狩に出発
歩くこと数分。
周りの風景はあまり変わらず紅葉した木々が続く。
獣道が続くことからたぶんここは、町のはずれなのかな? とか思いながらたまもの後をついて行く。
すると、ガサガサっと、茂みから音がして数瞬後に大きな一頭のイノシシが現れた……
と、一言に大きいとは言ったものの、実際にはかなりデカイ。だいたい5mくらいの大きさがある。コレ何なんだよ!? ってくらいの大きさ。なんつーか、やっぱりファンタジーだなぁとかいう感想と、やっぱ帰る方法探さないとなぁー、と思ってしまった瞬間だった。
「ご主人様、少し下がってて下さいね? ちょっとだけ危ないので!」
そういうと、着物の袖からお札らしき物を取り出して構える。
イノシシ(でかい)が興奮しながら突進してくる。て、かなりヤバイんじゃね? すっげー怖いんだけど!?
そんな風に俺が一瞬身構えると……
「烈火!」
たまもが凛とした声でそう叫びながらお札を投げつける。するとお札は重力に逆らいながら、イノシシに向かって飛んでいく。そして……
「ぷぎぃっ?!」
お札が触れた瞬間、イノシシが炎で包まれて倒れた。その時、イノシシの頭上に緑色のバーがみるみる減っていき、真っ黒になるのを見えた気がする。
「あれはですね、体力値ですよ? ご主人様は見るの初めてですか?」
服の汚れを払いながら問うてくる。
「初めてっていうか、あんなの俺の世界じゃ無かったぞ? それにどうやって倒したんだよアレ」
と、黒焦げになってぶっ倒れてるイノシシ(特大)を指差す。
ていうかHPバーとかどこのゲームの世界だよ……
「あれはですね、生物の体力を表す物なんですよ。アレが真っ黒になってなくなってしまうと、その生物はあのように死んでしまいます。他にもフードメーターとか、MPバーなんかもありますね」
な、なるほど。RPGのゲームと同じと考えればいいのか。ど田舎出身の俺でもまだなんとかわかる範囲の領域だ。
「それとですね、先ほどわたくしが使いました物は『スキル』というものです」
スキル?
「はい。こうすると確認できますよ?」
と、いうが早く、たまもの頭上にウィンドウが表示される。ファンタジーというよりかはホントにゲームの世界にきたような感覚だ。ウィンドウを見ると、
ATK
DEF
AGI
MAT
MDF
LUC
など、ゲームで見たことある値の他、スキルと呼ばれる技とEXTRAスキルと呼ばれる謎な物もあった。
上から、物理攻撃力、物理防御力、素早さと器用さ、魔術攻撃力、魔術防御力、幸運値らしい。そこまでは知らなかった。
「それとですね、スキルは攻撃の他にも補助技能なんかも付けれたりします。このスキルの事をスロットスキルと言って、6個のスロットに自由に付け替えれるんですよ」
なるほど、じゃ、EXTRAスキルって?
「それはですね、固有スキルというものです。これは生まれ持ったスキルで付け替えることはできないですが、成長とともに増えたりしますね。それにスロットスキルで覚えることのできないものが多いので、これが沢山ある人は凄いんですよ」
らしい。
俺もやってみた。ウィンドウをイメージすると俺の頭上にも出てきた。スロットスキル(?)は無かったものの、EXTRAスキルには、やはり剣術があった。後は複製というがあるだけ。……? ふくせい?
複製のところに意識を集中させていると、画面が切り替わり説明が表示された。
複製:一度見たスキルを複製して自分のスロットスキル化できる。
らしい、要約すると技を盗めるということらしい。なるほど、これは昔からの癖だった。というよりも、武術をやるにせよ、スポーツするちせよ、『技を盗む』という事は上達の近道でもある。小さい頃からそうやってしつけられてきた俺にとって、『技を盗む』というのは、身体に染み付いた癖のような物になっていたということなのだと思った。