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第7話 観測対象

「――観測開始」


低い声が、ダンジョンに響いた。


俺は足を止める。


エリシアが横で笑った。


「ね」


「面白くなってきたでしょ」


ログイーターが一斉に動く。


七体。


同時に。


俺は踏み込む。


剣を振る。


一閃。


一体を裂く。


黒い霧が散る。


だが再生する。


別の一体が迫る。


俺は体を捻る。


黒い体が床を削る。


石が崩れる。


空間が歪む。


俺は距離を取った。


「……増えすぎだ」


エリシアが頷く。


「うん」


「普通はここまで出ない」


俺は聞く。


「普通?」


エリシアは赤い光を見る。


巨大な目。


脈打つ核。


そしてログイーター。


「世界が安定してるときはね」


俺は眉をひそめる。


「安定?」


その瞬間。


巨大な目がこちらを向いた。


ドクン。


空間が歪む。


頭の奥で、何かが鳴る。


ノイズ。


文字。


赤い線が視界に走る。


ERROR


MEMORY CONFLICT


俺は目を細める。


「……」


エリシアが驚く。


「それ見える?」


俺は答えない。


目の奥の表示を見る。


赤い文字が流れている。


LOG CHECK


HISTORY VERIFY


TARGET IDENTIFIED


そして。


一行。


固定された文字。


ARCHA MEMORIA


俺の名前。


エリシアが小さく言う。


「……やっぱり」


俺は聞く。


「何がだ」


エリシアは少し迷った。


そして言う。


「あなた」


「観測対象になってる」


ログイーターがまた生まれる。


八体。


九体。


増えていく。


俺は剣を構える。


「つまり」


一体を斬る。


黒い霧が裂ける。


「世界が」


もう一体を避ける。


「俺を見てるってことか」


エリシアは笑った。


「うん」


「たぶん」


「ずっと前からね」


その瞬間。


巨大な目が瞬いた。


ドクン。


世界が揺れる。


そして。


俺の視界に、もう一行表示される。


SYSTEM NOTICE


LOOP RECORD


1027


俺は息を止める。


エリシアが静かに言った。


「ね」


「やっぱり」


「覚えてるの」


俺は目を細める。


「……何を」


エリシアは赤い光を見た。


巨大な目。


そして言った。


「この世界」


「誰かが作ってるってこと」


ログイーターがまた動く。


十体。


空間が歪む。


ダンジョンが震える。


俺は剣を握る。


「……つまり」


赤い光を見る。


巨大な目。


その奥。


見えない何か。


「壊れてるのは」


一歩踏み出す。


「ダンジョンじゃない」


エリシアが頷く。


「うん」


少し楽しそうに笑う。


「世界だよ」


その瞬間。


巨大な目が大きく開いた。


そして、


俺をまっすぐ見た。

読んでいただきありがとうございます。


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