どこだよここ!?
はぁ、はぁ、
くっそ、あのガキンチョどこ行きあがった?!
刀を盗まれソッコーダッシュしたはずなのに全然追いつける気がしない。
くっそ、はえーよあいつ!
肩で息をしながらとにかく足を動かす。せっかくいい刀を買ったってのに、盗まれるとかねーだろふつー!
西洋風の街だから、刀が売ってることですら奇跡だってのに、いつも使ってた木刀に近い長さの夢霧を手放すとか……
昔、佐々木小次郎の話を聞いて憧れて以来ずっと大太刀を使ってきたから、俺的にはあの長さがちょうど良かったりする。ついでに宮本武蔵も好きだったりする。昔は二刀流もよくやったなぁー……と、そんな事考えてる場合じゃなくて!
考え事しながら走っていると周りは一面の草原。西の方に向かってきたはずだから、多分西の方なんだろうけど、いつの間にこんなところにまで……。というか、人の気配がまるで無いのは気のせいなのか??
元の場所にかえれかっなーとか、そういや腹減ってたんだっけ? とか思いながら走る。すると、しばらく行った先に見事な石造りの廃墟があった。見るからに怪しい。たぶんここに逃げ込んだんじゃないか?
正面の木の扉を蹴破り、中に入ってみた。
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私たちは、西の方に向かいながらまた聞き込みを続ける。
「そうねぇ、最近よく見かけるわ。日によって違う子が来るのよ」
「あぁ、その子達には困らされてんわ。この間買い物してたら買ったばかりの果物を持っていかれたもの」
「子供? 子供ならさっき剣を持ちながら西の方に走って行ったな。その後珍しい格好の兄ちゃんが走って行ったけど……?」
…………。
天音さんと一緒に押し黙る私。
完全に巻き込まれてますねー、ご主人様。最初会ったときはあんなにも頼もしかったのに、あのご主人様はいったいどこに行ってしまったのでしょうか?
「っ……、はぁ。昔からどっか抜けてるんだから……」
「昔からこんな感じだったんですか?」
「そうよ、いっつも最後の詰めが甘くて試合で負けたりするんだから」
まったく、といいながら首を振る天音さん。……なんか羨ましいです。
「で、大体の事はわかってきたけど、いまいち犯人がなにしたいのかが分からないわ」
「そうですねー。刀に果物、それとパンツでしたっけ?」
盗んだものに統一性がなさ過ぎるのです。うーん。
「まぁ、行けば分かるでしょ。なんかアイツも巻き込まれてるみたいだし、さっさと廃墟とやらにいくわよ?」
そうですね。急ぎましょう!
私は頷いて、天音さんの後を追いかけた。