第6話 核
巨大な目が開いた。
赤い光の奥で。
ゆっくりと。
まるで、
こちらを観察するみたいに。
ダンジョンの空気が止まる。
ログイーターの動きも、
一瞬だけ止まった。
エリシアが小さく呟く。
「……あれ」
「出るの早くない?」
俺は答えない。
目の奥を見る。
赤い光の中心。
脈打つ塊。
心臓みたいなもの。
その中心に、
巨大な目が浮かんでいる。
ドクン。
また脈打つ。
その瞬間。
ログイーターが動いた。
一斉に。
四体。
俺に向かって突進する。
速い。
俺は踏み込む。
剣を振る。
一閃。
一体を裂く。
黒い霧が散る。
だが再生する。
別の一体が横から来る。
俺は体を落とす。
黒い体が頭上を通り過ぎる。
石壁が削れる。
エリシアが後ろで言う。
「止まってないね」
「源が動いてる」
俺は床を見る。
赤い魔力の流れ。
すべてが、
あの“心臓”に繋がっている。
ログイーターがまた生まれる。
亀裂の奥から。
黒い霧が湧き出す。
俺は呟く。
「……増え続ける」
エリシアが頷く。
「うん」
「止めない限りね」
俺は剣を握る。
「壊す」
エリシアが聞く。
「届く?」
俺は前を見る。
赤い光。
巨大な目。
その周りを、
ログイーターが回っている。
守っているみたいに。
俺は言う。
「……近づく」
そして走る。
ログイーターが迫る。
一体。
斬る。
もう一体。
避ける。
三体目。
踏み込む。
剣を振る。
黒い霧が裂ける。
だが再生。
速い。
多い。
俺は止まらない。
前へ。
さらに前へ。
赤い光が近づく。
その瞬間。
目が動いた。
俺を見る。
ドクン。
世界が歪む。
床が波打つ。
空間が曲がる。
俺は足を止めた。
「……何だ」
エリシアが呟く。
「見られたね」
俺は聞く。
「何だあれ」
エリシアは少し考える。
そして言った。
「たぶん」
「ログの管理者」
俺は眉をひそめる。
「魔物じゃないのか」
エリシアは首を振る。
「違うと思う」
その瞬間。
巨大な目が、
ゆっくりと瞬いた。
ドクン。
赤い光が広がる。
ログイーターが一斉に増える。
五体。
六体。
七体。
エリシアが言う。
「……増やされた」
俺は剣を握る。
「面倒だな」
エリシアが笑う。
「でも」
「これ、前の世界には無かったよ」
俺は目を細める。
「……そうだな」
赤い光を見る。
巨大な目。
脈打つ核。
ログイーターの群れ。
そして、
歪む空間。
俺は小さく息を吐く。
「やっぱり」
剣を構える。
「今回は違う」
ログイーターが一斉に動く。
そして――
巨大な目が、
ゆっくりと口を開いた。
声が響く。
ダンジョン全体に。
低く。
重く。
「――観測開始」
俺は足を止めた。
エリシアが小さく笑う。
「ね」
「面白くなってきたでしょ
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