猫バカな彼女
番外編的なお話です。
おにゃんこさんのセリフに、括弧で訳をつけてます。
「 おにゃんこさん、ふわふわにゃー」
「 んなな」
ある日の拓人の部屋では、勉強後のストレス解消と称して、夕陽がおにゃんこさんをモフモフしていた。
「 僕も猫好きだけど、そこまで、出来ないな。そもそも、猫の毛に顔よく埋められるね」
「 おれも昔は、ありえないって思っとったよ。 猫飼うまでは。でも、実家で猫飼いはじめた時に、ふわふわな毛に触れてたら、普通に触るだけじゃ満足出来なくなったんよ 」
夕陽は、おにゃんこさんの肉球をクンクンしながら言う。
夕陽の顔、幸せいっぱいだ。例えるなら、幼子が大好物の食物を食べてる時のように、満面の笑みを浮かべてる。
そんな夕陽とは反対に、拓人は嫌な顔しながら言う。
「 理緒もそれやるけど、そんなにいいの?」
「 いいよ〜匂いがたまらん。あと、このプニプニが、気持ちいい」
ヘニャヘニャな笑顔で、肉球の魅力を力説する夕陽を呆れ顔で、見つめる拓人。
「 全くなあ、猫好きもそこまでくりゃ、猫バカもしくは、にゃんこバカだな」
「 いいじゃん。 好きなんじゃもん」
夕陽は怒ったように言うが、顔は、ヘニャヘニャな笑顔のままである。
だが、おにゃんこさんは、夕陽にベタベタされて少々迷惑そうである。
「 んなな。んな! ( 夕陽、下ろして)」
「 ごめん。下りるの? はい、よいしょ」
「 んなーん。 んな。( それより、撫でて)」
おにゃんこさんは、大の字に寝転ぶとお腹を見せた。
夕陽は、おにゃんこさんの頭や喉を撫でる。おにゃんこさんは、喉をゴロゴロ鳴らしてご機嫌である。
「 夕陽さ。おにゃんこさんと戯れるのもいいけど、僕を構ってくれないのかな?」
拓人は、意地悪な笑みを浮かべて、夕陽にそんな質問を投げ掛けた。
「 もしかして、怒っとる? 」
夕陽は、おにゃんこさんを撫でるのを止めると、恐る恐る訊いてみた。
「 別に怒ってないよ。ただ、夕陽をおにゃんこさんにとられた気がして、焼きもち焼いただけ」
「 んもー、おにゃんこさんに、焼きもち焼かんといてや。 怒ったかと思って、焦ったじゃん」
夕陽は、拓人の背中をポカポカ叩くとプーッと膨れっ面になりプイッとそっぽを向いた。
「 ごめん。おにゃんこさんにもう焼きもち焼かないから。機嫌直して」
「 ほんま?」
「 ほんま。ほんま。だから、こっち向いて」
夕陽は、拓人の方に向き直る。やや膨れ面で拓人を見ている。完全に機嫌が治った訳ではないが、
「 なら、許してあげる」
「 よかった」
拓人が、安心したところで夕陽は、おにゃんこさんを抱っこして、こうおねだりする。
「 おれは、梅屋の三色団子が食べたいにゃー。今すぐ、買いに行くにゃー」
「 んななん」
と夕陽のおねだりに合わせて、おにゃんこさんの合いの手付き。
――こんな事どこで覚えてくるんだ。
夕陽の可愛い行動に、負けた拓人は、和菓子屋さんに行く事にした。
夕陽は、しばらくこの方法で、拓人におねだりするのは別の話である。




