第3話 『俺と私と魔法少女ハウス』
この度も読んでいただきありがとうございます!
魔法少女あさね!の第3話になります!
今回は遊次が照美たちの魔法少女アジト的な所へ行くお話!
ついに集合する魔法少女4人(+マスコット)。
遊次はこれからどうしていけばいいのかを皆と話し合うのだが…!?
お楽しみいただけたら幸いです!
第4話も…お楽しみに!
「魔法少女あさね! 第3話」
第3話 『俺と私と魔法少女ハウス』
「1」
〜朝8時 朝根家 詩織の部屋〜
俺の名前は朝根遊次!
とりあえず前回までのあらすじだ!
パラレルワールドの俺自身である小学生魔法少女「朝根詩織」と融合してしまった俺は詩織のいた魔法少女たちが存在する世界へやって来た!
そして到着するやいなや…詩織の仲間である魔法少女たちと出会ったり、敵である魔獣に遭遇してしまったりと。
俺はホントに「パラレルワールド」へ来たんだなぁ〜と実感させられた。
魔法少女のマスコット的存在である「ひぐらし」によると、この世界で俺は「詩織」として生活していかなきゃいけないらしい。
というわけで俺は今、詩織の実家にて小学生5年生女子の「朝根詩織」として……新たな生活を始める事となりその2日目を迎えたってわけだわ。
「ふぁぁ〜………あれ?夢に出てこなかったなアイツ。」
そして詩織は「俺の中」で生きている…らしいんだよな。
実はこの世界にくる途中、夢の中で彼女と初めて邂逅し少し話をしたのだ。また寝た時に夢で会えるかと思ったんだが…。(第一話参照)
「まぁいいか。それにしても…やっぱり『現実』か。起きたら元に戻った〜なんて展開にはならないよなぁ。」
起き上がって部屋の鏡で自分の顔を見る遊次。
そこには30代男性の「朝根遊次」ではなく、小学生女子の「朝根詩織」の顔が写っていた。
………正直、可愛い顔してやがる。
「……あれ?何だ…めっちゃトイレ行きたいな…。ヤバい、これ我慢できなi…。」
「ねぇちゃ〜ん!?起きた〜?朝ごは〜ん!」
「は・は〜い!すぐ行く〜!……トイレに!」
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〜朝根家 一階リビング〜
「ねぇちゃん、なんかソワソワしてるけど大丈夫?」
「う・うん。ちょっと漏れt…じゃなくて何でもないよ〜優?あ、醤油取って。」
「そう?はいよ。あ、お母さん。ご飯お代わり〜!」
「それくらい自分で取りに行きなさい。まったく…。」
自分の身体の変化に少々ビックリしている遊次。
女の子の身体では「我慢」が難しい事を知った。
…気持ち悪いからあとで下着を替えなくては…。
「どう詩織?詩織が好きだったおかずを用意してみたけど…美味しい?」
「う・うん!何か思い出したりとかは出来ないけど…ホントに美味しい!ありがとうお母さん!よし、私もご飯お代わり!優!」
「え〜弟パシるなよなぁ〜ねぇちゃん。」
ちなみに「詩織は記憶喪失」という設定で遊次は詩織を演じ続けている。
案外それでやっていけそうだ。
「今日はあのお姉さん達の所へ行くの?詩織。」
「うん。工藤さ…工藤お姉ちゃんたちの所へ。」
「あら?確か「照美」さんって人じゃなかったかしら?」
「あっ…そ・そうそう!照美お姉ちゃんたちの所に!」
「なら…またお礼言っておいてちょうだいね。あの人達のおかげで、ずっと「行方不明」だったアナタを見つける事ができたのだから。」
「…………うん。分かったよ。お母さん。」
遊次は実際、詩織の身に何が起きて「今のような状態」になったか誰からも聞いていない。
それも込みで今日は魔法少女たちの話を聞きに行く予定だ。
〜数分後 再び詩織の部屋〜
出掛けに行く服を選んでいる遊次。
言わずもがな遊次は女子の服選びに関しては全くの無知!
タンスやクローゼットの中の服をポイポイ取り出している。
「小学生の子もちゃんとオシャレしてるんだなぁ〜めっちゃ服の種類あるし。どれがいいんだ?」
悩みに悩んだ末、なんとか服一式を見繕う。
最後に1番下の棚を開けると……。
「うわっ大量のブラ……って大体は「スポブラ」か。コレも付けなきゃか〜。そうだ、下着も替えなきゃ。…めんどくせぇ〜。」
グチグチ言いつつも、ようやく詩織の私服に着替え終わった遊次。
最後に鏡を見ながら髪をサイドポニーテールにしてリボンで結ぶ。
「アハハ…下手くそだな〜髪のセッティング。工藤さんとかに聞いて教わらなきゃだな。」
「全くじゃぞ。まだまだ詩織になりきれておらんな。」
「うわっ!?」
急に後ろから声がしたので振り返ると、ひぐらしが部屋の中でフワフワ浮いていた!
