後日談。
最終回です。一話ですが、2話に分けてます。
後日談。その1
学校の帰り、夕陽は、拓人と学校近くのハンバーガーショップで、お茶をしていた。
「 そんな事があったんだ」
「 うん」
夕陽は、昨日のまでの事を拓人に話した。
律に殺されかけた事と、その理由を説明する。
夕陽は、拓人が渋い顔になってるのに、気がつくとあわててフォローした。
「 でも、この姿になってなかったら、拓人さんと会えてないし。けどね」
「 けど何?」
夕陽は、少し考えてから言葉を紡ぐ。
「 律に追い回されるまで、死とか生とかについて真面目に考えてこんかったなって。異世界にいた時も一度死にかけてんのにね」
と言って、夕陽はシェイクを飲む。
――まあ、ネット小説みたいな経験してるし、若いしね。仕方ないかも。
夕陽は、妙に年寄りくさい事を思った。
「 それは、僕も一緒だよ。高校生だし。 おじいちゃんやおばあちゃんも、めちゃくちゃ元気だからな」
「 だよね。でもおれ、一度死んでるんだよね すぐ転生したから、実感なかったけど」
夕陽は、ひなや仁達から、自分の葬式の話を聞かされても、全然実感がなかった。
でも、今回、律に追い回されて『死』というものを、みつめるある意味で、いい機会にはなったけど。
「 普通は、人は、死んだらおしまいなんだよ。なんか、嫌な言い方だけど」
「 小説や漫画みたいに、即転生して、ハイ人生やり直しって訳にゃいかないもんな」
「 そうなんだよ。あっさり、転生したおれが、言うのもなんだけど。人生一度きりなんだ」
「 だから、悔いのないように生きましょうってか?」
「 うん。まあそうなんだよ。さて、ここで、問題です」
「 いきなりなんだ?」
「 おれが男だった時、非常に後悔している事があります。それは、なんでしょうか?」
拓人は、顔をしかめながら考える。一瞬よからぬ答えが出てくるが、今の夕陽に言ったなら確実に怒って口をきいてくれなくなりそうなので、やめておいた。
結局わからないので、ギブアップした。
「 駄目だ。わからない」
「 正解は、好きな人に告白しなかった事です」
「 へー」
と拓人の返事は素っ気ないが、顔はニヤついてる。夕陽のセリフが嬉しいらしい。
「 だから、好きな人と一緒にいられるから、幸せなのです」
と夕陽は、笑顔で言ったのだった。
後日談 その2
とある日曜日。居候先から実家に戻っていた仁と2人で、最近の出来事を話をしていた時の事。
「 ひなから話は聞いたけど、色々大変だったんだな」
「 あ~うん」
夕陽は、仁から借りた漫画を読みながら、適当な返事をした。
その態度にイラッとして、仁は夕陽から漫画を取り上げた。
「 没収!」
夕陽は、半泣きで仁から漫画を取り返そうと、必死だ。
「 んああ~。いーとこなのに~意地悪~」
「 こっちは、心配してんのに、何なんだその態度」
「 ごめんなさい。 ちゃんと、聞くから貸して〜」
夕陽の目から涙が溢れそうで、半泣きからマジ泣き寸前だ。
――うわ!泣くとか辞めてくれ。心が痛む。
「 あ~もう。仕方ないな。ほら」
昔なら、怒ってそのまま喧嘩してただろうが、
「 わーい。 ありがとう」
と夕陽は漫画を読み始めた。さっきまで泣きそうだったのに、もう笑顔である。
―― 全くなあ、雫もアキもこのくらい可愛けりゃな。つうか、こいつ妹キャラ定着しとるし
仁に体を預けて、漫画を読む夕陽を見ながら、そう思う。
「 夕陽さ、今の姿になっとるけど、どう思っとる?」
「 ん? 最初は、嫌だった。 律の姿になっとるじゃろ。慣れるまで、時間かかったな」
「 ふーん」
仁は、間延びした返事をした。
「 逆にさ、仁は、おれが死んだって連絡を受けた時どう思ったよ」
「 うーん。本当かと思ったよ」
「 それじゃ、今こうして生きとるけど、どう思っとる?」
「 嬉しいよ」
「 本当に、そう思ってる? 面倒なやつと家族になったなって思っとらん?」
「 思ってない」
色々大変だったけど、夕陽が転生するというイレギュラーな出来事のおかげで、自分が変わるきっかけができた。
むしろ、転生してきてくれて嬉しかった。
さっき言った事は嘘ではない。
もう一度、その事を伝えようとしたら、夕陽は、仁に身体を預けたまま眠っていた。




