表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/36

自己紹介part1

 今日は入学式の次の日です。今日の予定は世界のルールを説明しようかな。それとも、ギルドに顔を出そうか……。うーん……。よし! 三つ目の候補、自己紹介にしよう。


 ガラッ


 今日やることを決め、教室の扉を開く。すぐに私に気付いた夏希に挨拶をする。


「おはよー、三葉」

「うん。今日は自己紹介にするけど、良い?」

「自己紹介? やったー! 授業なしだー」

「そんなに嬉しい……?」

「当たり前だよー。えへへ」


 やっぱり勉強は嫌いな人が多いよねえ。まぁ、勉強したくないしね。


*  *  *  *  *  *  *  *


「これから自己紹介をします。名前順にお願いします」


 うちの学校、と言うか学園?は、複雑+高難易度の無害な広範囲魔法によって、〝詳しくは思い出せないけどずっと前からあるような気がする〟と言う洗脳による認識で今年、創立された。地球の日本中から私の母の魔法によって探し出された強大な魔力を持つ子供達。このまま放っておくのは危険だと判断し、うちの学園で引き取ることになった。言葉がほんの少し違う気がしないでもない。


 準備期間が足りない為か教師の数が足りないので、こうして私が教師代理として今日やることなどを決めることになっていた。


 クラスメイトの髪とか眼の色も考えていよっかなー。暇過ぎるどうしよう)ボソッ


「荒木翔太……です。能力は毒と光の属性。武道をたしなんでいます。生徒会役員なので、何かあったら言ってください」


 やっぱり、紫の髪って目立つよねー。目は黄色……反対色って言うんだっけ?って言うか、文章喋る翔太君とかレア過ぎる。


「鏑木乃伊だ。俺はミイラっつうか、ゾンビかな。不死身なんだ。よろしくな!」


 クリーム色の髪と目ってのも……。髪の毛ふわふわしてるし可愛すぎか! 元気いっぱいで羨ましい。


「くー……くー……」

「三葉、悠どうする?」

「ゆーくんは、ほっとこうか」


 次は私の数人いる幼馴染みの一人であるゆーくんこと、花月悠の番だったが、どうせ後で起きるしほっとこうっと。柚君が首を傾げたままなので、首を横に振って応えた。


「汐見柚です。能力は言霊と毒属性。生徒会役員なので、何かあったら言ってね。よろしく」


 柚君も可愛いよねー。宝石のアメジストの様な綺麗な目も素敵だし。私なんて―――。


「さ、佐和波紡ですっ。能力は武器を使って戦う事ですっ。よ、よろしくお願いしますっ」


 紡君は戦闘狂。武器を持った途端に豹変するんだったよね。最近見てないから、危ないことにならないよう気を付けないと。そういえば、スキルも持ってるっていう話だったね。刀に触れれば使い方・持ち方が分かるってことなんだよね……。便利だわー。解析魔法、で合ってるはず。


「沢城……一真。能力は闇属性。よろしく」


 一真君はカッコいいな。片目だけ隠してるってのもクールっぽくてカッコいい。……いや、中二病だなんて全く全然これっぽっちも思ってないよ。


「時雨夏希だ。あたしは雨乞いの巫女って呼ばれてたんだ。雨降らすことが出来て、あとは武器として体術も得意。よろしくな」


 夏希もカッコいいなー。男勝りだし、頼りになるオーラが凄い出てる。体育委員とか任せられそう。


「白樫空です。隣のクラスの緋杜椎弓の弟子で、精霊術師をやってます。よろしくお願いします」


 そういえば空は椎君の弟子なんだよね。だから、練習しなくても魔力が暴走する事も無い。うんうん、コントロール超大事。


「下野沙羅。専門は結界術。よろしく」


 沙羅は青緑の髪と目だっけ、何に影響してるんだろう? 青緑か……。それにしても、結界術専門だと、研究する部屋が必要かな。後で聞いてみよっと。


「ちゅくっ……月読里桜ですっ。吸血鬼で、保険医の月読十六夜の妹ですっ。えっ、と……基本的に夜行性なので日の出ている時間は元気が無いですが、気にしないでくださいっ。よ、よろしくお願いしますっ」


