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安楽椅子ニート 番外編2  作者: お赤飯
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安楽椅子ニート 番外編2

「ちょっと木崎さん、あの女、どうにかなりませんか!」

「・・・」

「ちょっと、聞いてます!木崎さん!」

「ん?なんだよ、俺は春のパン祭りで忙しいんだよ。」

「あのねぇそういうのは家に帰ってからやってくれません?」

「・・・家じゃあパン食わねぇからなぁ。」

「そういうことじゃぁ! ないんですよぉぉぉ!」

「・・・どうしたよ?何、怒ってんだよ?」

「あの女ですよ、瀬能杏子ですよ!なんなんですか、あのクソ女はぁ!」

「ちょっちょちょちょちょ、待てよ、落ち着けよ。点数がどっか飛んじゃうだろ!」

「いいですか? 私、もう、あのクソ女の所に行きたくありませんから。あと、よろしくお願いします。」

「待てって、待てって。・・・・なに? 瀬能さんと何かあったのか?」

「あったか、とか、そういうんじゃなくて、私、もう無理ですから。・・・あのクソ女、思い出しても腹が立つぅぅぅぅ!」

「・・・何があったか知らないけど、お客さんに対して、クソ女はないんじゃないか?な?」

「じゃぁ何ですか?クソ女以外になんて言えばいいんですか?クソアマですか?」

「・・・ちょ、待て。」

「なに笑ってるんスかぁ!」

「え、だって、クソ女もクソアマも大して変わらないから。もう少し捻ってくるかな、って思ってたから。・・・ごめんね。」

「ギーっ!」

「わかった、わかった、わかったから俺のパン祭りに当たるなよ!ここまで集めるのに2か月かかったんだからな。

それで何があったんだ?」

「あのクソ女、私に何て言ったと思います?

私のこと、ビッチって言ったんですよ!マイルドビッチって!

男に媚を売ってるケツ軽女とか、パンモロ確信犯、男をその気にさせるだけの種馬女、無自覚ブスのくせにブスを見下すブスとか、

男を漁ってるクソビッチの方がまだマシだって言うですよ、中途半端なビッチ女って。

自分は、男もいない引きニートのくせに!」

「・・・志穂美、日本語的にケツ軽って間違ってるぞ、尻軽だぞ。あと、種馬は雄で、、、

わかった、わかった、睨むなよ。

・・・瀬能さんにケツ軽って言われたんだな?」

「もうどっちでもいいんですよぉぉ!

そうですよ、尻軽とか言われたんですよ。

あいつ、自分の事を棚に上げて、尻」

「瀬能さん、な、一応、お客さんだから。な。」

「・・・瀬能杏子に、ビッチ女って言われたんですよ!

人のこと言う前に、自分の家を片付けてから言えって、思うんですよ!

私、ほんとにあんなゴミ屋敷、二度と行きたくないですから!」

「分かった、分かった。確かに、悪口っていうか、そういうのマズいよな。ま、上に報告書あげるから。

志穂美、お前、書いといてくれない?何があったか。あと、俺、後で瀬能さんち行ってくるから。状況を聞きに。

・・・面倒くさいからほんとは行きたくないけど。」

「はっきり言って事故案件ですよ。気分悪い。」

「でも、いきなり瀬能さんがそういう悪口? 急には言わないと思うんだけど、お前、何か言ったの?」

「ええぇ?木崎さん、瀬能杏子の肩を持つんですか?」

「・・・持ってないだろ?何があったか聞いてるだけじゃん。」

「・・・別に何も言ってないですよ。

なんか、あれんとこ行ったら、」

「・・・瀬能さんな、もう、あれでも、これでもいいけど。」

「ゲームやってるんスよ。ほら、女の子と仲良くなるっていうゲーム? 私、ゲームやらないからよく知らないんで。

ヒロイン攻略とか言って、そのヒロインが私に似てるって言うんですよ。

最初はね、ほら、ゲームって言ってもヒロインってかわいいじゃないですか?

