猿の器
~作者~
魚崎 依知子 様
~あらすじ~
『まるで邪悪なものから生まれてきたみたいだ。』
マンションディベロッパーの営業として働く高瀬皐介は、ある日モデルルームへ訪れた幼女に出会う。
『きよ 5才 あなたの子供です。よろしくお願いします。』
幼女が差し出した手紙に戸惑う皐介は、早速母親探しを開始するが――
「あのひと、しぬよ」
柔らかな指先を向け、澄んだ声で告げる幼女の目的とは。
~感想~
現実が徐々に不気味に変わっていき、気づいたら抜け出せなくなる正統派ホラー。
主人公の不動産営業職としてのリアルさ、そして突然の出会いから始まるホラーに日常を侵食されていく不気味さが高いレベルで混ざり合っており非常に面白かった作品です。
営業職として同僚すら信用できない生き馬の目を抜く職場の中で、それでも客の懐具合や心理状況を的確に判断して対応する非情な冷徹さとそれを誠実に見せる面の皮の厚さを持つ主人公。
金もルックスもあり女性関係に奔放な主人公の元に、女の子が死の予言とともにやってくる。
仕事人が生み出す男としての怖さ、恨みや情念が深い女としての怖さ、理解できないものがすぐ近くに潜んでいそうな怖さなど、さまざまな側面の恐怖を持ちつつ、ラストでは「そう来るのか!?」と「これぞ…!」という内心複雑ながらも拍手がやめられない満足感がありました。
展開もキャラクター性もとても良かった物語ですので、ホラー作品に興味のある方には是非おすすめします。
〜URL〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330665671539901




