第15話 1028回目の世界
NEW LOOP
INITIALIZE
赤い文字が世界コアの表面に浮かぶ。
1027
数字がゆっくり消える。
そして。
1028
新しい数字が点灯した。
エリシアが息を止める。
「……始まる」
俺は剣を握ったまま立っている。
世界コアが光る。
ドクン。
その瞬間。
光が爆発した。
視界が白くなる。
音が消える。
重力が消える。
世界が――
落ちる。
⸻
「アーカ・メモリア」
声。
俺は目を開ける。
石造りの広間。
高い天井。
冷たい空気。
机の上に一枚の紙。
追放状。
俺はゆっくり息を吐く。
「……またか」
父が言う。
「お前は役に立たない」
叔父が笑う。
「記録も読めない末子」
全部同じ。
1027回と同じ。
だが。
俺は気づく。
違う。
廊下の壁。
初代当主の肖像画。
そこに――
ヒビが入っている。
俺は目を細める。
「……壊れてる」
使用人が俺を見る。
「何です?」
俺は首を振る。
「いや」
父が紙に印を押す。
追放。
同じ流れ。
俺は頭を下げる。
礼。
歩く。
廊下。
曲がり角。
壁画。
ヒビ。
前の世界にはなかった。
俺は小さく呟く。
「……ログ残りか」
屋敷の外に出る。
冬の空気。
門が閉まる。
俺は王都へ歩く。
石畳の道。
パンの匂い。
角を曲がる。
空き地。
……いや。
違う。
パン屋がある。
看板。
黒パン。
煙。
俺は止まる。
「……戻ってる」
エリシアの声。
「全部じゃないよ」
振り向く。
白い髪。
淡い瞳。
エリシアが立っている。
俺は言う。
「お前」
エリシアは笑う。
「こんにちは」
少し間。
それから言う。
「1028回目」
俺は聞く。
「覚えてるのか」
エリシアは頷く。
「うん」
「だって」
少し楽しそうに笑う。
「私もログ外だから」
俺は空を見る。
王都の空。
赤い裂け目はない。
WORLD ERRORもない。
静かな空。
俺は呟く。
「……平和だな」
エリシアが首を傾ける。
「そう?」
その瞬間。
街の奥で。
爆発音。
ドン。
俺は目を細める。
エリシアが笑う。
「ほら」
「始まった」
遠くで煙が上がる。
王都南区画。
ダンジョン。
俺は小さく息を吐く。
「……またログイーターか」
エリシアは首を振る。
「違う」
俺は聞く。
「何だ」
エリシアが言う。
「今回は」
少し間。
そして。
「管理者が降りてくる」
俺は足を止める。
「……は?」
エリシアは空を見る。
王都の空。
その中央に、
小さな赤い点。
それが、
ゆっくりと大きくなる。
エリシアが言う。
「1027回で」
「あなた」
俺を見る。
「世界壊したでしょ」
俺は言う。
「少しな」
エリシアは笑う。
「だから」
空を指す。
赤い点が広がる。
「今回は」
静かに言う。
「世界が直しに来た」
空が裂ける。
赤い光。
そして。
人影が落ちてくる。
管理者。
俺は剣を握る。
「……なるほど」
エリシアが聞く。
「どうする?」
俺は空を見る。
落ちてくる管理者。
そして。
1028回目の世界。
俺は小さく笑った。
「簡単だ」
剣を抜く。
「また壊す」
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