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邪神とカタルシス  作者: クルルプ
1/1

其々の邪神

【0話.森】


真黒な絵の具をそのまま全て溶かし、

他の原色は在るのか分からないまでに黒い世界。


その世界の大部分は、森、山、都、

幻想の4つが占めていた。


闇夜に照らされた草伝う雫は静かに


落つる音を重ねる。


森は静かに、そして重く


揺れ動いていた。


草木は息を殺すように佇んでおり、

この森に住む動物もまた、

息をせずに眠っていた。


淡く紅く、淡く紫色(しいろ)に染る

霧は森を駆け巡りながら、只一人歩く者を避け、漂い続けている


その霧は有りとあらゆる生物の肺を循環し、活力を奪い続ける死の霧。


そんな悍ましき森をただ独り歩き続ける生物。


そう、彼女こそ。


この森の主事、ルプス=レッカータ


その身体はか細く、肩から尻に掛けてまで鋭利に竜鱗連なるその姿は、

深淵なるその夜下にて月光を

甘んじる事なく受け続け、真黒。


されど艶かしく紫色に輝き、森を

その身体に写し続けている。


その姿は女体であると断言して良いだろう。

大小偏る事のない大きさの胸。

手足をもまた連なる竜鱗、顔は薄暗きその表情の中に吸い込まれるかの様な深い深い美貌。

この世の者ではないと言っても良いのではないだろうか。

そう、彼女は正真正銘、邪神なのだから。


また、彼女は竜鏡という名を持っていた。

その姿は人に似てなり、竜にも似つつ、その姿は光なき時も何かを写し続けていた。


彼女の力は『帰すこと。』


己が身に降りかかるもの全てを、

有りの侭に相手に帰すのだ。


それが優しさ、愛、憎しみ、憎悪

殺意。


何であれ だ。




【1話.山】

激しい旋風が吹き荒れ、幾千の葉が

舞、舞、舞う中、2人は話を交わしていた。


『のう、アガリよ。』


『何でしょうか、爺よ。』


天に届く程に聳えたち、上に続くにつれ面積を失っていく槍の様な山。


この山を人々は仙人の住む山

《仙山》と呼んでいる。


その頂上は、矛状に二つに分かれており、その鋭利な先に1人の老人と1人の女が在った。



『アガリよ、貴様の力を心得ているか?』


『爺よ、勿論心得ていますよ。』


『本質を分ける力だな。』


『触りさえすれば、理想とする

量と質に分ける事ができます。』



『儂の事が気に入らなければ、空気と同等に分解も?』


『それは到底出来ません。』


『何故に?』


『貴方の居る所に手が届かないからです。』


『抜かしよる』


【2話.都】

魔鉱が盛んなこの都。

アルニア王国


街中は、低高のある建物で、凸凹としており、常に紫、水、紅色の混合した煙を煙突から、此れでもかというくらいに吐き続けられていた。


その都は、地下都市、地上都市、

天界都市と命名されて三部構成に

造り分けられていた。


地下都市は、鋼鉄の発掘などの資源取り、主に低階級の奴隷の扱いを受ける様な者がほとんどで、地上都市は

其れの加工と売買がほとんど。


地下都市出身の者の大概、足下は異臭を放っており、一枚しかない粗悪なシャツは様々な害を掠れ写り取り、とても気味の悪い色に染まっていた。


また、地上都市は、暴力と嘘が蔓延し、

それを否定する者は決して生きていけない愚か者として扱われる場所であった。


そう、生きている心地がしない。

それは、天界都市に住む神々と天使以外が

常に思い続けていた事であった。






【3話.幻想】


此処は儚く、そして永遠に散る処。


命の散り際を最高の美を持って表現するその瞬間を、常に再現し続ける



そんな場所だ。


例えを用いるならば、無数の落つる水を総称して、【滝】と呼ぶように。


其処は、映像として捉えるのに充分すぎる量の命が流れ続けていた。


『見えますか?』


そう言葉を用いたのは、百足(ムカデ)の様な"何か"である。


『あ、ごめん滝に魅入ってたわ。

ん〜…つまり見てない。』

返すは、巨大人型カエル。


とは言っても、彼の腕は8本生えており、

どの生き物にも形容し難い容姿ではあったが。


突如、熱を帯び辺り一帯の湿った床から

大量の水分が気化し始める。

その温度はおよそ

200°程度。


『あー…トトンナ、すまん。俺の子喰って良いから許して!!!』

カエルに似た異形は、慌てて百足に似た何かへ向かってペタペタと走りながら頭を下げる。



『待て、違う。侵入者がいるんだ。』


そう、単調な言葉を重ねるトトンナという呼び名の百足(ムカデ)っぽい"何か"


『それって…』

カエルに似た異形は、自身に対する怒りではない事に安堵しつつも、ここまで怒りを露わにするトトンナに対して不安を募らせる。


『我らの同族、邪神が来るぞ。

準備せよ、エルビィ=ドァッンェ』

百足の熱は、獄炎をも生み、

その灯火が暗い洞窟を照らし、穴から穴をかけて無数に蔓延るトトンナの身体を強調する。



<世界の半分の身体を持ちつつ、永遠に分割する意思と命を持つ百足の邪神

トトンナ=ルル>


<闇を喰い、影を生み、影を喰い、生を生み、生を食い、闇を生む暴食の輪廻を構築せし蛙の邪神エルビィ=ドァッンェ>


そして、

彼等を殺しにきた第三者の邪神。


《未知》










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