第11話 管理者のミス
「――観測対象」
白い空間の人影が言った。
「削除します」
その瞬間。
赤い光が爆発する。
ログイーターが一斉に動いた。
十七体。
同時に。
俺に向かって突進する。
俺は剣を握る。
「……来たか」
一体を斬る。
黒い霧が裂ける。
だが再生する。
別の一体が横から来る。
俺は体を落とす。
黒い体が石壁を削る。
ダンジョンが揺れる。
エリシアが言う。
「完全にロックされたね」
俺は赤い光を見る。
巨大な目。
その奥。
白い空間。
人影。
そいつが手を動かす。
すると。
視界の文字が変わる。
DELETE PROCESS
78%
俺は呟く。
「進んでるな」
エリシアが言う。
「もうすぐ終わる」
ログイーターがまた増える。
十八体。
十九体。
止まらない。
俺は剣を構える。
「……時間がない」
そのとき。
白い空間の奥で、
人影が手を動かした。
そして――
止まる。
ほんの一瞬。
わずかに。
赤い光が揺れる。
DELETE PROCESS
78%
78%
進まない。
エリシアが目を細めた。
「……あ」
俺は聞く。
「何だ」
エリシアは小さく笑った。
「ミス」
ログイーターが迫る。
俺は一体を斬る。
黒い霧が裂ける。
「何のミスだ」
エリシアが言う。
「ログ確認」
「あなたの履歴」
俺は眉をひそめる。
「1027回か」
エリシアが頷く。
「そう」
白い空間の人影が、
また手を動かす。
文字が流れる。
HISTORY LOAD
LOOP RECORD
1027
その瞬間。
赤い光が乱れる。
DELETE PROCESS
78%
ERROR
俺は笑った。
「……なるほど」
エリシアが言う。
「履歴が多すぎる」
「処理が止まってる」
ログイーターが迫る。
二十体。
俺は剣を振る。
一体を裂く。
「つまり」
もう一体を避ける。
「削除できない」
エリシアが笑う。
「今はね」
俺は赤い光を見る。
巨大な目。
白い空間。
管理者。
そして。
ダンジョンの奥。
あの穴。
白い空間へ繋がる裂け目。
俺は言う。
「……行けるな」
エリシアが聞く。
「どこに」
俺は指を向ける。
白い空間。
「上だ」
エリシアは一瞬驚いた。
それから笑う。
「なるほど」
ログイーターがまた迫る。
二十一体。
俺は走る。
前へ。
裂け目へ。
ログイーターが追う。
エリシアが言う。
「怒るよ」
俺は言う。
「知るか」
赤い光が揺れる。
管理者がこちらを見る。
DELETE PROCESS
79%
再び進み始める。
俺は裂け目へ跳んだ。
白い光の中へ。
エリシアが笑う。
「いいね」
「それ」
「今まで誰もやってない」
その瞬間。
俺は世界の外へ足を踏み入れた。
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