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異世界から戻ったおれが、双子の姉の姿になっていた件。  作者: ねこた まこと
一章 異世界から戻ったおれの新しい日常☆

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再会




家族に会う為にこっそりっと、家を出てきた夕陽は、自宅マンションから歩いて数分の駅に来ていた。


「 中島まで行くには、やっぱり乗り換えせんと駄目か」


夕陽は、路線図を見ながらかつて住んでいた町までのルートをチェックしていた。とそこに背後から声をかけられる。


「 夕陽、朝早くから、一人で何やってんのかな? 」


振り返ると、Tシャツにデニムスカートという夕陽と似た服装の雫がいた。肩にはミニリュックを背負ってる。


「 雫ちゃん。なんで、おるん? 」

「 なんでって、あんたの後ついて来たに、決まっとるでしょう。その様子だと、実家に行くつもりね」

「 うっ」


 夕陽は、雫に自分の行動をズバリと言い当てられて、言葉を詰まらせる。

雫はハアッと嘆息する。自分の予想が当たってたとその表情は語ってる。


「 やっぱり。昨日のアキとけんかしてから、ずっと泣いとったんでしょ? 目が、腫れてるし」

「 うん。アキに壊されたポータブルミュージックプレイヤーを見よったら、寂しくなったんよ。父さん達に会ったらいけんって言われてるから、全然会っとらんけど、養子になったんか理由知らんし」


