……呆然
天音さんと私はその後西の地区に向かい、廃墟の前までやってきました。廃墟は割とわかりやすい位置にあり、見つけるのに苦労はしませんでした。(というより、周りが草原だったのでとても見渡しが良かっただけなのですが)
外見は石造りの大きな建物で、門は木でできている。大きいと言っても平屋建てなので、上の大きさと言うよりも横の大きさが大きい。廃墟とは言ったものの、割と手入れされているらしく、最近人が出入りしている気配も見える。というより、門がすでに蹴破られている。
「これ、完全にあのバカの仕業よね……」
「はい、たぶんご主人様の仕業かと……」
ぴらーんと開け放たれた木製の門をみながら私達は言う。
「それにしても、なんか拍子抜けねー。盗賊団とか言うから、もっと見つかりにくい所にあるのかと思ってたけど」
「そうですねー。でも、子供のすることですから、こういう所が妥当だと思いますよ?」
天音さんは、それもそうねと、中に入って行ったので、私もそれに続いて行きました。
中は迷路みたいに入り組んでるわけでもなく、一本道の廊下に扉が並んでいるだけ。そして、ドン付きの奥の部屋の前にくると、そこの扉からだけ光が漏れていました。
私達はお互いに頷きあい、扉のノブに手をかけ、一気に開け放ちました。そして、
「ん? 何やってんのおまえら? そんな怖い顔してるとシワ増えるぞ、天音さんや」
「なんだあのべっぴんさん達は? おぬしの知り合いか?」
「ねぇ、けんごにぃ? 次はけんごにぃの番だよ?」
「「…………………………」」
軽口を叩くご主人様と、ベッドに身体を倒しながらこっちに顔を向けている中年男性、それに何故かご主人様にべったりな幼女。そして、
「おっさん? 門の扉ぶっ壊れてんだけど何かあったん? って、侵入者?!」
私達の後ろからは少年の声が……
私は混乱して首を振りながら状況の確認を、そして、
「あーーーー! もう! なんなのよこの状況わ!? っていうか何馴染んでんのよあんたわ! それと私のシワを作ってる原因のあんたに言われたくないわ!!」
天音さんが拳を振り上げながら絶叫していました。
まぁ、その後デリカシーの欠片もない言葉を発したご主人様は気絶しましたけどね。こんかいは自業自得です。はい。