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『結婚』  作者: 大輔華子
2/15

お見合い

 三日後、お見合いは東京駅からすぐのところに聳え立つホテルのティーラウンジで行われた。お相手の男性は登志子の勤め先の部長さんの息子さんで、玲華より四歳年下の長身のいわゆるイケメンだった。名前は石原信之といった。最近まで警察官(巡査部長)として地方の警察署に勤務していたが、この四月、県警本部の刑事課一係の刑事として異動になり、来週から新任地に勤務する予定だという。

 簡単な自己紹介も済み、登志子をまじえて当たり障りのない世間話をしたあと、登志子は席を外して先に帰った。二人だけになると、信之は玲華を丸ビルの夜景の美しいレストランに誘った。二人になった途端に信之は急に玲華に対してタメ口になった。

「僕は警察関係者だからね。人が多くて目立つところはなるべく避けるんだよね」

 二人の席はレストランのフロアで最も見晴らしの良い大きなウィンドウの真ん前である。どう考えてもこれ以上目立つ場所は他になさそうだ。

「刑事さんなんですか。何だか男らしいですのね」

「いやあ。刑事はこれからだからね。実はね、一係はいわゆる殺人事件担当でね。もう赴任前から事件の資料をおさらいしてこい、って言われているんだよ。何だか昼も夜もなく忙しくなりそうで、あなたには本当に悪いと思ってしまってね」

「ぶっ」

「あの……。どうかした?」


――あなたには悪いって……。何で、もう私が結婚するって決めつけてるわけ?


「いっ、いえ。何でもありません」

「今回初めて担当することになった殺人事件だけれどね。どんな事件か知りたいだろう」


――そんなもの知りたくないよう。ましてや殺人事件だなんて。


「あら。どんな事件ですか?」

「犯人はもとは女詐欺師でね。色仕掛けで男を釣って金を借りてはドロン、ていうやつでね。今回は金を借りた男を駅のホームから突きとばして転落させて殺しやがったんだよね」

「あら、まあ。怖いですわ」

「あっ、そうそう。その詐欺師の殺人女。あなたと同じ三十歳なんだよね。詐欺容疑で手配されてたから手配写真があるはずだけど、男に大金出させる殺人女の顔ってのはどんな顔してるんだろうね。うははは」

「…………」


――何か上から目線で超ムカツク。デリカシーのかけらもない。喋らなければいい男なのになあ……。


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