第10話 世界の管理者
DELETE PROCESS
START
赤い文字が視界に固定される。
その瞬間。
ダンジョンが揺れた。
ログイーターが一斉に動く。
十五体。
同時に。
俺は踏み込む。
剣を振る。
一閃。
一体を裂く。
黒い霧が散る。
だが再生する。
別の一体が迫る。
俺は体を捻る。
黒い体が床を削る。
石が崩れる。
空間が歪む。
エリシアが言う。
「もう始まってる」
俺は聞く。
「何が」
エリシアは赤い光を見る。
巨大な目。
その奥。
「削除」
ログイーターがまた増える。
十六体。
十七体。
止まらない。
俺は剣を握る。
「……本気だな」
エリシアが笑う。
「うん」
「世界がね」
その瞬間。
赤い光が強く脈打った。
ドクン。
ダンジョンの床が裂ける。
空間が開く。
黒い穴。
その奥に――
光。
白い空間。
俺は目を細める。
「……何だ」
エリシアが小さく言う。
「管理層」
俺は聞く。
「世界の外か」
エリシアは少し考える。
それから言った。
「外じゃない」
「上」
ログイーターが迫る。
俺は剣を振る。
一体を裂く。
だが止まらない。
数が多い。
だが――
穴が広がる。
白い空間が見える。
その奥。
何かがある。
巨大な構造物。
赤い線。
無数の光。
そして――
人影。
俺は息を止めた。
「……人?」
エリシアが頷く。
「うん」
「管理者」
ログイーターがまた迫る。
だが俺は止まった。
白い空間。
その奥。
人影がこちらを見ている。
そして。
ゆっくりと手を動かす。
その瞬間。
視界の文字が変わる。
SYSTEM NOTICE
ADMIN ACCESS
TARGET: ARCHA MEMORIA
俺は小さく笑った。
「……なるほど」
エリシアが聞く。
「何が」
俺は赤い光を見る。
巨大な目。
そして白い空間。
「世界の正体」
ログイーターが迫る。
俺は踏み込む。
剣を振る。
黒い霧が裂ける。
そして言った。
「ゲームだ」
エリシアは少し驚く。
「気づいた?」
俺は頷く。
「1027回もやればな」
その瞬間。
白い空間の人影が、
ゆっくりと口を開いた。
声が響く。
ダンジョン全体に。
静かに。
冷たく。
「――観測対象」
少し間。
そして。
「削除します」
ログイーターが一斉に動いた。
世界が、
俺を消そうとしている。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
これで序章は終了です。
第1話からここまでで、
・世界が何度も終わっていること
・アーカだけがそれを覚えていること
・世界には「ログ」と「管理者」が存在すること
その断片が少しずつ見えてきました。
次回からは **第1章「王都ログ崩壊編」** が始まります。
舞台は王都、そして崩壊し始めた世界の内部へ。
アーカが初めて“世界の管理側”と正面から衝突する章になります。
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続きを楽しんでもらえたら嬉しいです。




