『あの日』の事。後
夕方、祖母 はなこのスマホからひなのスマホへ連絡が入った。
「 駅前の喫茶店におる? うん、私たち今学校から帰るとこ。仁と行くけん」
「 はなこばあちゃん、どこに、おるって?」
「 中島駅前の喫茶店におるってさ」
「 じゃ、早く行った方がええな。はなこばあちゃんの雷くらう前に」
「 うん」
遅くなる前に、さっさとはなこの元へ向かわないと、はなこの説教を食らってしまう。
正当な理由なしに遅くなれば、尚更だ。はなこの前で、嘘を突き通せない事は、ひなも仁も分かりきっている。
学校を出て約20分後には、西中島の駅前の喫茶店に到着した。
「 もう着いたんね」
はなこは、全力疾走して息を切らせてるひなと仁を呆れ顔で見ている。
「 だって、あんま遅くなったら、ばあちゃん雷落とすじゃろ?」
「 まーね。理由にもよるけど」
ひなと仁は、はなこの前に座ると、仁がコーヒー2つを注文した。
「 よう分かったね、私がコーヒー飲みたいの」
「 だって、ひなコーヒーと紅茶1日おきに飲んどるじゃん」
「 よう、見とるね」
2人の会話に、イラついたはなこが一言小言を放った。
「 あんたらの、イチャイチャはええけ。( いいから)夕陽の事訊きにきたんじゃないの」
「 「はい」」
ひなと仁が会話を止めると、はなこは、話し始めた。
「 夕陽が、事故にあって亡くなったと連絡を受けた時、ウチは知り合いの葬式に出ていて、夕陽達の葬式には、間に合わんかったんよ。ひなの両親も海外だから、結局、葬式にでたのは、ひなと茂だけだったわね」
「 うん。夕陽の昔からの知り合いで、葬式に出れたのって、兄さんと私だけじゃったよ。後は、学校の友達とかじゃし。」
ひなの証言にはなこは、頷くと話を続ける。
「 茂に昨日2人で会って葬式の日に、何かなかったか、改めて訊いたんよ。したら、隆史さん。葬式の晩遅くまで、お酒を飲んでこう言ったらしい。『2人も子供亡くした。わしは、どうなってもええ。どんな形でもええけ、律と夕陽がいっぺんに甦らんかの』繰り返し、律と夕陽が甦らんかの。って言ったしいんよ」
はなこは、話し終えるとコップの水を飲んで、喉を潤した。
「 あんさ、ばあちゃん。うちらね、朝、学校で話ししたんよ。誰かが、甦ってほしいって願ったから、異世界におった夕陽が戻ったんじゃないんかってね」
ひなは、はなこが、夕陽と接触したなら、本人の口から異世界にいた事を知っているだろうと思い、そうはなこに、話した。
「 そうだね。 夕陽は、亡くなった後、異世界におったらしいね。そこで、散々な目にあったから、こっちに戻る事になった。けど、その異世界から戻るにしたって、何もなしに戻れんよね」
「 やっぱり、隆史おじさんの願いが、夕陽をあんな姿にしたって事かね」
仁は、そう結論づけた。
「 かもね、でないと他に説明出来んね」
「 ひなや仁も、そう考えるんじゃね」
はなことひなは、それぞれ仁の結論に同意した。
「 この話、夕陽にしたらどんな反応するかね?」
「 わからん。なんなら、俺からしようか? この話」
「 うん。お願い、多分、私より仁からしてもろた方がいいと思う」
ひなの提案で、仁が話す事になった。




