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異世界から戻ったおれが、双子の姉の姿になっていた件。  作者: ねこた まこと
一章 異世界から戻ったおれの新しい日常☆

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16/35

頭撫でて。



再入院した翌日の昼。



「 汗かいた。気持ち悪い」


夕陽は、体を起こしてベッドから出る。

まだ、本調子ではないので体を起こすのも辛いが、かいた汗を放置しておく訳にもいかないので、ベッドサイドのロッカーから着替えと汗拭きシートを出す。

着ていたパジャマを脱いで、汗拭きシートで体を拭くと新しいパジャマに着替えた。


「 さっぱりしたけど、髪臭わんよね?」


夕陽は自分の髪を一房持って、匂いや手触りを確認し、顔をしかめる。


―――ベタつくし臭う気がする。お風呂入れんけぇ仕方ないけど、せめて髪ぐらい洗えたらいいのに。


「 何やってるの?夕陽。髪の匂い嗅いで?」


 病室に様子を見にきた瞳子が、娘の行動に不審そうな目を向けていた。


「 髪を洗っとらんけぇ、臭いとかベタつきが気になるんよ。ねっちょっと確かめてぇや」


と夕陽にせがまれ、瞳子は触ったり臭いを嗅ぐが夕陽が言うほどではない。


「 別に気にならないけど」

「 なら、ええけど」


 夕陽は、ベッドに横たわるが、さっき口で言った事とは裏腹に気になるらしく、まだ仕切りに髪の毛をイジったり、臭いを嗅いだりしてる。

瞳子は、夕陽の洗濯物をロッカーから出したり、新しい着替えを入れたりしながら、密かに観察していた。


――本当に人って変わるのねぇ。男の子だった頃、うちにお泊りする時、お風呂なんかカラスの行水で、まともに洗ってんだがないんだか、わからなかったのに。今じゃ、一日お風呂入らなかっただけで、気にしてるんだから。まぁこれも、『林原くん』のお陰かしらね。


瞳子は、荷物の整頓が済んだタイミングで、夕陽にある事を告げた。


「 今日、林原くんお見舞いに来てくれるって、よかったわね」

「 ええ?!」


瞳子の意外な一言に驚いて、夕陽は、飛び起きる。


「 雫に頼んで、夕陽の入院知らせてもらったの」

「 なんで知らせとんよ。母さん」

「 なんでって、娘の大事な人に知らせて何が悪いのよ?」

「 色々問題あるんよ。 おれ、お風呂に入っとらんけぇきしゃない し(汚いし )」

「 へー。でも、実はもう来てるのよね」


瞳子は楽しそうに言ってから、拓人を呼んだ。


「 じゃあ。私は、仕事に戻るから」

「母さん」


 夕陽は、瞳子を呼び止めたが、瞳子は、無視して笑顔で病室を出ていった。

残された二人は、お互いを見つめ合う。

――さっきの会話丸聞こえだったんだが、僕、来ちゃマズくなかったか?

――うわわあん。母さんのバカ!ドア開けっ放しじゃったけぇ、さっきの丸聞こえじゃん。恥ずいー。穴があったら入りたい。


微妙に気まずい雰囲気だが、話さないのもなと思った拓人は、差し当たりのない話題を振った。


「 あー、調子はどう?」

「 昨日よりましじゃけど、まだダルい」


夕陽は、モゴモゴと小声だ。まだ少し恥ずかしいらしい。だが、拓人はそこは、気にせず、いつもの調子で話す。


「 そうなんだ。雫は、ものすごい熱で魘されてるって、言ってたけど、元気そうでよかった」

「 うん。昨日は凄い高かった。 一時、40℃くらいまで上がったって。おれは覚えていないけど」

「 40℃ 」


――40度ってヤバイじゃないか。まぁ本人はケロっとしてるけど。


「 今も、37℃から38℃行ったり来たりで、なかなか下がらん。おかげで熱いしダルい」

「 そう。どれ?」

「 うわ!」


拓人は、夕陽のおでこに手をあてる。

夕陽は、拓人に触れられているので、ますます熱くなる気がした。


「 熱いな。確かに」

「 おれは、どっかの誰かが、触るけぇますます熱くなった」

「 ごめん。でもさ、どのくらい熱いか触ってみないとわからないからさ」

「 うう。じゃったら、頭撫でて」

「 触られるの嫌なんじゃないの?」


――ホンマに意地悪なんじゃけん。ほんとは、かまってほしいの知っとるクセに。


「 いきなり触るけぇじゃ。今は、ええの」

「 はいはい。わかったよ」


拓人は、夕陽のお願いに苦笑いで答えた。


「 拓人さんの手気持ちいい」


安心仕切ったのか、夕陽はウトウトし始めた。


やがて、本格的に寝息をたて始めた夕陽。


「 やれやれ、手のかかる彼女だよ」


 拓人は、夕陽の頭から手を離すと、ため息まじりに、そうひとりごちたのだった。







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