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第五話 呪術


その町はのどかで本当になんでもない田舎町って感じだ。

「この町……ここに龍車があるの。」

そう前を見ながら話すサテラの横顔が見える。

「龍車?なにそれ」

おそらく龍の乗り物なんだろうが……

「龍型の車よ。龍をモデルに造られた車で、電気エネルギーを使って動かすのよ。」

普通に車じゃねぇか。

龍に乗る展開だろそこは展開的に……

「電気エネルギーって電気通ってるのかこの世界。まぁ確かにキッチンも使えるなら不思議じゃないか」

「何言ってるの?電気が通る?何その表現。電気エネルギーは電気魔法を使う時の電気エネルギーでしょ?」

うーん……絶妙に会話が噛み違うな。

魔法を使う時のエネルギー?

電気魔法……属性があるのかRPGみたいだな。

俺は少し考えてようやく龍車がなんなのかわかる。

「つまり魔法で動く車ってイメージか?」

「そうそう!そのイメージでいいわ。」

この世界では車も魔法で動く。

まさに異世界ファンタジー。


そんな会話をしながら俺たちは龍車を目指す。

気付いたことがある。この町…なにやらおかしい。

目つきが明らかに犯罪起こしそうな奴とか(ヤクザかよ)、ボロボロの服を着た子供とか……


「なぁサテラ。なんかこの町おかしくね?言っちゃ悪いが活気がないというか…」

サテラは歩きを止める。

「えぇ……この町は"水城"に支配された過去を持つのよ。」

出たよ安直なネーミング水城。水の城だから水城ってか。

って!そんなのはどうでもよくて。

やっぱ訳あり物件……ならぬ訳あり町ってとこか。

「そして私達の故郷……」

!!

サテラはそう続けた。

「ここが……サテラの故郷!?」

「「うんそうだよ〜」 」

カシャとラシュアの二人の声が聞こえる。

「マジかよ……」

見渡すと色々と問題ありだな……

そこら中の地面はボコボコだし(隕石でも落ちた?)

町の人たちは何やら機嫌悪そうだ。


「さぁ着いたわよ。ここが龍舎(りゅうしゃ)

俺は絶句する。

龍舎と呼ばれるそれは物凄く大きかった。

例えるなら東京タワー。それは言い過ぎだとして…うーん高層ビルくらい?だ。

雲に届きそうなほど。

「……」

俺は黙り込んでその龍舎を見つめている。

なんだこれは……


「さ、行きましょ」

「いやいやいや!なんだよこれ……デカすぎだろ!」

「だって龍舎だもの。大きいのは当たり前というか……」

そんな異世界の常識俺に通用するか!こんな建物がこんな辺境な町にある異世界……やはり異世界ファンタズィー!!

「おねえちゃんやっぱり秋橋って変だよね」

「ようやく気づいたのね。いわゆる変人よ。関わっちゃダメよああいう人には……もう遅いけど」

ぐぬぬ……俺からしたらお前らの方が異常者だよ。この光景が日常なんだからな。


龍舎の中はやはり広く、シャンデリアが天井にはある高級ホテルみたいな内装だった。(高級ホテルって行ったことないけど)

サテラが受付みたいな人にニ名で……みたいなことを言っている。恐らく俺たちだろう。

「ん?ニ名?カシャとラシュアはどうすんだ?」

「えぇ。両方置いていくわよ」

サテラが即答する。

「は!?危なくねぇ?」

子供二人をしかも……こんなヤバい町に置いてくつもりか!?

