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乙女ゲーヒロイン、勉強会をする。

「琉依、勉強会楽しかった?」

スマホの向こうから莉愛の圧力がかかる。

「楽し…うん…まぁ…」

「え?何その微妙な反応?」

「いや別に…」

 勉強会が決まった俺は、その事を事前に莉愛に伝えておいた。後で報告する事を条件にお許しを得たという訳だ。

「で、何したの?」

「勉強会と…お菓子パーティみたいなやつ」

「あぁ…だから微妙な反応なんだ…」

 莉愛には紫乃のチョイスのヤバさを伝えてある。椿がそれに毒されている事も。その2人との勉強会でお菓子が出て来るという事で、何となく察したようだ。

「それで、参加したのはその2人だけだよね?」

こいつ、勘が鋭い。

「いやぁ、その〜」

「…他に誰が参加したの?」

「…千百合と瑞季が」

「やっぱり!やっぱりその2人もいると思った!!もうほとんど『はな♡きすっ!』のイベント通りじゃん!!」

「はい、申し訳ありません、仰る通りで…」

 実は『はな♡きすっ!』のハーレムルートにも勉強会イベントがあった。今回の勉強会には、端野菫を除くメンツが揃っていた。

「もうっ、何でそんな事になっちゃうのかなぁ!?」

「いやほんと、すみません…」




 翌日。

 部屋でスマホを弄っていた俺に、莉愛から電話がかかって来た。

「もしもしぃ~」

「あ…もしもし琉依?あのね…」

「どした?」

何やら気不味そうに言い淀んでいる。

「え~と、そのぉ…」

「何〜?」

「何かね、私も今から勉強会…みたいなの、する事になっちゃった…」

「は?…一応聞くけど、誰と?」

「…葵と紫陽と仙李」

ふむふむ、成る程。

「…お前も俺の事言えねえじゃねぇか!!!!!!」

「ごめんなさいぃ~!!」

「しかも今から!俺は事前に伝えたのに!!!」

「わざとじゃないの!!偶然なの!!」

「あーあ、もう俺の事怒れないね」

「うぅ…ごめんなさい…」

 聞く所によると、莉愛が図書館で勉強している時にその3人に偶然会い、そのまま一緒に勉強する事になったそうだ。俺を怒った手前連絡しない訳にもいかず、自販機に行くふりをして電話を掛けてきたと言う。ちゃんと連絡した事は偉いが、男3女1て。これはちょっとやそっとじゃ許さない。直接説教ですわ。






 

 中間テストが近付いた日曜日。私はテスト勉強をしに図書館に来ていた。此処は琉依と付き合う前に一緒に来た事があるので、思い出の場所だったりする。

 空いている席を見つけ、テキストを広げる。授業も課題も完璧だけど、勉強で手を抜くなんて事はしない。秋葉とちゃんと競い合いたい。秋葉もきっと全力で挑んで来るだろうから。

 暫く進め、集中が切れて来たので伸びをする。顔を上げると視界に緑がちらつく。それは段々と近づいて来て、声を掛けてきた。

「咲良さん、こんにちは」

「花野先輩、こんにちは!先輩も勉強ですか?」

「えぇ。隣、良いですか?」

「はい、どうぞ!」

 紫陽が隣に座る。広げているのは3年生用のテキストだ。思わずまじまじと見てしまう。視線に気付き、紫陽がこちらを見る。

「どうかしましたか?」

「あ、いえ…難しそうだなって…」

その言葉を聞き、紫陽が微笑んだ。

「1年生と比べたらそうでしょうね。ですが咲良さんなら大丈夫ですよ」

「はは…そうでしょうか…」

 謙遜ではなく、本気で少し不安だ。前世では享年17歳。高校2年生だった。今までは2周目という事もあって完璧に出来ていたが、3年生の授業にはちっとも触れていない。進級して成績落ちたらどうしよう。

…まぁ、その時頑張ればいっか!




「あれ、莉愛じゃん!莉愛も勉強?」

 少し経った後。突然掛けられた声に顔を上げると、葵がいた。

「そうだよ。葵も?」

「おう、英語ヤバくってさ~。そっちの人は?」

「3年の花野紫陽先輩。生徒会長さんだよ」

「初めまして、花野紫陽です。」

「日向葵です!よろしくお願いします!」

「元気があって良いですね。ですが此処は図書館なので、少し声を落としましょうか」

「あっ…すみません…」

葵は私の向かいに座る。これ葵も一緒に勉強する流れかぁ。





「紫陽先輩、此処はどういう意味なんですか?」

「これはですね…」

 暫く勉強する内に、2人は打ち解けていた。私も時折質問したり、葵に教えたりしながら、自分の勉強を進めていた。


「莉〜愛ちゃん♡偶然だね~!」

 隣から嫌な声が聞こえる。恐る恐る振り向くと、仙李が満面の笑みでこちらを見下ろしていた。

「偶然ですね…水谷先輩」 

「仙李って呼んでよ、莉愛ちゃん♡」

その言葉を無視して仙李に尋ねる。

「先輩も勉強ですか?」

仙李は私の隣に座りながら答える。座って良いなんて誰も言ってないんだけどね。

「ん〜っとねえ、ちょっとしつこい女の子から逃げて来たんだよね~。外にいたら見つかっちゃいそうだし」

「そうですか」

まぁ勉強目的ではないと思ってた。

 

 話していた2人もこちらに気付く。

「おや、水谷くん。何故こちらに?」

「やだな~会長、俺が図書館いたらダメなの?」

「珍しいと思っただけですよ」

どうやら2人には面識があったらしい。知らなかった。なんかバチバチしてるけど。

「紫陽先輩、この人は?」

「2年の水谷仙李くんですよ」

「どーも。水谷仙李でーす」

「初めまして!俺は日向葵です!」

「日向くんね、よろしく〜」

おお、こいつ。私は名前呼びなのに何故葵は名字なのか。差別だ差別。

「で、水谷くんは何故此処に?当然のように咲良さんの隣に座っていますが。」

「勉強ですよ勉強。莉愛ちゃんとは仲良いし隣でも良いでしょ?」

ね?と私の方を向くが私は良いとは思ってない。しかし一応先輩なので、

「まぁ…そうですね…」

と適当に濁しておく。

「そうですか…。彼に何かされたら、いつでも言ってくださいね」

「酷いな〜会長。なにもしないって〜」

「信用なりませんね」

 

 こうして3方向を攻略対象に囲まれる事になったのだが、これはマズい気がする。ヒロインとの勉強会で昨日琉依に怒ったばかりなのに、私も攻略対象と勉強会してるみたいになってしまっている。これは琉依の事言えない。偶然とは言え、ちゃんと報告しておいた方が良いかな。

 

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