よく見ると部屋の窓が開いている。
「おまっ…窓から勝手に入ってくるなよ女子の部屋に。」
「おぉ、すまんすまん。じゃがいつもこうやって詩織の部屋に遊びに来とったからのぉ。」
「マジか…それで?迎えにきてくれたのか?」
「うむ。もう照美たちはアジトに到着して待っとる。案内してやるからはよ行くぞ。」
「2」
〜落落駅付近 マンション「FMP」屋上〜
「お〜すげぇ。街が一望出来る。」
遊次は駅の近くにある「FMP」と呼ばれる新築マンションにやって来た。
その屋上で照美たち魔法少女が遊次を待っているという。
「このマンションは魔法少女を管理するワシらや魔法少女たちの隠れ蓑となっておる。外見は一般的なマンションじゃが、バリアーで守られていて見えないドローンが飛んでいたりと警備も万全なのじゃ!」
「ほぉ〜それで?「アレ」が隠れ蓑なの?」
「…………………………………うむ。」
遊次が指差した先には屋上にポツンと設置されている「簡易ハウス」、通称ユニットハウスがあった。
外見が普通すぎて最初は何かの間違いだろう思った遊次だったが…。
「……魔法少女感「ゼロ」なんだが?」
「仕方ないじゃろ!ワシだって配属された時に「夢の都内マンション暮らしじゃあ〜!」と期待してたら…コレなんじゃよ!」
「そりゃあドンマイだな…まぁいいや。入っていいのか?」
「うむ。」
遊次が扉に手をかけようとしたその時!
タイミングよく中から扉があいた!
開けた人物は…
「…おや?遅いから迎えに行こうかと思ってたが…ちょうど来たようだな、ひぐらし。そして詩おr…じゃなくて遊次さん。」
「えっと確か高田さん…でしたっけ?どうも。」
「えぇ、昨日ぶりですね。」
中から現れたのは、昨日遊次と会った魔法少女の1人、「高田美琴」だった。
魔法少女姿が和風だったので私服も和風かと思ったが、普通にカッコいい洋服を着ていた!
「すまんのぉ美琴よ。詩織の服を着るのに遊次が手間取っておったのでな。」
「服を…?それにその…。」
「まぁ…見た目がコレでも中身は男なんで。色々と分からなかったっすね…。」
「あはは、そうでしたか。どうりで髪もボロボロだ。中で直してあげますよ。ともかくさぁ、お入りください。」
ユニットハウス(ここからは『魔法少女ハウス』)の中に入る遊次。
奥へ進むとドアがあり、そこを開くと…!
「うわっ!広っ!!!」
明らかに外部から見た構造を無視した広々としたリビング!(魔法によるものだと後で理解。)
ドーム状に部屋が広がっており、家具一式が綺麗に設置されていた!
そして大きなソファーには「ある2人組」が座っていた。
「あっ!!!詩っ織ちゃぁぁぁぁん!!!」
「えっ!?」
遊次が部屋に入った途端、1人がソファーから立ち上がって両手を広げ駆け寄ってくる!
だが…!
(ピタっ)
その子は遊次の目の前で固まるように立ち止まる。
よく見るとその人物は昨日、美琴と一緒にいた2人目の魔法少女「宮本星蘭」だった!
私服は「まさしくお嬢様」のような服を着ている。
「…………そうでしたね。外見は詩織ちゃんでも中身は………はぁ。」
「???」
すごく残念そうにガッカリした様子でソファーに戻る星蘭。
そのままソファーに座っていたもう1人の魔法少女の膝上に顔をダイブさせる!
