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店員さんありがとうございます

———ってのは俺の心の内、実際は言い知れぬ恥ずかさを持った俺は、それをどこにも当てる事ができずに心の底で爆発させていた。

 ただただ恥ずかしさで埋め付くされた俺は、その場に硬直するしかなかったのであった。


  そして数分後、

「おーい幸太郎、私への服選びは」

  呆れ顔のメメナさんが硬直する俺の元へとやって来た、そしてそれは呆れ顔を通り越してすでに目が冷たい、まるで虫けらを見る様な目だ。

「いやっ、ちょっと色々ありましてっ」

  心中がまだ穏やかでない俺は逐一声が弾む、無様だ

「ふーん、私への服選びは?」

「服選びはっ、その……今やってますっ」

「ふーん、ホント?」

「ホント………かも」

「嘘だ」

「……すいません…」

  あぁ…無様すぎる……メンタルが欲しい……

  メメナは無様な虫けらの様な俺を見てため息を一つ。

「まー、期待はしてなかったからさ。私の監督不届きって事だよね」

  珍しくメメナが落胆している、いや初めてかもしれない。


「行こっか……」

「え?」

  メメナの不意な一言

  行くって…俺がちゃんと服を選んでなかったから?俺のメンタルが弱すぎるから?

  メメナは一人でに出口へと歩いて行く

「あ、ちょっと」

  その言葉も聞かずにメメナは歩いて行く。


「ちょっと待てよ」

  俺はメメナの手を掴む。その手は力が入ってないようでダラーんとしていた。


「まだ一つも服買ってないじゃん、まだ始まったばかりだし」

  白ジャージの背中に語りかける、そこからは言い知れぬ何かを感じた。

  メメナは俺の問いにゆっくりと答えてくれた。


「だって……折角の——」

  いつになく弱気なメメナ、その先は口を閉ざして語られなかった。でも俺は理解した、でも俺は正攻法を知らない、この現状を打破する正解を……


  無言のまま過ぎ去る時間、周りの雑音がやけに大きく聞こえた。


「早くしなさい!うすのろハゲ!しめ縄で文殊縛りにするわよ!」

「はいぃっ!ありがとうございますっ!」


  素晴らしい雑音だった、早く行け!空気を読め!邪魔だ!


  そんな俺の気など梅雨知らずなSMカップルは

「あら?このお店良さげじゃない、入るわよ」

「はぃっ!分かりました!」


  入ってくんなぁぁぁぁ!メメナと俺の気持ちを察しろぉお!


「・・・・・・・・・・・・・・・」

  メメナはSMカップルと入れ違う様に動き出す。


「うわっ」

  いきなり動き出した為、引っ張られてつまづきそうになる。その間に俺とメメナと手が離れる、そして俺はそのまま体制を崩し転びそうに——


  でも俺は転ばなかった。何故なら後ろから抑えてくれた人がいたから。

  驚いて後ろを見ると、そこにはあの可愛い店員さんが


「私に任せて」

  店員さんは俺に一つウインクをすると、歩き去って行くメメナの元へと駆け寄って行く。

  俺はただ呆然と、やり取りをする二人を見る。何かを話している様だけど生憎雑音で聞こえない。


 数十秒の後に、店員さんを筆頭に二人は俺の所に戻って来て

「これから服選びの開始よ」

  店員さんは明るく一言、そしてメメナも


「開始よ、ひゃー!」

  金色の髪をふわふわ揺らす、普段通りのハツラツなメメナに戻っている。

  さっきまでしんみりしてたのに……店員さんスゲーよ。

  感嘆のあまり店員さんの方を向くと、俺のそんな気を感じたのか、店員さんはパチリとウインクしてくれる。

  恐らくはあれで何人もの男を落として来たんだな、うん。


  メメナと店員さんはもう打ち解けた様に楽し気にして店内へと歩みを進める。そして俺は二人の背丈の違う背中を見て


「これがいわゆる女子力か、見習う所があります、店員さん。そして、ありがとうございます」

  小さな声で呟く様に言った感謝の気持ち。

  届いてないだろうな、だって届かない様にして言ったし、何故かって?

  だって、恥ずかしいだろうがよ



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