表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界から戻ったおれが、双子の姉の姿になっていた件。  作者: ねこた まこと
二章 本当の記憶を持つ者達

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/35

仁とひな


今日から新学期の朝。服部ひなは、横に、音無仁を従えて登校していた。


「 あのさあ、なして ( なんで)あんたと私一緒に登校せんといけんの? 」

「 別にええじゃろ、同じ学校なんじゃし」


 旭ヶ丘学園のではなく中島高校の男子の夏の制服。白いワイシャツに黒いズボンに身を包んだ仁が、ひなの側を歩きながらそんな事を言う。


「 今日は、一緒に行くけど明日からは1人で行きんさい。1人で! あと、ウチの半径100メートル以内に近寄りんさなんな。ええね」


無茶苦茶な注文を仁に付けた、ひなはずんずんと、早歩きで駅まで行く。仁は、苦笑いしながらひなの後を追いかけた。


二人の家の最寄り駅 中島駅のホームに、入ると真央が1人で電車を待っていた。

ひなと仁に気が付いた真央が挨拶してくる。


「 お早う。ひな。音無くん」

「 おはよ」

「 お早う。真央、こがな( こんな)男に挨拶せんでもええ」

「 ひな、そんな事言わなくても」

「 なんで、俺はこんなに嫌われとんか、訳分からんのじゃけど」

「 うるさい。黙りんさいや、このボケナス!近寄るなって言ったんじゃけ、話しかけなアホ!」


真央は、仁を罵るひなを観察する。

バカだアホだと、言いまくってるが本気で、怒ってる訳ではないらしい。その証拠に、ほんの少し頬が赤い。


―― 要するに、好きなんだ。それをばらしたくないからあんな態度なんだ。


真央はそう結論づけた。ただ、ひなが、必死にこんな態度を取る理由も察しがつくが、仁がその事に気づくかは怪しい。


――音無くんだけに限った事じゃないけどね。男って、こういう事なかなか気付かないからな~


真央が2人のやり取りを観察しながらそんな事を考えていると、バタバタとホームに駆け込んでくる1人の少年が現れた。


「 ギリギリセーフ。おはよ。真央。ひなとどなた?」


少年は、仁を見ながら訊いてくる。


「 渉くん。これは、音無仁。私の小学校の同級生。色々あって今日から、うちらと同じ学校」

「 ひな。これって。マジどんだけ俺の事嫌いなん。まあええわ。えーと橋田くんの噂はひな達から聞いとる。俺は、音無仁。よろしく」

「 俺は橋田渉。よろしく、音無」


と少年-渉は、人懐こい笑顔で仁と握手する。仁はどこかむず痒いような顔で、こう言った。


「 仁でええ。名字で呼ばれると変な感じするけぇ」

「 どういう事?」

「 雫って、双子の妹がおるんよ。じゃけ周りから下の名前でしか呼ばれた事ない」

「 なるほど。俺の事も、渉って呼んでくれ」

「 わかった。渉」


そんな会話を交わしてるうちに、電車がやって来た。

ひな達は、電車に乗ると渉が口を開く。


「 やっぱり、4人だと落ち着くな。あいつがいなくなってから、違和感ありあり」


ついそんな事を言ってしまってから、やべぇと粒やき、チラッとひなや真央の方を見る。初対面の人の前で亡くったはずの人間の話をするなと、言われまいかと思ったが、ひなも真央も平然としてる。

