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第九話 Dream

「今のペンダント凄い光ってたけど気になる〜!なんか喋ってたし」

オルナンは目をキラキラして俺にそう言った。

やべぇ……水界のことがこちらの世界にバレるのはあんまりよろしくない気がする。ましてやオルナンにだけは。


「……!!」

俺は意気込み、オルナンから逃げることに決めた。

住宅街を神風(しんぷう)の如く駆け抜ける。

まぁ、神風とは言っても例えであり50km8.5秒の普通の走りである。

そして俺はふと首元が軽いことに気づく。

「ぺ、ペンダントがない!?盗られたか?でも誰に……?」

そう考えてもやはり予想できる犯人は1人しかいない。

(あの状態から盗まれるわけが無い……でも現にないし……)

そう思い後ろを振り返るとそこには悪戯な笑みでこちらを見るオルナンがいた。

「もしかして探し物?これとか?」

オルナンは手を掲げる。そこには当然のようにペンダントが!

嘘だろ…………あの短時間で盗んだ?しかも違和感もなく。

只者じゃない。

俺はそう察する。そして早くペンダントを回収したい焦りでオルナンを追いかける!

「まてぇ!!!」

俺が叫び追いかけ出すとオルナンは「ゲーム開始〜!」と嬉しそうにそう言う。

そして次の瞬間驚く光景を見る……

もう居ない……!?早過ぎる……

「どこ行きやがった……?」

オルナン捜索願いを警察に出したいぜ。

そういえば俺も警察に捜索されてるんだった。

気をつけよう。


そうして俺はオルナン捜索大作戦を開始する。

時にはスーパーの中。時にはレストラン。

しかし見つからない。気づけば夕方である。

「ハァハァ……あいつ本当只者じゃない」

そう言い前を見ると。

「アハハ!!楽しいな!」

「やめて下さい!そんなに弄られると痛いです」

奴は人混みに紛れていた。

周りの人も引いてる……

俺は見つけたと思い走る体制をとる。その時だった。


「君、もしかして秋橋君?警察の者だが」

肩を叩かれた。それもこの感じ間違いなく本物の警察。

しかし、俺はこの絶好のチャンスを逃すわけにはいかないと思いその手を振り落とし。

「まてぇ!!!」

オルナンを夢中で追いかける。警察の「ちょっと待った!」という声を無視して全力ダッシュ。内心ビクビクするがそれよりもペンダントの方が余程重要だった。

そして不意をつけたのかオルナンを捕まえた。

「うわぁ!?見つかったかぁ……」

オルナンが悔しそうな声を出す。

しかしそれと同時に後ろから俺は警察に完全に捕まった。オルナンと俺と警察のサンドイッチみたいな状態になる。

「君達何をやっている!この街中で迷惑行為だ。しかも秋橋君に関しては事務で話し合わないと」

そう言われ俺は拘束される。

オルナンはそれを見て逃げ出すのかと思いきやとんでもない言動に出る。


「そいつを放せ!!」

そう叫び警察にドロップキックをかます。

警察は思いっきり二メートル位吹っ飛ばされる。

「なにをする!い、痛いじゃないか!」

完全に今のでキレたようで警察が襲いかかってくる。

「逃げるぞ!!」

俺はオルナンにそう言い二人で逃げることに決めた。

オルナンは頷き、まさかの警察との鬼ごっこ開始である。

「まてぇぇ!!」

警察の怒号が響く。オルナンはそれを聞いて立ち止まり何やら悩み始める。

「おいどうしたオルナン止まるなよ!」

俺は立ち止まったオルナンを焦らせる。

「しっかたない!使ってしまおう。こいつ遅いし」

そんな訳のわからないことを言い始めたと思ったその時だった……

オルナンが呪文と思わしき言葉を放つ。


「エフェクト発動……!」

その言葉の後に続いて両手をひし形の形に変形させその手を警察に向けた。

警察は「な、何をする気だ!」と警戒を強めている。

「スリプト!」

そのオルナンの発言が終わった刹那。さっきまで慌ただしそうに走っていた警察がスリーピング。眠っているのだ。

「よし!成功!」

オルナンがガッツポーズを決めていた。俺は超能力でも見たような顔になる。こんなラッキーありえるか?というかいきなり眠るなんて……

(こいつ何かしたな……睡眠剤?)

