差出人不明
600字程度で書いた、作者自身が吐きそうになった短篇。
差し出し不明の白い便箋がまた一つ、増えた。
少し前から送られ続けてくる誰かからの手紙。
最初は「ついにモテ期が!」と、喜んでいたものだが内容は至って簡素で、一枚の写真が同封されているものだった。
「親愛なる黒髪のアナタ様。お慕い申しております」
これは最初の手紙だ。一緒に入っていた写真は、クラスで友人らとちょっとした猥談で盛り上がっている時のもの。
「親愛なる可愛らしい瞳を持つアナタ様。アナタが大好きです」
さらに同封されていた写真は、目にゴミが入って目薬をさしている時。
「親愛なる麗しき肉体を持つアナタ様。アナタに心酔しています」
写真は更衣室で着替えをしている所だった。
この頃から少し恐怖を覚えて、自分は手紙を開封していない。
だが、それでも手紙は増えていく。
読まれることなく、手紙は下駄箱に溜まっていく。
しかし、ある日真っ赤な手紙が入っていた。
鉄臭い香りが、鼻腔を突き刺す。
「親愛なるアナタ様。アナタの全てが欲しいです」
ドクンと心臓が跳ねた。
手紙を取った、指が赤くなっている。
一応、写真を探すが、今回はない。
ほんの少しだけ、心がほっとする。
すぐにでも手を洗おうと、振り返った瞬間――
――親愛なるアナタ様。アナタの全てを貰います。
腹部が痛かった。
突き刺さるなにかがぐるりと捻られ、痛みで意識が飛ぶ。
意識が覚めた時、横に一枚の写真があった。
そこには、瀕死の自分と笑顔で写る友人の姿が残っていた。
学校の課題としてだされた300~600字程度のホラー。
製作時間20分程度。
皆さんも吐き気を味わってもらえたらなと思います。
ちなみに吐き気、不快感、気持ち悪いと感じたら僕の勝ちです(唐突の勝利宣言)。
感想、評価待ってます