 ただし、仁だけが違う反応を見せた。



「 あいつって、平原夕陽の事?」

「 へっ? そうだけど、なんで、夕陽の事知ってるんだ?」


渉は、目をぱちくりしながら質問する。


「 夕陽は、俺の従兄弟なんよ。ついでに言うと、夏休み中に、ひなや長谷川から話聞いたし」

「 ちょっとまて? 仁は、俺達以外に夕陽に関して、本当の事を記憶してるって事?」

「 そういう事になるな」


渉は、少しの間ぽかんとして、仁に、訊き返す。


「 えー?? 本当かよ。証拠は?」

「 渉。この話長くなるけぇ、放課後話そう。なっ」

「 あっうん」


仁の言葉に、渉は落ちついたようだが、納得いかないようで、少しむくれていた。


―――


学校に着くと、一度、仁はひな達と別れて、職員室に向かい、編入生である事を告げる。暫く待っていると、担任の先生がやってくる。担任に連れられて、教室に向かう。ちなみにクラスは、一年三組だ。

先に担任が教室に入る。仁は呼ばれるまで待機だ。


「 では、音無くん。入って下さい。」


そう促され仁は、教室入る。

教室中の視線が集まる。なんだ、野郎かよと、舌打ちしそうな顔で見る男子生徒と品定めするような目で、見つめる女子生徒の視線を受けて、仁は自己紹介した。


「 音無仁です。よろしくお願いします」


教室を見渡すと、さっき知り合った渉がいたその隣は、真央がいるところを見ると、出席番号順に席は並んでいるらしい。

その後ろのひなの席は、ぽっかり空いてるから欠席なのだろうと思っていたら、先生からひなの隣に座るよう言われた。


「 このさし (定規)の長さ分近寄りんさなんな。ええね」


ひなは、ペンケースから定規を出して、朝と同じようなセリフを言った。


その後は、ひなが仁を邪険に扱うだけで、つつがなく始業式がすんだ。

放課後になり、待ちきれない渉が話しかけてくる。


「 なあ、朝の話だけど。」

「 ファミレスでお昼食べながら、ゆっくり話そうよ」


真央がそんな提案をしてくる。


「 そうしょ。お腹ペコペコじゃし」

「 俺も」

「 学校じゃ他の奴らに聞かれるしな。行こうぜ。ファミレス」


4人は、ファミレスに移動して話をする事にした。


学校近くのファミレスに入り、席に座って、注文した後、仁が口を開く。


「 えーと何話したらええ?長谷川やひなに話した事皆?」

「 うん。仁が夕陽の事で知ってる事全部」

「 ええと、あいつが亡くって少し後からの事話そうか」



仁は、そう言うと自身の身の回りで起きた事を話し始めた。


「 夕陽は、小学生を助けようとして、車にはねられて亡くなって数日たったくらいかな? 親父が変な事言い出したんよ。

『 律と夕陽が今度、うちに遊びにくるらしいで』 それ聞いた時、親父頭狂ったか?って思った。律が夕陽の双子の姉なのは知っとる?」

「うん。全寮制の女子中に通ってたから、会った事はないけど、噂には聞いてた」


と渉は答える。その答えに頷き、仁は話を続ける。


「律は、事故で亡くなってるから、本当はこの世にいない。けど、俺と俺の双子の妹以外の家族。両親と一番下の妹は否定せん。しかも、夕陽は一番下の妹と同い年、中1だって言う。それとなく、妹に訊いた。『 何言うとん?兄ちゃんおかしいんじゃない。律も夕陽もウチと同い年じゃん』 このセリフを聞いた時、おかしくなったのは、家族じゃのうて、俺らの方って本気で悩んだよ」