そう俺がその異様な光景を見てあれやこれと考えているとオルナンが俺に向かって口を開いた。

「いや〜キミから逃げるゲーム楽しかったなぁ、これは返すよ。思ったより面白くなかったし」

「お、おう……」

俺は動揺を隠せずそんな小さなリアクションをしながらペンダントを受け取る。首にかけると「(面白くないなんて失礼な方ですね……)」とバイの声が聞こえた。

そして俺はオルナンに聞いてみる。


「お、お前一体何者なんだ?今のは一体……」

「うちくる?何となく困ってそうだし……とりあえず何とかなると思う」

オルナンはその俺の問いに全く答えになってない回答をする。

「絶対行きたくない」っていつもの俺なら思う。こんなめんどくさい奴に関わりたくないって。

でも今の俺は正直もうこいつに頼るしかないと思った。


「あぁ……頼むぜ」

そうして俺はオルナン(恐らく偽名)の持つ只者ではない気配を信じて着いて行った。そしてまさかの着いた場所は見覚えのあるところであった。

「ここが私の家。というか寄生先と言った方がいいのか?隠れ家というか……」

その指差した方向には何と、桜井の家がある。

混乱する俺。

もしかして……


「お前実は桜井の双子だったりして?」

率直に聞いてしまった。というか、それ以外考えられない。今思えば桜井と同じ高校に通っているって発言もオルナンと桜井がそういう関係なら……そして何やら事情があって転校してくるっていうのも考えられる発言だ。

(ま、まぁでも双子がいるなんて桜井から聞いた事はないけど)

頭をフル回転に考えたが次のオルナンの一言でそれは無下に吹き飛ぶ。

「違うよ?」

笑いながらオルナンはそう言った。じゃあ逆になんなんだ?いっそう訳がわからない。

「とにかくここが今の私の家なんだよ。入ろっか」

「入ろっか。ってそんな軽いノリで言われても納得できないんですけど!?」

俺はそう突っ込む。

オルナンは「あはは!まぁいずれ分かると思うから……」と言った。

(いずれ分かるってどういう意味だ?)


そう俺が眉を顰めていたらオルナンの後ろから丁度帰宅してきたであろうこの家の住人。桜井祈がいた。

げっ……


「え!オルナン!どうして鈴秋といるの!?っていうかお留守番してねって約束したじゃん!」

桜井が驚いて口に手を当ててそう言った。

「ルールは破る為にある!それがグランドヘルのルールってエンマから聞いたからな!」

(当然だけどやはり知り合いか)

そう思ったのも束の間桜井がオルナンに口を開く。

「そんなルールはブロッドリームでしか通用しないって!……はっ!鈴秋!今のは聞かなかったことにして!」

桜井が慌てた顔で俺にそう言う。

「そう言われても意味わからんし。ブロッコリーがどうしたよ」

俺はすぐにそう返した。

桜井は安心した顔になる。怪しすぎるわ。

「ブロッドリームっていうのはねぇ……夢のs……ぐは!」

そのオルナンの口を塞いで封じる桜井。

「とにかく秋橋はもう帰ってよ!明日も学校あるしほら!家の人心配してるよ!」

桜井は今思い付いたかのようにそう言う。

でもなぁ家に帰っても言い訳考えなきゃいけないし、家族になんて言えば……しかも警察に目をつけられてるしな。帰り道で見つかるとヤバそうだ。

色々考えた末、俺は桜井の家に匿ってもらうことに決めた。

「それはそうなんだが……実はさっきオルナンと一緒に警察に喧嘩売っちまって……目をつけられてる。しかも俺の親にはなんて言い訳すりゃいいのか分からねぇ。すまん匿って欲しい」


素直に俺は打ち明ける。

桜井は「何やってんの……いいけど……」と了承。オルナンは「良かったね」俺を見て微笑んでいた。

こうしてみると本当に双子に見える。

ちなみに言ってなかったがオルナンの服装は黄色のパジャマだ。

つまり線路で出会った時からオルナンはパジャマでず〜っと外をほっつき歩いていたことになる。


そんなこんなで俺はまさかの桜井の家に泊まることに。

こんな展開予想できるわけがない。水界といいオルナンといい最近の世の中は物騒になったもんだぜ……いや俺の周りだけかも知れんが……

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