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第二話 騒動の原因


俺はこの世界を甘く見ていた……

長いただ長い……

何がって?城までの道のりだよ……


「なっがぁぁぁい!!!」

俺は耐えきれずに叫んでいた。その俺に呆れたように声をかける金髪の少女の名前はサテラ・イリー。

「だらしないわねぇ……」

だらしないって……否定できないけど。

くっそ……なんでこんなことになったんだよ……

俺はイライラしながら過去の回想を始める。

確か俺は……西夢高校に登校中だったはずだ。そしたら、自転車ごとその辺の水溜りに落ちた……

落ちたと言ってもズブズブ下に引きずられるように……ありえない感覚に襲われて

そして気づいたらこの水々しい世界に飛んでいた。

なんだそりゃ。

あまりのぶっ飛んでいる自分の経歴に呆れてしまいそうになる。

どうせ何かの夢なんだろうし早く冷めないかな……

そんな俺を少し同情的に見ているサテラは声を発する。


「ほら、もうすぐ着くわよ」

「え?」

もうそんな進んでいたのか。

そう思い驚きの声を上げたのも束の間。

目の前に広がる光景に絶句した……

そこには本当に水に包まれた巨城が佇んでいる。

透き通る水の柱が綺麗だ。

「すごいなこれは……」

日本じゃこんな物見れないだろう。

サテラは俺を見て変な人……みたいな顔をしている。

そして答える……(変人じゃねーぞ俺は)

「こんな物を珍しがるなんて……不思議ね。アキハシのいた世界はどうなっているのかしらね」

サテラさん。それを聞いちゃいますか……

俺は勢いよく答える。

「そりゃ、魔法も奇跡もないただただ退屈な世界だよ。ははは……」


そう言った時だった。何やらムチで人の体を叩くような音が聞こえた。

大きい……音だ。

「ほら、さっさとしろ!」

そして俺はその方角を見る。

そこにはボロボロの皮膚になった痛々しい身体を動かす囚人服の男がいた……

サテラは「あちゃー」とでも言いそうな顔でその景色をただ見ている。

俺は突然のシリアス展開にビビる。

(あ…………そういう感じの世界なのか)

そう思ったのも束の間か、囚人はその場に倒れ込み……

「……」

返事はない、見たくもない人が屍になる現場に俺は激しい動揺に体を震わす。

「行きましょう」

サテラはそう俺の隣を通り過ぎる……

「待てよ……」

俺は気づいたらそう口にしてきた。

「今の光景見て何とも思わないのかよ」

サテラは数秒無言になり口を開く。

「今の私達の力じゃ助けられなかったわ」

サテラは俺に背を向けてそう言い放っている。

俺は少し口調を荒くなっていた。

「そんなもんわかんねぇだろ……てか何で言ってくれなかった!?もっと早くこういう場所だって言ってくれればもしかしたら……」

そう口論になリ始めた時だった。先程ムチを持っていた黒い鎧を身に纏う巨漢が怒鳴る。

「何だお前ら……!逆らおうってのか?」

サテラは俺の手を掴み、城の中に行こうとする。

俺はその力に必死に抵抗するが……

(なんだこれ……魔法か……!全然解けない……)

サテラに繋がれた手を見ると何やら青く光っている。やはり魔法か……

俺はされるがままに城の中へと連れ去られていった。


「起きた……?」

「う〜ん……まだ寝てるよ」

なにやら会話が聞こえる。

俺はうっすらと目を開けて起き上がる。

「ここは……どこ?」

そう寝ぼけながら目をゴシゴシする。

すると……

「うわぁぁ!」

二人分の悲鳴が辺りに響き渡る。

一人は俺と同じく茶髪の11歳くらいの男の子。もう一人は両目が隠れるほどの長さの紫色の髪を持つ同じく11歳くらいの女の子。


するとサテラの声が後から聞こえる。

「ラシュア、カシャ。二人とも静かに。バレたら終わるわよ」

「ごめんなさい〜」

何だこの状況……俺はあの後寝てしまったって感じか。いやそれか……眠らされた?

ラシュア……?カシャ?

何の呪文だ?いや……この子達の名前か。

寝ぼけるな俺。

そんなことを考えてるのが見え透いているのか、サテラは喋る。

「"星の煌めき"って魔法で眠ってもらったわ」

そうドヤ顔で答えるサテラに俺は呆れるような顔をしてた。(強引な人だなホント……)

「てか、サテラお姉ちゃんこの人何者?」

紫の子が首を傾げる。

サテラはジト目をして答えた。

「"それ"は……何なのかしらね。サテラお姉ちゃんもわからない。」

俺はもはや人間ですらないのか……

てかサテラお姉ちゃんって……違和感がすごい。

「とにかく良かったねにいちゃん。おうち帰れるよ」

唐突の甘い蜜に俺は現実感を失った。

「おうち……」って

それってつまり元の世界に戻れるってことか……?


「元の世界に……行けるのか?」

気づけば俺は声を発していた。

サテラはそれを聞いて頷いた。二人の子も「うんうん」うなづいている。

(よかった……)

しかし俺は正直、まだ納得していない部分があった。

あの奴隷の人はどうなるんだ。この世界は本当は闇がかっていてほっといたらダメなんじゃないか……?

そんな俺の思考を悟っているのかサテラは続ける。

「この世界のことは忘れて……アキハシには関係ないから」


それを聞いて俺はまたあの怒りが戻ったのを感じる。

「おい……いい加減にしろよサテラ。何で隠すんだよ。どうせ隠しても意味ないだろ?また、ここの世界に同じように召喚されるかもしれない。何なら俺じゃない他の人も……」

俺は実はずっと引っかかっていたことを言ってしまう。どうせ戻っても意味ないんじゃないかって。

俺の怒りに二人の子は怯えている。

サテラはその様子を見て「二人のいない場所で話し合いましょ」と言い、扉を開け出ていった。


〜第三話に続く〜


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