「心配無用よ。ラシュアとカシャはそれなりに強いし、護衛の人もいる」

「え?どこに」

「ほら……後ろ見てみなさいよ」

俺は後ろに振り返る。そこには黒いサングラスとスーツを着たいかにもボディーガードみたいな男がいる。


『こんにちは』

重々しく話し出すボディーガードに俺は若干引きつりながら答える。

「あ、どうも〜ハハハ……」

ボディーガードは会釈を返した。正直見た目普通に反社だろ……でも人は見た目じゃないだろうし。

そんなことを考えたいたらサテラの声が耳に入る。

「それにね……もしアフィスアに襲われたとしてラシュアとカシャが危ないし……」

それに……と続けてサテラが言う。


「こいつにも着いてきてもらうから安心して」

ん?サテラが指差した方向を見ると何やら青髪の男がいる。騎士のような格好をしており、水色のマントを羽織っている。

「よろしくお願いします!秋橋さん!」

中性的な見た目に中性的な声をしていた。

「この人、副隊長のカプセルっていうのよ」

「あ、おう……じゃなくて……はい!よろしく」

距離感が掴みにくいキャラしてるなぁ……

副隊長のくせに下っ端のようなキャラだな……

そう思っていたらサテラがペラペラと話し出す。

星光(せいこう)騎士団の副隊長。カプセル・コーン。趣味は魔剣素振り。特技は魔剣飛ばし。六年間星光騎士団におり、現在副隊長クラスまで上り詰めた。」

「ちょ、ちょっとサテラ隊長!人の個人情報をペラペラと恥ずかしいですよ!」

魔剣飛ばし?魔剣素振りもよくわからんけど……

俺はサテラの容赦ないさらけ出しもそうだが…魔剣飛ばしとやらが気になった。

「魔剣飛ばし?」

「はい!私は魔剣を作り出す事ができるんです!」

「んー。そもそも魔剣がよくわかんねぇな……」

「それは魔法の剣です!」

「なるほど……魔法で作り出した剣の略か!」

「はい!その通り!」

その会話を聞いたサテラが割り込む。

「魔剣って響きだけで分かると思うけど……」

サテラのバカにしたような声が聞こえたが……俺はスルーすることにした。

「その魔剣を投げ、攻撃する技を略して魔剣飛ばしと呼んでいるんです!」

カプセルが意気揚々と話す。俺は「まんまじゃねーか」と思いながら聞き流す。

そしてサテラがまたもや割り込む。

「魔剣飛ばしは高度な技でね。カプセルの魔剣飛ばしは私より上の威力を持つ。その技一つで副隊長まで昇り詰めたカプセルもついてるんだから流石に安心よ」

なに……!サテラより上……だと。

「それに……」

サテラは溜め込んで続けた。


「先代勇者の力を授かった秋橋もいれば安心よ」

あれ……なんでそれを知っている?俺言ったっけ?

「せ、先代勇者!?サテラ隊長……それは真ですか?」

カプセルが焦りながらそう言った。

なになに、やっぱり俺って凄い事になってんの?

「えぇ……恐らくわね。ただ、勇者の力が微量すぎる。ほとんどはアフィスアの男の闇エネルギーの力が大きいから……"ミニ勇者"みたいなもんよ」

サテラがジト目になり説明する。おまえはナビゲーターかよ。

「例の男ですか……それに"ミニ勇者"って表現は面白いですね」

「面白くねーよ!思いっきりバカにされてると思うんですけど!?」

俺はカプセルのからかいに乗る。ミニ勇者……なんでこう俺ってこういうキャラなんだろう……自分の運命が憎い!

「ミニ勇者さん。お話は一旦やめて……今はアジトに向かうんじゃないの?」

「そ、そうだった!早く突き止めないとまた悪さをするかもな……てかお腹すいたぜ……」

朝から何も食ってなかった俺はそろそろ限界だ。もう昼近い。

「そういえば秋橋に何も与えてなかったわ。餌付けの時間ね。」

「餌付けって俺はおまえのペットじゃねぇって」

そんな俺たちの会話に割り込むカプセル。

「仲がいいんですね二人とも。」

これを見て仲がいいってセリフを言うおまえの神経が疑わしい……

「そうね……仲がいいと言えばそうかもしれない」

サテラが笑顔で答えた。

やはりというか……とんでもなく美少女だなこいつ。

サテラは俺がじーっと見ているのに気づいたのか「?」と首を傾げる。

「じゃあランチタイムといきましょう?」

サテラは察したようにそう言った。

それに呼応するようにカプセルも続いて。

「ランチタイムと言ってもどちらへ?」


「そうね……"ミリアス“でも行きますか」

うん……どこか分からん!

どうやらミリアスとは現実で言うところの海鮮系料理店らしかった。

とは言ってもやはり水界と言うだけあって新鮮な感じの刺身だった。

しかし……新鮮なのはいいのだが。

「何この色!?気持ち悪いわ!」

紫色の刺身って……アウトだろ……


〜第六話に続く〜

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