 吸血鬼特有の銀髪に赤い瞳ってのも、神秘的で美しい。十六夜先生は見慣れちゃったし――向こうの世界の吸血鬼って、研究者ばっかりで、しかも、引きこもりがちな人ばっかりだし――、女の吸血鬼かぁ……今度会いに行こうかな。


「初雪梓ですっ。メデューサで相手を固まらせる事が出来ます。氷属性もあって、雷とかあるよね? あれも凍らして戦ったりするんだー。よろしくっ」


 梓の氷属性って、かなり凄いんだよね。自然現象を凍らすとか、普通出来ないもん。あ、私の常識っておかしいんだっけ?前に誰かに言われた気がする……。どの辺が非常識なんだろう、失礼だわー。


 あ、次、私の番だ。


「姫百合三葉です。能力は全属性で、魔力も大量にあるし、体術もそれなりに出来るので、強いかなーって思います。生徒会長なんで、困った事があったら何でも言ってください。よろしくお願いします」

「ぜ、全属性……」

「魔力……大量……」

「体術もそれなりに……?」

「……ふわぁーっ。だから、非常識だって……」


 私の言葉に動揺する同級生達の声で、目を擦りながら俯せで寝ていたゆーくんがのっそりと体を起こす。ぼそぼそとした声で文句を言われる。


「ずぅぅっと、寝てる人の方が非常識だと思うよ?」

「……魔法に……関しての…常識が……おかしい……」

「そ、それは……周りの人が強すぎるのっ」

「強すぎるのは、三葉の方だよ……」

「はぁ、ねむ……。花月悠。狼人間。よろしく」


 欠伸をしつつ、一瞬だけ立ち上がって簡潔に自己紹介をするゆーくん。


「「「「「か、簡潔すぎる……」」」」」


 カタカタ。カタカタ。カタカタ。


 ゆーくんが自己紹介を終え、即眠る。その直ぐあと、教室のあちこちから何かが動く音が聞こえてきた。


「ひっ……」

「な、何の音……?」


 皆が怯えるなか、私の足下に小さな物体が踊り出る。間違いではなく、まさしくクルクル回って踊って出てきたのだ。学ランを着ていて、某ラノベの妖精さんのようである。


「おはよう。皆。びっくりしたかな?」

「人形遣いって、羨ましいよねぇ」


 しゅたっ、と決めポーズをした学ラン妖精さんは指先からお手製の星を出して、ついでに周囲をぴかーんと光らせる。その可愛らしい動きを前に私は小さくパチパチと拍手をする。はぁ、ちっちゃくて可愛いなぁ。


「え? 人形遣いって、何の事?って言うか、誰?」

「御巫そなた君の魔法だよ。人形遣いっていうのは、そのまんまの意味。自分で人形を作って、動かす魔法なんだ。ちなみに、ここにいる人形から聞こえた声はそなた君の声だけど、彼自身の思考から抽出した言葉を人形が喋っただけだから、そなた君の声な訳じゃないんだよね。合ってるでしょ?」


 私は最後の一言だけそなた君の人形の方を向き、質問した。

 そなた君と会話出来るのは、私と柚君と奏君しかいない。そなた君は独特な話し方をする。単語だけを話すのだ。例えば、自分は学園に登校する。という、文章だったら、「……学園……登校……」としか言わない。

 私はなんとなくて会話してるから解るんだけど、柚君は何でなんだろう? 奏君はまぁ、当然だけど。


 と、いうわけで……。目の前にある机によじ登ったにこにこと笑うそなた君人形に話し掛ける。


「お見事。正解だよ」

「やたっ。ねぇ、そなた君、いま、屋上にいるんでしょ? 今から行くからちょっと待っててくれる?」

「解った。待っているよ」


 うーん。そなた君の声で流暢に話されると、違和感しかないな。いつもたどたどしいって訳でも無いんだけど、っていうか、たどたどしい感じって言うか単語でしか話さないのに、普通に話されるとなぁ……。


