ありがちなバッタリ
しばらくすると、道の先に大きな白い砦のような物が見えてきた。
「あれが街なのか?」
「そうだと思いますけど……。わたくしも人の話声を盗み聞きしていただけなので、あまり詳しくは分からないです」
盗み聞きね、商人か誰かかな? そうすると、ここは市とかあるのかな?
「どうでしょうね……。まぁ、行ってみればわかりますよ」
それもそうだな。
2人は会話をしながら街に向かう。この時もやっぱり腕と腕はピッタリしたまま。風が強くなってきて寒くなってきたから別にいいんだけど……。うん、イロイロ当たったり当たらなかったりしてるけど、他意はないよ?
そんなこんなで、砦の前に。砦には大きな門があり、その周りには大きな堀がある。なんか、一種の要塞になってるんじゃないかって位の用心ぶりである。
門まで行くには、跳ね橋を渡らなくてはならない。跳ね橋の前には守衛さんらしき人が居たので、話しかけようとすると。
「おい、貴様ら。入国審査署を出せ。」
……めっちゃ高圧的な態度を取られた。流石に口がポカンだわ。
しかし、守衛さんらしき人(上から目線)は、無いんだったら、怪しい人物として捕まえるから。たか言い出して、首に下げてた笛を鳴らす。
ピピーーッ!
という音と共に、どこから現れたのか大量の守衛さんらしき人(重装備)が俺たちを包囲する。何? 問答無用?!
俺はたまもとアイコンタクトをする。やっちゃっていい?
やらないとマズイですよね、流石に。と、同意見らしく、俺は腰に刺した木刀に手をかけ、たまもは袖からお札を取り出す。
両者一歩も引かないまま、時だけが過ぎて行く。お互いにスキなしの状態。
そして、向こうが痺れを切らして襲いかかりかけた時……
ギギギィ………………バタン!
跳ね橋が降りて、人が現れた。
そいつは他にも3人位引き連れていて、俺たちの方を見て、何やってんの? 的に首をかしげる。
守衛さんらしき人(最初に会ったやつ)が、いきなり現れたやつのとこまで行って耳打ちをする。耳打ちを終えるとそいつはこちらまで歩いて来た。
見た目は長い黒髪をサイドで一纏めにしたような髪型で、前髪が邪魔なのかヘアピンで止めている。つり目気味な目と、スッと通った鼻筋が特徴的な美人で、服装は何故かチャイナ服。(周りの守衛さんらしき人達はみんな鎧に甲冑と西洋風)
って、どっかで見覚えが……
「て、お前! まさか?!」
「気付くのが遅いわ! バカ健吾!!」
声と同時に重い衝撃を受けて、そこで俺の意識がぶつりと切れた。