だったからハンカチは犠牲にしたけど、イベント回避できたからまぁ良し!


感想、ブクマ、評価大変励みになりますのでお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