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第9話 削除対象

巨大な目が、ゆっくりと笑った。


その瞬間。


赤い光が膨れ上がる。


ドクン。


ダンジョン全体が震えた。


ログイーターが一斉に動く。


十体。


十一体。


十二体。


増え続ける。


エリシアが小さく呟く。


「……来る」


俺は剣を握る。


ログイーターが同時に突進してくる。


速い。


俺は踏み込む。


剣を振る。


一閃。


一体を裂く。


黒い霧が散る。


だが再生する。


別の一体が横から来る。


俺は体を落とす。


黒い体が頭上を通り過ぎる。


石壁が削れる。


床が歪む。


空間が軋む。


エリシアが言う。


「数、まだ増えるよ」


俺は答える。


「分かってる」


一体を蹴り飛ばす。


剣を突き刺す。


核。


黒い霧が崩れる。


だが後ろからまた来る。


止まらない。


増え続ける。


俺は赤い光を見る。


巨大な目。


その奥。


世界の管理層。


そして――


視界に文字が出る。


SYSTEM NOTICE


ERROR CORRECTION


TARGET LOCK


ARCHA MEMORIA


俺の名前。


その下に、


新しい文字。


DELETE TARGET


俺は小さく呟いた。


「……削除か」


エリシアが頷く。


「うん」


「やっぱり」


ログイーターがまた生まれる。


十三体。


十四体。


エリシアが言う。


「世界があなたを見つけた」


俺は聞く。


「遅くないか」


エリシアは肩をすくめる。


「1027回だしね」


俺は少し笑う。


「今さらだな」


その瞬間。


巨大な目が瞬いた。


ドクン。


赤い光が爆発する。


そして、


ログイーターが止まった。


一瞬。


静寂。


そのあと。


全てが、


俺を向いた。


十五体。


同時に。


エリシアが言う。


「削除プログラム」


俺は剣を構える。


「……そうか」


ログイーターが一斉に動く。


速い。


だが。


俺は止まらない。


一体を斬る。


二体目を避ける。


三体目を裂く。


黒い霧が舞う。


石が砕ける。


ダンジョンが揺れる。


だが数が多い。


背後から来る。


横から来る。


前から来る。


俺は小さく息を吐いた。


「……やっぱり」


剣を握り直す。


「こうなるか」


エリシアが笑う。


「でもさ」


「今までと違うよ」


俺は聞く。


「何が」


エリシアは赤い光を見る。


巨大な目。


その奥。


そして俺を見る。


「今回は」


少し楽しそうに言う。


「あなたが逃げない」


ログイーターが迫る。


十五体。


同時。


俺は一歩踏み出した。


「逃げない」


剣を振る。


黒い霧が裂ける。


「終わらせる」


その瞬間。


赤い光が大きく揺れた。


巨大な目が、


ゆっくりと細くなる。


そして、


新しい文字が表示された。


SYSTEM UPDATE


DELETE PROCESS


START


エリシアが小さく呟く。


「……あ」


「始まった」


ダンジョンの奥で、


世界そのものが、


動き始めた。

読んでいただきありがとうございます。


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