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第4話 第二のログ

ダンジョンの奥で、


何かが脈打っている。


エリシアが横で笑う。


「ね?」


「面白いでしょ」


俺は答えない。


赤い光が、ゆっくりと広がっていく。


床の黒い亀裂。


その奥で、


何かが脈打っている。


心臓みたいに。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


空間が歪む。


石の床が、音もなく削れていく。


エリシアが呟く。


「ログが溢れてる」


俺は剣を握り直す。


「……違う」


あれは溢れているんじゃない。


生まれている。


赤い光の中から、


黒い影がゆっくりと形を作る。


一つ。


そしてもう一つ。


俺は目を細めた。


「増えてる」


エリシアが頷く。


「うん」


影が完全な形になる。


黒い霧。


歪んだ体。


空間を食う魔物。


ログイーター。


二体。


エリシアが言う。


「前は一体だったよね」


「……ああ」


影が動く。


同時に。


速い。


俺は踏み込む。


剣を振る。


一閃。


一体の体が裂ける。


だが――


もう一体が横から来る。


俺は体を捻る。


黒い体が壁を削る。


石が溶ける。


エリシアが後ろで言う。


「ほら」


「やっぱり違う」


俺は答えない。


剣を振る。


ログイーターの体を裂く。


だが再生する。


二体同時に動く。


前とは違う。


俺は床を見る。


黒い流れ。


核。


場所は――


同じじゃない。


「……変わってる」


エリシアが聞く。


「何が?」


俺は短く言う。


「全部だ」


ログイーターが同時に突進する。


速い。


だが俺は止まらない。


一体を斬る。


体を裂く。


もう一体が迫る。


俺は踏み込む。


剣を突き刺す。


黒い霧が崩れる。


一体目。


だが――


もう一体が残る。


エリシアが言う。


「ほら」


「増えてる」


ログイーターが口のない顔をこちらに向ける。


空間が歪む。


そして。


その背後で、


赤い光がさらに広がった。


俺は気づく。


床の亀裂。


その奥。


まだある。


核が。


一つじゃない。


二つでもない。


俺は呟く。


「……嘘だろ」


エリシアが楽しそうに笑う。


「ね?」


「今回は面白いって言ったでしょ」


ダンジョンの奥で、


赤い光が脈打つ。


まるで、


何かが生まれようとしているみたいに。


俺は剣を握り直す。


「……止める」


エリシアが言う。


「止められる?」


俺は前を見る。


赤い光。


黒い影。


そして、


まだ見えない何か。


「分からない」


俺は言った。


「でも」


少しだけ息を吐く。


「731回よりはマシだ」


その瞬間。


ダンジョンの奥から、


低い音が響いた。


ログイーターが、


一斉にこちらを向く。


エリシアが小さく呟く。


「……あ」


赤い光の中で、


巨大な影が動いた。

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