呼ばれた理由
周りを見渡せば、綺麗に紅葉した木々。
そして、扉のあった背面には小さな湖がある。
目の前の少女に至っては狐耳である。どこをどう間違えたらこうなるのか知らないけど、完全にファンタジーのお話だ。
服装はピンクの色で花柄のミニスカ着物とでもいうようないでたちで、肌の色は陶器のように白い。目鼻顔立ちも精緻な宝石細工の如く綺麗に整っている。金髪の長い髪が、同じく金色の長い尻尾と一緒に風になびく。足元はなぜか黒ニーソに下駄というよく分からない組み合わせ。ファンタジーなのに変なところで現実臭い。
明らかに扉を抜けたここは別世界としか形容できないような場所だった。
はぁ……
「どうしたんですか? ご主人様」
ニコニコしながら、尻尾をフリフリして問うてくる狐少女。
「元の世界に帰りたいんだけど……」
「ムリです。それに、できたとしても私がイヤですから♪」
イヤって、あのなぁ……
「だいたい、なんのために俺をこんなとこに連れてきたんだよ」
「それはですね、お話できる人が欲しかったからです」
「いやいや、お前の勝手な事情で俺を巻き込むなよ!?」
そういうと狐少女は急にしゅんとなってしまった。心なしか耳も尻尾を元気が無いように見える。
「ぁあ、もう。言い過ぎた。悪かった。でも、友達くらい作れるだろ? 他に誰も居ないのか?」
周りには俺たち以外に人が居なさそうだったのでまさかと思い聞いてみる。
「いえ、他にも沢山の人は居ますよ。それでも私はこんなですから……」
と、少女は自分の耳の先っちょを持って下に下げる。
「耳って、俺はここのことなんか今来たばっかだから全然わかんないけど、他の奴はその……、獣耳じゃないのか?」
「はい。私の住んでいる村はみんなご主人様のような姿です。私は小さい頃から人とは違うと言われ続けられていたんです」
うわ、話が重くなってきた……
聞き出したのは俺なんだからしょうがないんだけど。
「あぁ、すまん、嫌なこと思い出させたみたいだな……」
いえ、おきになさらないでくださいと、悲しそうに笑いながら答える少女があまりにも痛々しくて……
はぁ、自分の性格が嫌になる。めんどうだと分かっても放っておけない。昔からそうだった。昔はそれなりに力があったから今よりもそう。
「……。分かった。俺が元の世界に帰る方法を探してる間だけ一緒に居てやる。それでいいだろ?」
え? と、顔を上げ少女は驚いたようにこちらを向く。
「ほら、泣くなよ。せっかくの可愛い顔が台無しだろ?」
言いながら、恥ずかしっ、俺! とか思い顔が紅くなるのを感じつつてを差し伸べる。
少女は俺の手をしばらく見つめ、ゆっりとてを伸ばす。手が触れ合った瞬間、彼女は関を切ったかのように泣き崩れてしまった。
ここまで読んで下さった方々、感謝です!
稚拙な文ながら、ここまでお付き合いしてくださりありがとうございます。
初っ端からヘビーな話になりましたが、次回からは明るい話に持ってけたらなとか思ってます……
書いてて気づいたらこんな話に……どうしてこうなったorz
次回からようやく内容の方に入って行きますので、よろしければまたお付き合いして下さいm(_ _)m
以上、あとがきでした!