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異世界から戻ったおれが、双子の姉の姿になっていた件。  作者: ねこた まこと
一章 異世界から戻ったおれの新しい日常☆
5/35

勉強



林原家。拓人の自室。夕陽は拓人から勉強を教えてもらっていた。

 ただアキのように、わからない所を手取り足取り教わるのではなく、一度拓人お手製のテストを説いてみて間違えたら、拓人が解説してもう一度解くというスタイルだ。

 


「 出来ました。採点お願いします」


 夕陽は拓人にノートを差し出す。

拓人は無言で受けとると赤のボールペンで採点していく。

 シュッシュッという音だけがするだけだ。拓人は、勉強に関して厳しいらしく、無駄話は全くしない。

 

――アキみたいに楽しくできたらいいけどね。まぁ向こうは彼氏彼女の関係だしね。こっちは理緒の友達ってだけで、勉強見てもらってるんだもん。贅沢な事考えちゃ駄目か。


と考えてる内に採点が終わったらしい。拓人がノートを差し出してきた。


「 ここ。間違ってる。もう一回」

「 はい」


拓人の解説を聞きながら、間違えた所を直していく夕陽。


――そういや、編入試験終わっちゃうと会えないよなぁ。ちょっと寂しいかも。っておれ何考えとんじゃろ!今は勉強が優先事項じゃろ。

思考を勉強へと引き戻し、間違いを直していく夕陽だった。



「 はい。全問正解。よくできました」


にっこり笑い、夕陽の頭をなでる。思い切り子供扱いされてると思いつつも、その行為を夕陽は受け入れる。


―――普通なら怒るとこなんだけどな。

頭グリグリされても、全然大丈夫。ううん、もっとして欲しいなあ。


拓人の大きな手に妙な安心感はあるものの、その手はすぐに離れてしまう。

少し残念に思いつつも、それを表に出す事はせずに、お礼を言った。


「 やっと、全問正解。でも、自分の弱点知れて良かった。拓人さんありがと」

「 そりゃどうも。お茶入れてくるな」

「 あっ手伝う」


夕陽は、そう言って席を立とうとするが、拓人が止める。


「 座ってなって」

「 あっうん」


夕陽は、椅子に座り直す。拓人は、自室を出て行った。


夕陽は、へちゃと机にふせる。


「 あ〜、超疲れた」


 誰も見てないからとだらけてしまう。

他人の家だというの忘れ、机に顔を押し付け、冷たさを楽しむ。子供の頃から勉強を終えると、こうやってリラックスするのが習慣になってるので辞められない。




「 お待たせ」

「 んなー」

「うひゃ!」



拓人とおにゃんこさんが、部屋に入ってきた。夕陽は、驚いて姿勢を直した。


「 どしたの? 変な声出して」

「 なんでもない」


机にふせっているところを見られてない事にホッとする夕陽。

様子の変な夕陽に、訝しながらも拓人は、麦茶の入ったコップを夕陽に手渡す。


「 ありがと」


お礼を言って、受けとると夕陽は、麦茶を飲む。思いの外、喉が乾いてたらしい。ごくごくとイッキに飲んでしまった。


「 んなー ( 撫でて。)」


おにゃんこさんが、夕陽の膝に前足を置いて、おねだりする。

おにゃんこさんのおねだりに、夕陽の顔は、へにゃとなる。

コップを机に置くと、おにゃんこさんに話しかける。


「 撫でてほしいの? しょうがないにゃー」

「 んなー んなな。( 撫でてくれるなら、抱っこしてもいいよ。)」

「 抱っこしてもええの? よいしょ。重い。でも、ふわふわ 。モフモフ。」


夕陽は、おにゃんこさんの毛並みに顔を埋めて、毛の感触を楽しむ。おにゃんこさんは、長毛種の血が入ってるのか、少し毛が長くフサフサしてる。そらのツヤツヤの毛並みもいいが、おにゃんこさんのフサフサした毛並みも触り心地が良くてクセになる。


「 うにゃうにゃ。モフリ モフリャ モフレリモフリルレロー」


謎の単語を叫びながら、おにゃんこさんと戯れる夕陽。


そんな、夕陽を見ていた拓人は、苦笑いしながら言う。


「 本当、猫が絡むと性格変わるよな」

「 だって、猫好きなんじゃもん。しょうがないじゃろ」


夕陽は、おにゃんこさんを抱っこしたままそう答える。


―――なんで可愛げがない答え方しちゃうかなぁ。アキみたいに女の子らしく答えたいのに。元男だから仕方ないよね。



「 まっそのギャップが、夕陽の可愛いところだけどね。」


拓人のサラリと言ったセリフに、夕陽の顔が真っ赤になる。


「 何言うとん。おれが、可愛い訳なかろうが!だいたい、元男じゃけ、可愛いって言われても嬉しくないし」


真っ赤な顔のまま、夕陽は、怒ったように言う。


「ああ、そういやそうだっけ。まぁ元男とか、関係ないよ。僕が可愛いって思ったからそう言っただけだし」


――サラリと言うなあぁ!恥ずい。穴があったら入りたいぃ!

そう心の中で叫んだ夕陽は、真っ赤な顔を隠す為、しばらくおにゃんこさんの毛に顔を埋めていたのだった。



 夕方になり、帰る支度をしていた夕陽に、拓人が 掃除用の粘着テープのローラーを差し出してきた。



「 おにゃんこさんの毛着いてるから、取って帰ったら? 黒いパーカーだから、目立つよ」


夕陽は、今日の服。タンクトップの上に着た黒い半袖パーカーとショートパンツのあちこちに、おにゃんこさんの毛がついているのに、気づいて、拓人から粘着テープのローラーを借りた。


「 ありがと。拓人さん」

「 どういたしまして。それと、これは、お守り。編入試験頑張れよ」

「 ありがとって、これ」


拓人のくれたお守りを見て、夕陽は、ビミョーな顔になる。

夕陽が応援してる球団の青い公式マスコットすまいりぃちゃんのキーホルダーだ。

12球団で、一番可愛くないとも言われているマスコットキャラである。


「 理緒が、夕陽にってさ。何故かそのマスコットが可愛いって言って気にいってるんだよ。お小遣い貯めて、ネットでぬいぐるみも買ってたぜ」

「 へー。理緒に伝えといてや、ありがと言うとったって」

「 了解。じゃ気をつけてな。」

「 うん。 じゃ。試験頑張るよ」


 夕陽は、理緒がくれたお守りのキーホルダーを鞄に付けた。

ここまでされては、受からない訳にいかないなと思った夕陽だった。




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