望み
前回のあらすじ、慎重な赤羽に疑問を持った氷雪だがあまり気にしなくなった、その疑問の答えが明かされるのか。
そして恐怖の予兆は当たるのか。
今回は氷雪の見ていなかった狩人の世界についてです。
なぜ赤羽があの質問をしたのか、今分かったような気がした。
その日のうちに私たち三人は目的地へと移動した。
妙に静かな森。
進むと少し視界がひらけた場所にきた。
そして目的のダートを見つけた。
相手は気付いていないようだった。
蒼花の武器はアサシという小型剣、赤羽はガンハンマという武器を使っている。
なので背後からは赤羽と私で、右側からは蒼花と一斉攻撃を仕掛ける。
ダートは地面に生えた草を食べ始めた。
今だ!。
武器の重さの関係からか若干蒼花のほうがはやく切りかかった。
キン、ガキン。
「弾かれた!」
さすがに気付かれ飛ばされた蒼花へ尻尾で攻撃しようとした。
赤羽も弾かれて体勢的に届かない。
「バックジャンプパニッシャー!」
バックジャンプパニッシャーとは火薬を大量に使い爆発を起こす攻撃方法。
しかし反動で後ろに飛ばされるためこう呼ばれている。
直撃した。
「ナイス、氷雪!」
横に倒れたダート。
「とどめだ!」
ビクッ。
そうだ、これは殺し合いだ。
どちらかが死ぬか諦めるまで続く。
なのに、頭では分かっているのに、習ったのに!。
体が震えてしまう。
グシャ、ビッ。
「あ、ごめん、大丈夫?」
血がかかった、なんでだろう、震えが止まった。
そのかわり頭が真っ白になった。
少し時間が経過し落ち着いてから考えた。
そういえばなんでこの二人は平気なのだろうか。
「わ...私、私が...殺し...」
「...」
吐き気がした、頭痛もだった、前が霞んで見える。
「...確かにそうだ、けどお前は蒼花を守ったんだ、それに生き物は皆殺しあう、生きるために、自分のために」
赤羽の言葉に納得ができなかった。
けどこれが狩人の世界、見たかったもの。
父は最初どう思ったのだろうか。
「ごめん、慣れてなくて、けどもう大丈夫、自分が死ぬ覚悟も殺す覚悟もできた」
「一旦戻って休もう、そしたら...」
周りからのこの妙な殺意。
ガサガサと音もする。
「アルバレロの群れだ」
アルバレロとは様々な場所に生息する肉食の小型モンスター。
数頭の群れで行動し、武器は鋭い爪と俊敏性。
攻撃力D、防御力E、俊敏性C、特性無し、危険性Dのモンスターだ。
単体ならば狩人でなくても倒すことが出来る、なぜかというとダートみたいに後ろ向きから尻尾攻撃したりせずすべての攻撃を向いている方向に出すからだ。
だが集団化すると視界の外からの攻撃など非常に厄介なモンスターだ。
私の武器の性能上天敵といってもいいだろう。
囲まれてるから戦うしかない。
あれから何十分経過しただろうか。
全員血まみれで倒れていた。
なんとか生きてはいるけれど。
その日に報酬を貰い素材を持ち帰ったが嬉しさ、喜びなど微塵もなかった。
これが狩人...か。
初戦闘で死に掛けた氷雪、ここから何を思うようになるのか。
ガンハンマの説明です、ハンマーに火薬を搭載し攻撃力を上昇させ火属性の追加付与もある武器。
番外編などもいれようかなと考えてます。