とある朝の茶番劇
で、翌日。
昨日は王の間襲撃後もいろいろあって大変だった。天音の元パーティに追いかけ回されて勝負しろとか、部屋は天音が空き部屋見つけて(強奪)くれたので良かったが、王様にはネチネチ言われ続けたり、唯一平和だったのが、夕食の時くらいで、天音が貰って来てくれたらしい。というか、天音に世話になりっぱなしである。
因みに寝る時は、天音の部屋にたまもが泊まっていた。とだが……
「ん、ぅぅ……」
朝、ベッドから俺が起きるとそこには気持ち良さげに寝ているたまもの姿が……
濡れて伏せた睫毛。薄いピンクの唇からは、スースーという掠れるような寝息が。頭の上についてる狐耳もペタンとなっていて可愛らしい。何この子の可愛さわ!
とかバカな事を考えながら、心臓の動悸を誤魔化す。こうでもしなきゃこんな場面対処のしようが無いんだって!
さて、どうする! 俺!?
とりあえずこの後の選択肢としては、
1:起きた瞬間謝り倒す。
2:自分がやったんじゃない、これは事故だと押し通す。
3:誰にも見つからないように部屋から出て逃げる。
……まず、2はありえん。1は
いきなりなんだよこいつ状態だし、ここは3が無難なラインだろうか。
言うが早く、俺はたまもが起きないように、そっとべっどから出ようとするが。
ガシッと腕を掴まれ、引き戻される。その後腕を身体に回されガッチリロック。WHY?! なぜ?
完全に焦りまくってまともな思考回路が保てない俺に構わず、気持ち良さそうに眠り込むたまも。ヤバイ、このままじゃ痴漢のレッテル貼られて何かいろいろ無くすぞ、俺!
そして、キィーと、扉が開く音がして、天音の顔が見えた瞬間、俺は人生が終わる瞬間を感じ取った。
「たまもー? って、やっぱりここにいたし、たまも! 起きてるんでしょ!? あんたが夜這い掛けてどうすんのよ!?」
あちゃー、と思った瞬間、よくわからない言葉が。夜這い? 仕掛ける?
そこで、俺と天音の目が合い。
「信用は一応しといてあげるけど、何もしてないよね?」
ハイ! 何もしてないです! ていうか目が笑ってない、めっちゃ怖い!
「と、ほら起きなさいたまも! いい加減にして!」
と、掛け布団を引っぺがし、俺とたまもを引き離す。たまもは天音の言っていたとおり起きていたらしく、バレちゃいましたか。と、舌をちろっとだしていた。
天音は勝手に部屋に出ちゃダメでしょ! と叱りつけ、たまもの手を引いて部屋に戻って行った。
その時たまもは、ニコニコしながら手を降っていた。そして、1人ぽつねんと寂しく部屋に残される俺。
何だったの、コレ?