イノシシって美味いの……??
丸焦げになったイノシシ(超重い)を俺とたまもの2人で、さっき居た湖がある場所まで引っ張って行く。
そういえば、スキルってどんなのがあるの?
なんとなくそう聞いてみた。
「そうですねー。ちょっと見てください」
と、またステータスウィンドウを出現させるたまも。EXTRAスキル欄の中には、巫術(たぶんさっきの攻撃したやつだと思う)と、家事があった。……家事ってなんぞ?
「家事って、そのまんま家事の事ですよ? 山火事とかそっちじゃなくて、掃除洗濯炊事の家事ですけど」
「いや、分かるんだけど、俺も一応その位はできるけどスキル欄に無いのはどうしてかなって」
「あぁ、別にスキルに無くてもある程度の事はできますよ。例えば他にも、走る、泳ぐ、などのスキルはありますけど、そんなスキルが無くても走ったり泳いだりする事はできるんですよ」
と区切って、こちらを向いて改めて話し出す。
「ただ、そういったスキルがある事で、例えば走るなら、普通の人達よりも速く長く走れたりというようになるのです」
なるほどね
「そして、『ランク』が高いほどスキルの能力が上がります」
ランク??
「ランクと言うのは、スキルの横に書いてあるアルファベットの事ですよ。E〜A、S、SS、EXの順に段々と上がって行くのですよ。因みに一般的なレベルだとCくらいですね。わたくしの家事スキルはBですけど!」
と、最後にはドヤ顔キメて力説してくれた。
なるほどと思いもう一度自分のスキルを確認すると、さっきは見落としていたが、なるほどちゃんと書いてある。因みに俺は両方ともAだった。
「ご主人様凄いです! たまも感激しました!Aランクっていうのは、その道を極めた達人と言っても過言じゃないんですよ!」
らしい。まぁ、昔から剣だけが取り柄だったからね。
そんな雑談をしていると、あっという間にもとの場所についていた。
では、わたくしが腕によりを掛けて作りますね? と、言って、家(?)らしき布を被せただけの簡素なテントのような居住スペースにいそいそと入っていった。ていうか、そんな場所あったんだと、今更になって気づいた。
なんか、モンスター的なのもいるし、護身用に武器が欲しくなってきた。
やっぱり今まで剣術やってきたんだから剣とか木刀みたいなのがいいのかなぁとか思いつつ、手頃な木の棒を探す。
木刀になりえそうな重みのあって、ちょうどいい太さの木がなかなか見つからず、コレだというのが見つかるまでだいぶ時間がたってしまった。
戻ると、野生的なワイルドな香りが漂ってきた。
近くまで行くと。
あともう少し日を通せばできますから、待っててくださいね。と、言われたので座って待っていることにする。隣には少し解体されたイノシシが横たわっている。若干シュールだ。
しばらくして。
「できましたよー。イノシシの鍋です♪ とは言ってもそんなにたいした具は入ってないんですけどね」
と、舌を出しながら、テヘッと、照れたようにはにかむたまも。天然なんだろうなー
鍋にはイノシシ肉しか入っていないかと思ったら、他にもキノコやら野菜、それにミソのような物で味付けまでしてあって、とても美味しかった。コレがスキルの力なのかと思うと、家事スキル欲しいなぁとか思ってしまう。でも、野菜はともかく味噌なんてよくあったな……
そんな呟きに
「それはですね、町の方からちょちょいと拝借しているのですよ。仕返しがてらにですね♪」
なんか、そういうのはちゃっかりしていて、とても逞しく思えてしまった。
そういえば、地図とかってあるの?
夕食後に片付けをしながら聞いてみた。
「地図は無いですけど、西の方に出ると大きな街があるって聞きましたよ?」
じゃ、明日起きたらとりあえず西を目指して旅にでますか。
「はい! ご主人様。明日が楽しみです♪」
明日の日程を確認しつつ今日は寝ることにした。
因みに、俺が寝たのはだいぶ先の話で、寝る前までずっとたまもに借りた包丁を使って、拾った木の枝を削って、木刀風に、仕上げていた。
あぁ、眠い……