「じゃあ、私は屋上に行ってくるね。チャイム鳴るまで、遊んでてー」


 ガラッ。


*  *  *  *  *  *  *  *


「そなたくーん?」

「……何……」


 屋上までの階段を、身体強化魔法で足を早くして二段飛ばしぐらいで上がる。飛びたい気持ちもあるけど、ちょっと危ないからねぇ。

 重い扉を開けると、胡座をかいているそなた君が若干強い風を受けながら座っていた。近くには、さっきのみたいな人形が数体見える。


「ちゃんと授業には出ないと駄目だよ?」


 そう言って私は、屋上で寝ているそなた君の隣に座った。


「……自己紹介……」

「確かにそうだけど……。でもやっぱり、駄目ーーーじゃ、ないかも?」

「………」


 駄目とか思ったけど、特に問題はなかったね。自己紹介なんて、特に重要でも無いしね。


「うん。駄目じゃないね。ごめん、駄目じゃなかったよ。……ん? ねぇそなた君。何か、企んでる?」

「……正解……」


 いつもとは少し、違う雰囲気を漂わせているので質問してみると、正解と答えが返ってきた。彼の魔法を頭に思い浮かべつつ、わくわくしながら詳細を尋ねる。


「……人形……大量……行進」

「へぇ~。楽しい事、考えたねぇ」

「……見る……?」

「見れるの? 見せて見せて」


 無表情ながらも話に興味を示したのが嬉しいのか、判りにくいながらもほんのちょっと口元を綻ばせて、どこかの教室が映し出されているらしい映像を見せてくれる。

 何から映像が出てるんだろうかと首を傾げていると、そなた君が体をずらすと手には硝子玉があった。占い(イコール)で思い浮かぶあの硝子玉。どうやらさっき教室で会った、そなた君人形とは違う人形の目に対となる硝子玉が入ってるっぽい。


「……映像……隠した……人形……」

「そなた君、さっすが。用意が良いねー」

「……照れ……」


 可愛いなぁ。顔背けたし、目逸らしたし、顔赤いしっ。顔が整ってる分、かなり! 可愛い!


「……変……三葉……怯え」

「えっ? そ、そんなに!?」

「……くすくす……」

「あれ? そなた君、笑っ……あっ! こ、これ……やり過ぎなんじゃ……!」


 やり過ぎな気がする映像が流れ、流石に止めに入ろうと立ち上がろうとしたその時。


「そんなことないですよ? 姫様」


 またも声がした。私とそなた君以外の声が。踏み潰さない為に座り直し、顔が見えるギリギリの位置で背中を向けているそなた君の肩に視線を向ける。

 そこには細部まで再現した騎士服を着た、やはり片手に乗れるようなサイズの人形がいた。黒を基調とした服に赤と金の飾りが付けられているもので、戦うための服ではなく、見せるための服だと思う。この服だと動きにくいだろうし。


「でも、人形騎士さん。これは……大量過ぎると言いますか……」


 人形の騎士なので人形騎士。安易? いやいや、そなた君が命を吹き込む人形達には、注がれた魔力に相当する実力を持つ。この小さな騎士様もきっと、とてつもなく強いことだろう。そして私のネーミングセンスは絶対安易ではないと言わせてもらおう。


「ふふ、そうでも無いですよ。サプライズとしては、少な……むご。むごむご」

「……駄目……」


 言ってはいけないことだったらしく、言いかけた人形騎士さんの口をそなた君が慌てて塞ぐ。


「おや、これは失礼」

「まあ、助ける気は無いし、ゆっくり眺めていようか」


 と、まあ、面倒事は嫌なので、私はそなた君と人形騎士さんと映像を眺めていることにしました。考えを改めて助けに行くなんて考えてすらいないです、はい。

自己紹介で沢山出てきますが、これで、B組はおしまいですね。

少ないと思うと思うんですけど、これはB組だけなので……。すいません。


次の話は、他のクラスの自己紹介を見せたいと思います。A組は伍峰奏目線。C組は春宮茜目線でお送りします。お楽しみくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