悪い気はしなかったんですよ。だって、ヒロインですよ。マドンナですよ。」

「良かったじゃない。」

「・・・良かぁないですよ、ほんと、あの、引きニート女!」

「・・・志穂美、悪口はやめてね。いくらお前でも庇えなくなるから。な?」

「悪口じゃないですよ、客観的に状況を言っているだけですよ。あんなん引きニートでしょ?それ以外に何かあります?」

「まあ分かったから。落ち着けって。それでどうしたの?ゲームやってて。」

「私がヒロインに似てるってどういう事か、聞いたんです。

そしたら、そのヒロインを攻略するには親友の女の子を落とさないといけないそうなんです。

親友の子の好感度が高くないと、ヒロインの好感度も上がらないから、攻略するのに極めて難しいキャラとか言ってました。

私がムカついてるのはここからです。いいですか?木崎さん。

逆に言えば、親友の子をエサにして、主人公とくっついちゃうのがヒロインなんです。

最後、ためらいなく、親友の子を裏切って、主人公とゴールインしちゃうんですよ!

そこが、私にそっくりだって、言うんです、あの、引きニートがぁ!」

「・・・はぁ。」

「なんですか?そのやる気のない返事は?」

「いや、だって、俺だってそんなゲームやったことないから分からないじゃん。」

「違いますって!木崎さん。ゲームの話なんかしてないですよ!」

「・・・してたじゃん?」

「だぁかぁらぁ!ゲームじゃなくて、友達を簡単に裏切って、男と出来ちゃうのが、私だって、言ったんですよ!

許せますか?

私の何を知っててそんなこと言うんですか? 頭おかしいと思うんですよ、あのクソ女は。ま・じ・で。」

「ああ。ああ、なんとなく見えてきた。見えてきた。」

「私もこういう仕事してるから、いくら無職の引きニートだからと言え、半分は受け流しますよ。大人ですから。

でもね、言っていい事と悪い事ってあると思うんですよ?

あのクソニートはバカだからそういうのが分からないんですよぉ!」

「まあな。志穂美の言いたい事は分かる。分かるけども、一応、お客さんだから、言い方には気を付けような。お願いだから。」

「それで、志穂美さんは陽キャの塊じゃないですか?って言って。・・・陽キャっていうのは陽気な子っていう意味です。

陽キャの女は、本当にかわいい子のグループには入らないで、自分が一番かわいく見えるブスの集まりにあえて入るって言うです。

だって、その方がモテるから。」

「・・・何の話してるの?」

「学生時代の話に決まってるでしょ?ゲームの舞台が高校なんだから、高校時代の話ですよ。

志穂美さんはどうせ男にモテたいから、運動部のマネージャーか何かしてたんでしょ?って言うんです。」

「・・・運動部のマネージャ、してたの?」

「してませんよぉ!私は陸上部の短距離でした!」

「じゃあ違うじゃん。」

「あの露出度が高めの運動部ですか。あんなカッコでボディタッチされたら童貞共は勘違いしまくりでしょ?なんて言うんですよ!

好きであんなカッコしてないですよ、可動域が広く取れるからあんなカッコしてるだけで、別にしたくて、してるんじゃないですよ!

恥ずかしいし、他校の男子も見に来るし。

私、別に、男友達は多いですけど、男をはべらかしてないですし、勘違いさせてないですし、なんなら友達の彼氏をつくるお手伝いまでしたくらいですよ?

それが、何です? まるで見てきたみたいに言って。

私ぃ高校の時は、もっとキラキラしていたんです!勉強も部活も一生懸命やって、友達もいっぱいいたし、私の事、一番大切にしてくれる彼氏だっていたし、大学だって志望校に入れたし、幸せで充実してて、ほんと楽しかったんです。今と違って本当に楽しかったんです!

あの頭のおかしい引き籠もり女とは違うんですよ!

どうせ、あの引き籠もりは、男の手なんか握った事もないんでしょうから!」

「・・・ま、確かにお前、ちょっとボディタッチ多過ぎかもな。」

「は? 多くないですよ。いつ、触りましたか?誰も木崎さんなんか触りませんよ。」

「お前、自覚ないの?」

「・・・自覚って言われても。私、ベタベタ人に触りませんけど?」

「お前、それ、重症だぞ。・・・無自覚じゃ仕方ないけど。」

「木崎さん、私ね、仕事だから割り切ってますけど、人間的に、瀬能杏子みたいな、陰鬱とした女が嫌いなんです。

なんで起きたまんまで腫れぼったい目でゲームやってるんですか? まず、顔洗えよ、着替えろよ!っていうか、風呂はいれよ!

