カルマの塔
~作者~
富士田けやき様
~あらすじ~
この世は平等ではない。
グラスになみなみと満ちたぶどう酒を呷る者がいれば、幾度も足踏みされた泥水をすする者もいる。暖かな毛皮に身を包む者もおれば、薄っぺらな襤褸を纏う者もいる。
この世は幸福ではない。
生まれた瞬間、人は格差の海に落ちる。金持ちの子、貧乏な子、貴族の子、農夫の子、奴隷の子。奴隷に生れ落ちたが最後、這い上がることを上は良しとしない。
この世は残酷である。
誰かの幸せは誰かの不幸せ。一定量の資源をめぐり、人は争い、奪い、殺す。生きるとは屍の上で踊ることである。狂え、喰らえ、犯せ、殺せ。
この世は、地獄である。
だからこそ人は光を求める。
~感想~
元なろう、現在カクヨムにて公開されている作品。
今まで読んだ戦記物のなかで一番面白かった小説。
『世界に復讐する物語』
あらすじがフックポイントになっているが、これだけだとどんな内容なのかわからないと思うので簡単なあらすじ紹介をすると、最愛の姉を貴族に無惨に殺され世界に絶望した奴隷アルは世界への復讐を決意する。
復讐物の常として鬱展開あり。ただそれがさらなるカタルシスにつながっているので、全く辛く感じない。ざまぁというよりはしっかりとした復讐の小説だが、主人公はそれだけに留まらない大きな器を持っている。
この作品にはいくつかの大きな魅力がある。しっかりとした土台に支えられた世界観であったり、巧みでわかりやすい戦闘描写があり、常に楽しみながら読むことができる。ただ、その中でも特にキャラの魅力は他作品とは一線を画すほど面白い。片手を超える数の国の王や将が全員生きてるかの如く振る舞い、その結果織りなされる物語は圧巻の一言。書き出してみると多くのキャラがいるはずなのにその全てが印象的で全てに感情移入できる、群像劇に近いかもしれない。
私の語彙力や説明力が不足して、魅力を語りきれないのが残念だが、本当の本当の本当に面白いのでぜひ読んでみて欲しい。少年マンガが好きな人は絶対にハマる。
~URL~
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886943247