 夕陽の一言に雫は一瞬だけ鬼のような顔になる。


「 まったくあのぐうたら親父。夕陽、理由話とらんの?」

「 聞いとらん」

「 はあー。 ほんまは、いけんのじゃけど、よし、夕陽、あたしも一緒に伯父さんに会いに行くよ」

「おれはええけど。大丈夫かな? 母さんの話じゃ、(すぐる)父さんとおれの本当の母さんが、すごい言い争いしたんじゃろ?音無の家とは縁を切るとかなんとかって」


 夕陽は、実の母と養父である優との間に、いざこざが、あった事を思い出してそう言った。

雫は、『そこまで知っとんなら、隠す必要ないか』と困ったように前置きしてから、続ける。


「 うんまあ事実よ。夕陽は、あたしに何言われるか心配なんじゃ?」

「 本当の母さんが、雫ちゃんに凄い罵声浴びせそうで」

「 それでも行くよ。おばさんには、ちゃんと仲良くしとりますって報告したいし」

「 わかった。実はおれ一人じゃ、不安なけぇ、一緒にきてくれると嬉しいかも」


二人は、そう決めると電車の切符を購入したところで、なぜか拓人現れた。

拓人の顔は、物凄く迷惑そうだ。


「 雫。朝からメールで人を呼び出すな」

「 だってぇ、夕陽が実の親に会いに行くって、言うだもん」

 いつもと違い、口を尖らせ砕けた口調で話す雫。そのわざとらしい態度に、拓人は、雫の要求をすぐに察した。

――相変わらず、あざとい女だな。要求がある時だけ、いつもと態度を変えやがる。



「 僕にもついて来いってか? 」

「 さすが、先輩。そうです。当然、ついて来てくれますよね?」


 雫は笑顔だが、目は全然笑ってない。これは絶対ついて来いよ。あたしの夕陽奪ったんだからと、目で訴えてるのだ

拓人も負けじと、――ほんっとに、可愛くねぇ奴だな。あくまで夕陽の為だからついて行くんであって、お前のお願いを聞いた訳じゃないぞと拓人は無言で返してやる。


「わかったよ。ついて行くよ」

「本当にありがとう」

と、夕陽は純粋に喜んでる。二人の間で、自分を取り合ってるとは知らずに。

 拓人も、電車の切符購入すると二人について電車に乗った。


「 そういや、夕陽の実家ってどこ?」

「 今は、中島市の中島地区。生まれは、雫ちゃん達と同じ広島だけど」

「 おじさんの仕事の関係で、引っ越したんよね」

「 そうなのか。中島市だと乗り換えて、一時間半くらいか?」

「 そうですね」


 しばらく、電車に揺られて一時間。途中、中島駅まで行く電車に乗り換えて、更に三十分。夕陽の実家のある中島市中島地区に到着した。


「 朝、7時前に出て、今は9時半か。でっここから何分くらい?」

「 徒歩十分くらい」


夕陽は、そう言うと歩き出した。記憶のままの街並み。

帰ってこれた嬉しさに泣きそうになる。

テケテケと二人を置き去りに、駆けるように道を辿って行く。



「 夕陽。待ってよ」

「 そうだぞ。落ち着けって。聞いちゃいねぇ」


 仕方なく拓人と雫は、早足で夕陽の後を追いかけた。

 駅から歩いていくと、住宅街に入って行く。夕陽は記憶を頼りに、実家を目指した。


「 ここだ」


夕陽は、平原と書いてある表札を見つける。

見慣れた一軒家に、懐かしさのあまり思わず泣きそうになった。

 夕陽は、意を決してインタホンを押そうとする。


「 夕陽?」


夕陽は自分を呼ぶ女性の声に振り返った。

「 母さん」


夕陽は、門を開け母紫織の元へ飛び込み抱きつく。紫織も我が子をギュッと抱きしめる。


「 会ったらいけんって言われとったけど、来てしもうた」

「 一人で来たの?」

「 えーと、雫ちゃんとあとね」


夕陽が言い終える前に、雫と拓人が現れる。


「 雫ちゃんとどなた?」


紫織は、拓人を見てキョトンとする。雫は、ともかく夕陽の友達にしては、年上に見える少年に不信感を抱く。


「 夕陽が、お付き合いしてる人。あたしの中学の先輩です」

「 雫」

「雫ちゃん。何言うとん」


拓人と夕陽が戸惑うような声を出す。


「 あら、まあ。夕陽たらいつの間にこんな素敵な人見つけて」


紫織は、ニコニコと笑いながら呑気にそう言う。


「 はじめまして、私は、平原紫織と言います。あなた、お名前は?」

「 林原拓人です」

「 母さん。呑気に自己紹介しとらんと、俺訊きたい事あるんよ」


夕陽は、二人の会話に割り込みそう言った。紫織はすぐに察したようで、真剣な眼差しで言ってくる。


「 養子になった理由を訊きたいの?」

「 うん」

「 まあ、ここじゃなんだから上がりなさい。雫ちゃんと林原くんもね」


紫織は、三人を家に招き入れた。


「 お父さんもお兄ちゃんもいないから、大丈夫よ」

「 うん」


紫織は、三人にお茶を出しながら、話始める。


「 夕陽を音無の家に養子に出したのはね。私のせいね。 夕陽の移植手術に、最後まで反対したから」


 姉の体を使って生きる事と、性別を変えて生きていくという二重の辛さを味わせるなんて、させたくないと言って紫織は、大反対した。


「 けど、最終的に父さんの願いを優さんは、聞き入れた。私は恨んだわ。なんて、酷い事をするのって」


夕陽の父は、このままでは、紫織も夕陽も平穏に暮らせないと判断し、音無の家に養子に夕陽を出したと紫織は話す。


「 最初はお父さんを責めたけど、瞳子さんからあなたの様子を聞いて、大丈夫と思ったの」


紫織は、拓人を見てこう言った。


「 これからも、娘の事よろしくね」

「 はい」


拓人は、背筋を伸ばして返事した。


「 お父さんやお兄ちゃんには、拓人くんの事秘密にしとくわね」


といたずらっぽく微笑み紫織はそう言った。

「うん。そうしてお願い。隆史父さんや朝陽兄さん、拓人さんにぶち(すごい)焼き餅焼きそうじゃもん」


 女の約束ね。そう言って指切りをした。彼氏が出来た事を純粋に喜んでくれた事や普通に会話が出来た事が嬉しいなと思った夕陽だった。




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