火属性魔法がある世界は生命体が存在できない件
前回の投稿から約四年半ぶりの戯言。
久しぶりではあっても今回もとんでも理論で戯言を展開します。
四年半ぶりに筆を取り、一ヶ月間三十一日の毎日連載投稿をしようと意気込んでいたけど、毎日五千から六千文字の物語を書き続けるのには自分の執筆力では無理だったよ……
そんなんで今回は毎日連載投稿を頑張っていた物語の中から、SF考察的な考察みたいなモノをお話しようかと思います。
今回のネタ元になるのはこちら。
"見慣れたゲーム世界に閉じ込められた者達の冒険譚"、第一章九話の"火属性魔法なんてモノはありません"から、何故火属性の魔法が存在しないのかという説明をしていた回です。
なお、こちらのお話、少し前に流行ったMMOのゲーム世界に入り込んで活躍するってやつのアンチテーゼ作品ですので、興味持たれた方は是非読んでみてください。
では、そちらで説明した火属性が存在しないと云う理由ですが、それは火と云うのは物資でなく、事象だから。
それと爆発でダメージを与える場合には爆発そのものよりも、それに伴う副次的な効果の方がより大きな影響を与えるからと物語中では説明していましたが、実はこの説明だけでは説明としては中途半端であり、科学的な説明としては不十分なんです。
んで、その不十分だった説明は何だったのかと云うと、加速度的な燃焼によって発生する衝撃波と、燃焼そのものによる熱エネルギーに関する事があの説明はまるっと抜けていた状態ですね。
その抜け落ちていた説明部分である[加速度的な燃焼によって発生する衝撃波]って何の事やねん? って、思われるかもしれませんが、これは創作物語でよく使われる【粉塵爆発】の事です。
可燃性の細かい粒子が一定濃度以上の条件下において、燃焼が起こるとその可燃性粒子が一瞬にして燃え尽き、その燃える尽きるまでの時間にのって衝撃波が生じ、その結果が爆発と云う現象に至る。
……ってのが粉塵爆発の仕組みになります。
物語中で説明していたのが燃焼によって発生する大量のガスによる膨張力を利用し、その外郭を覆っている物質で被害を与える構造なのに対し、この粉塵爆発と云うのは燃焼する一瞬の移動エネルギーによる衝撃波そのものを利用するものとなっています。
ここで敏い人は『何故物が燃えているのに移動エネルギー?』と思った方も居ると思われます。
粉塵爆発は何故起こるのか、繰り返しになってしまう部分もありますが、順を追って説明して行きます。
先程粉塵爆発は可燃性の細かい粒子が一定濃度以上の条件下において燃焼すると起こると説明しました。
この燃焼と云う事象は燃える物と酸素が結合する事により、光と熱が発生する事を指します。
そしてこの燃焼と云う反応が起こると、その場所からは燃焼に使われた物質と、それと結合した酸素が光と熱に変換され、その変換された分が別の物質、この場合なら化学変化で他のものでその失われた空間を満たそうとします。
これが連続的に起こる事により、物質が失われる移動エネルギーが副次的に発生する事になります。
この時間辺りの移動エネルギー、運動エネルギーとも言えるこの副次的な事象はその時間が短ければ短い程、大きなエネルギーを持つ事になります。
ここらの時間辺りの運動エネルギーによる話は、海洋生物であるシャコのパンチによる話なんかが有名ですので、動画サービスなりでそちらを見て貰った方が文字で解説するよりも楽しみながら、その事象を確認する事ができるので個人的にお勧めです。
さて、そんな一瞬の大規模な燃焼によって生じる衝撃波ですが、これを兵器などに転用されていたりするのも事実で、これらは真空爆弾や気化爆弾などと呼ばれ、人道的にも酷い効果をもたらす事から例え戦争であってもその仕様は条約によって禁止されていたりします。
では、そんな効果絶大な粉塵爆発ですが、実際の兵器の様に物語の中でも効果を発揮するのでしょうか?
答えは絶大な効果を発揮しますが、その効果が発揮されてしまうとソレを行った人物も死亡します。
何故そうなってしまうのか、その答えは単純です。
だって、粉塵爆発を起こしたって事はその爆心地の中心に居るって事に他なりませんから、その人物が無事であるはずがありません。
で、粉塵爆発を利用した気化爆弾や真空爆弾と呼ばれるものが何故人道に反する兵器として扱われているかなのですが、その粉塵の燃焼の際に大気中に充満している可燃物質が呼吸器系の中にも入り込み、その空間さえも燃焼が行われる為、肺の内部が酷い炎症に晒され、更に燃焼による酸素消失によって窒息状態に陥ると云う副次的な効果が多重に起こるからなんですよね……
さて、そんなんで燃焼による大量のガス発生を利用する方法にしても、粉塵爆発の衝撃波を利用する方法にして、どちらの方法であっても【爆発】による魔法ってのは発動しないか、術者の安全性が確保出来ない為に存在できないと云う結論に至る。
では燃焼そのものの熱によるダメージの演出が成される魔法はどうだろうか?
現代兵器で長時間の炎を維持する事によりダメージを与えるものは[ナパーム兵器]と云うものがある。
非常に燃焼し易い油に粘着剤を混ぜた物を燃料とし、それを長時間燃やす事で効果を発揮する兵器である。
この燃焼兵器であるが、この兵器が殺傷力を持つのは燃焼による熱によるものより、粉塵爆発の解説でもした酸素欠乏による窒息だったり呼吸器系の炎症によるものの方が大きく、熱にり効果はあまり大きく無い。
熱による生命へのダメージはタンパク質の凝固というカタチで現れるが、この凝固が起こるのはおおよそ六十度以上で起こるとされている。
しかし生命体というものは肉だけで構成されている訳でなく、その中には血管が走り、その血管の中には血液が流動しているのである。
この血液の流動により、熱の拡散をが起こり実際には六十度程の環境に長時間されていたとしてもタンパク質の凝固、分かり易い言い方をすれば火傷になる事はほぼ無いと言っても過言ではない。
しかしこれは生命活動が行える環境下においての話である。
ナパームの様な長時間火炎が発生する場合にはどうであろうか?
この場合には皮膚表面温度は場合によっては百度を超えて長時間それに晒される事もある為、それによる火傷が起こる事もあるだろう。
しかし、そのような大規模な火炎による生命の損傷は何度も触れているが、呼吸器系だったり酸欠だったりの被害の方が深刻なのである。
つまり結論を言ってしまうと"火属性の魔法が存在していたとしても、それ自体はそれ程驚異では無い"という事であり、そんな驚異にならないような魔法が広く使用されるだろうか?
個人的見解で言えば否である。
ってか、燃焼と云う現象を起こす為には燃えるモノと酸素が必須と最初にのべているが、これを魔法的な触媒として置き換えて考えた場合、"燃えるモノ"がマナだったりと呼ばれる不思議物質になる訳だが、そんなどこでも粉塵爆発するような危険物質は溢れる世界なんて、生命活動が行える世界として成り立つの? と云う疑問が先に立ってしまう。
それ故に私が執筆する世界観では火属性に関する魔法は存在しない。
これが言いたいが為に今回の戯言を書いたようなモノである。
こんな理屈っぽい世界観でを構築して執筆している"見慣れたゲーム世界に閉じ込められた者達の冒険譚"であるが、是非とも一読して貰いたいと個人的には思うのである。
今回のネタ元となった話は『見慣れたゲーム世界に閉じ込められた者達の冒険譚 1章9話 火属性魔法なんてモノはありません』から。
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