ゴミも捨てないし、女としてどうかと思いますけど?

言っておきますけど、ちゃんと割り切ってますからね、仕事だから私情は。

でも、ああいう暗い女、だらしない女は嫌いなんです!見ているだけでイライラしてくるっていうか。」

「・・・まあ、仕事だからなぁ。別けてなさそうだから、困っちゃうかなぁって思ってたけど、ま、良かったよ、そこは自覚があって。

あと、ごめんね?今更だけど、引きニートってなに?」

「はぁぁぁっぁぁぁ?引き籠もりニートの事でしょうが!分かりそうなもんでしょ?

あと、なんなんですかね? 働いてない女は、なんか、世間に媚うってる感じで。上目遣いで見て来る感じが嫌なんですよ。

わかります? 人のご機嫌うかがっているような、あの感じ?」

「あー、えーっ、何て言うか、そうだな。ちょっと、わかんないかな。・・・瀬能さんは違うかなぁとは思うけど。」

「分かった方がいいですよ。

そう。さっき話した、私の親友。一番の親友。

私が高校の時に、親友と彼が付き合うきっかけをプレゼントしたっていうか、私がキューピッドなんです。

何年か前に結婚したんですけど、働かないんですよ?その子。

専業主婦? やってるんですよ。

別にいいですよ、彼の働きが良いらしいから、彼の収入だけで食べていけるって言ってましたけど、それで本当にいいんですかね?

・・・よかぁないですよぉ!

女も働くべきなんですよ!

社会に出ない女がいるから、いつまで経っても女の地位が低いままなんですよぉ!わかりますか?」

「・・・まぁ、そうね。そんな気がする。」

「親友も若いうちはいいですよ、でも、年取ったら年金とかそういうのだって、全然ちがってくるし。

第一、私がキューピッドになってなかったら、内気って言ったら言葉が良いですけど、ただ、ずぅぅっとグチグチしてるだけで付き合えてなかった、と思いますよ。

そもそも私の事を好きだった人を、彼女とくっつけてあげたんですから。私、天使だと思いませんか?

だから、結局のところ、天使の私とゴミ屋敷引きニートとどっちが良い女だと思います?聞くまでもなく天使の私だと思うんですけど!

天使の私がビッチなんて言われる筋合い、これっぽっちもないと思いません?

ほんと、イライラする女ばっかり。あーっ!イライラするぅ!」

「志穂美さぁ、イライラしても何の解決にもならないよ。ちょっとは落ち着いて。

お前、友達、いる?」

「はっ?何言ってるんですか?いるに決まってるじゃありませんか!」

「・・・お前が友達と思っているだけで向こうはそう思ってない事だってあるからなぁ。」

「木崎さん、私のことバカにしてます?」

「バカにしてないけど、何かあった時に助けてくれるのが友達だからな。男の下心を利用したり、都合がいい時だけ友達のフリしたり、いつも見下してくる奴とか、向こうから縁を切られるぞ。」

「そういう人として最低な奴はきっと、そうでしょうね。私の友達は違いますけど。」

「なら、いいんだけど。お前がいいなら。」

「話が脱線しましたが、瀬能杏子の家には金輪際行きたくないので、木崎さん、あとよろしくお願いします。」

「お前、話、聞いてたか? まず、状況の報告書をまとめてだなぁ。それからだ、それから。

あと、瀬能さん、友達って言うのか分からないけど、そういう仲間がけっこういるらしいぞ。人は見かけによらないからな。」

「・・・はぁ、そんなもんですか、別に興味がないんで。」

「ま、俺の予想だと、二度と瀬能さんちには行かなくて済むような気がするよ。」

「あ、それなら、ありがたいです。」

「・・・たぶん、お前、この部署から異動になるだろうからな。」

「ん?木崎さん、何か、言いましたか?」

「いや、何も。あと、お前、パン食ったんなら点数くれよ? お前とは、おサラばになるかも知れないからな。」


※本作品は全編会話劇となっております。ご了承下さい。

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