仁は、そこまで話すと水をガブリと飲んで一息つく。


「 そしたら、先月、俺の実家に来る途中に事故にあって入院したって」

「 ええ!夕陽は、今どうゆう状態なんだよ?」


今の夕陽の姿を、知らない渉は驚きの声をあげる。

仁は、先日話して今の夕陽の姿を知ってる真央とひなに目配せして、渉にこう前置きをした。


「 渉。今から何聞いても、何見ても驚きんさんなよ?」

「 おう」

「 夕陽は、結論から言うと、女の子にかっとる」

「はい。どういう事? 」


仁から聞かされた事実が突拍子過ぎて、渉は、頭がついていかない様子で口をぽかんと開けてる。


「 ええと、事故が原因で、さっき言うた、夕陽の双子の姉 律の体に脳を移植されとるんよ。ちなみに、その手術したん俺の親父ね」

「 えーと、要するに、事故で夕陽の体が駄目になったけど脳は、無事だからその律って子の体に移植したって事?」

「 まあ、そう言う事になっとるわな」

「 漫画や小説みたいな話じゃねぇか」

「 私も最初は、疑ったけどね。でも、今の夕陽の写真みたら渉も納得するよ」


真央は、渉にそう言った。


「 この前、雫 俺の双子の妹が送ってきた写真があるけど、見る?」

「 見せてくれ」

「ちょっと、待っとって」


仁は、そう言うとスマホを出して操作すると渉に見せた。


「うわめちゃくちゃ可愛い。夕陽の女の子バージョン。でも、不機嫌な顔で写っているのはやっぱり夕陽らしいな」


腰まで伸びた髪が特徴的な少女。その顔は、不機嫌そうである。


写真を撮られるのが大嫌いな夕陽が、いつもする顔だと渉は、写真を見ながら思った。


「 それは、そうとそっちの話聞かせてや。まだそっちで起きた事聞かせてもらっとらん。ひなと長谷川が、渉に話すまで話さんって約束じゃったんじゃけ」


仁がそう言うと、真央が口を開く。


「 夕陽が亡くなって少ししてかな。異変が起きたの。中学の卒アルから夕陽の写真がことごとく消えてさ。あと、中学時代の友達の記憶から夕陽の事が消えてるんだよね」


まるで、最初から居なかったようにねと真央は言う。


「 俺の周りも似た感じかな、今ここにいないけど、夕陽の事覚えてるの、高橋健人ってやつと佐藤ミズキって娘だけ」

「 うちのクラスの人も同じよね。平原夕陽って同級生がいた事覚えとらん」


仁は、3人の話を聞きながらある結論に達する。


「 本当の夕陽の事覚えてるの人って、夕陽と深く関わった人だけって事かね」

「 うーん。 うちらはそうかも知れんけど、仁の方は、違うじゃろ? 仁の家族は、うちらよりもっと深く関わっとるが。じゃに、本当の夕陽の事をあんたと雫以外覚えとらんっておかしいじゃろ」


ひなは、ズバズバと言った。


「 ひなの言う通りじゃ。でも、なんでかわからんよの」

「 とりあえず、夕陽に会って、話聞けたらいいな」

「 でも、どうやって会うの? 会えても、向こうが私達の事、忘れてるかも」


真央は、そう言う。


しばらく、夕陽に会う方法を話していたが、結局、結論は出ずじまいだった。


お昼を食べ終え、各々ドリンクバーで取ってきたドリンクを飲みながら、渉は、疑問を口にする。


「そいや、なんで仁は、実家離れてるの?」

「うー、色々あってさ、家族。正確には親父と距離置く意味で、実家離れたん。一学期いっぱいは、音無の本家に居候しとってさ。そしたら、伯父さん。夕陽のお父さんが、うちに来いって言ってくれたけぇ、今は夕陽の実家におる。ってなんで、こんな事訊いてくるん?」

 

と非難めいた視線で仁は、渉を見る。

渉は、気まずげに頬をかきつつ答えた。


「べつに大した意味ない。ただ、仁がこう、思いつめたような顔してるからさ、よっぽど辛い思いしてんのかと思ってよ。ごめん。野次馬根性とかで訊いたんじゃないんだ」


――むちゃくちゃいいヤツじゃん。いけねぇな。旭ヶ丘じゃ、人の足を引っ張るのに必死な連中と一緒じゃったけぇ、変な勘ぐりするくせがついとる。


「こっちこそごめん。渉の事疑って」

「うーん、いい。気にしてねぇし」

 

と二人は、そんな会話を交わす。


さて、四人が夕陽と会った時、どんな事が起きるのか?

今は、神のみぞ知る事である。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