「ほらほらセーちゃん。落ち込まない落ち込まない。」
「ヨヨヨ〜…照美ちゃん。この世は残酷ですよぉ〜……詩織ちゃんがあんな…あんなケダモノにぃぃぃぃ。」
メソメソ泣く星蘭を慰めている魔法少女は「工藤照美」。
遊次をパラレルワールドへ連れて来た1人、詩織の事を1番大事にしている魔法少女だ。
私服は3人の中でも良い意味で「普通」。女子高生らしい洋服だ。
「お・おはよ、工藤さん。」
「……ちょっと遊次。なによその髪は?」
「え?あ…これは〜…その〜…。」
「遊次さん、自分で詩織の髪型をセッティングしてみたそうだよ?照美。」
「下っ手くそ!」
「どストレートだなぁ!?」
「詩織の髪をグチャグチャにしないでよ…もぉ!女子は髪を大事にしているんだから!」
「ごめん…なさい。」
「ふふふ…まぁまぁ照美。」
クスクス笑いながら遊次の肩に手を乗せてソファーへ誘導する美琴。
ソファーに座った遊次の後ろから乱れた髪を整え始めてくれる。
「うわぁ……高田先輩に髪を直してもらうとかホント。光栄に思いなさいよ?」
「うっす。」
「これくらい平気ですよ。あぁそうだ。髪型の作り方…覚えてもらわなきゃですね。じゃあ前に鏡を置いて…っと。」
美琴に詩織の髪型をどう作るのか教えてもらう遊次であった。
「3」
〜魔法少女ハウス リビング〜
「それじゃあ全員集まったようなので…魔法少女会議を始めるぞい。」
中央テーブルのど真ん中に浮いて会議開始の宣言をするひぐらし。
魔法少女たちはそれぞれソファーに座っている。
「まずはこの街の「魔獣出現数」じゃが、「あの一件」以来数は激減しておる。最近でも照美と遊次が対処した1匹がいただけらしいのぉ?」
「まぁデカい図体のわりに弱かったけどね。」
「俺がいなきゃ瞬殺してそうだったもんな…。」
すると星蘭が驚いた様子で立ち上がる!
「ちょっ、照美ちゃん!?もしかして詩織ちゃ…このケダモノも魔法少女に変身して戦ったの?」
「け・ケダモノ…。」
「遊次はほぼ非戦闘員よ。変身しても魔力が低すぎるから戦わせなかったわ。」
「そう…ですか。ですがもし詩織ちゃんの柔肌に傷をつけていたら…(ギロリ)」
「………(ゴクリ)。」
めっちゃ星蘭に睨まれる遊次。
明らかな殺意だ〜…。
「やはりのぉ…融合したばかりの身体ではまだ詩織の魔法少女の力を扱う事はできぬか…。」
「今日の本題はソレだろう?ひぐらし。」
「高田先輩。」
「私としても詩織の復活はいち早く望む所なのだが…それよりも魔獣どもの復活が早い。」
「おそらくのぉ…。なのでワシは遊次に魔法少女の力を取り戻してもらうのが先かと考えておる。」
遊次に視線が集まる。
「やっぱり……すぐには元の身体に戻れないんだな。」
「残念ながらのぉ…」
「ホント残念だわ…こんな欲にまみれた輩にいつまで詩織ちゃんの清楚な身体が…。」
「こらこらセーちゃん…。」
うん、そろそろ分かってきた!
星蘭さん、俺が嫌いなだけじゃなくて…………大の「男嫌い」っぽいな!!!
「それで?ひぐらし。詩織の魔法少女の力を取り戻すにはどうしたらいいの?」
「安心せい照美。昨日からずっと調べておったわい。あったぞ、「一つだけ」方法が。」
「へぇ〜どうするのよ?」
「実は遊次のような「前例」が過去にあるのか?それを調べるためワシは他の仲間たちに色々と聞き回ったのじゃ。すると………『北の国』で似たような状態の魔法少女が1人いる事が分かった。」
「「「「!!!!????」」」」」
驚く一同。
まさか遊次と同じ境遇の魔法少女がいたとは。
「まぁ〜その子もかなり「特例」でのぉ。聞いた所、小学生の男の子なのじゃが…魔法少女になるはずの妹を間違って庇い。魔法少女になったそうじゃ。」
「小学生男子の……魔法少女か。確かに特殊だな。」
「残念ながらこっちはオッサンだけどね…。」
「おぉ〜い待て待てオッサンちゃうわ。30はまだ若いよ。若い。」
変なこだわりを持つ遊次。
「ゴホン!その子も最初は魔力がかなり弱かったらしいが…『ある事』を続けて今ではちゃんと闘える魔法少女になったそうじゃ。」
「ある事?」
「…『女を磨く』事じゃ。」
「は??????????」
ひぐらしの言った事が理解できてない遊次。
だが他は「あぁ〜…そういうこと。」と納得した表情をしている!
「魔法少女の力とは!女性にしか存在しないパワー!じゃから遊次よ!おヌシは真剣に!『詩織』という女子になりきるしかないのじゃ!」
「し・真剣にって言われても…。」
「……でもさぁひぐらし。遊次が詩織になりきったとしても…難しいんじゃない?だってあの子は…。」
照美に指摘され、渋い顔をするひぐらし。
「……まぁそうなんじゃよなぁ〜。じゃがコレしか解決策が見つからなくてのぉ。」
「何言ってるのよ照美ちゃん!詩織ちゃんは「ああいう所」もメッチャ可愛いし可愛いんだから!」
「ふふっ。2回も言う必要は無いが…それには私も同意だな。詩織は可愛い。ちゃんとした女の子だ。」
「いやいやセーちゃん…高田先輩も。そういう事じゃなくて…!」
詩織についての談義が始まる魔法少女たち。
………それを聞いていて遊次はある事にようやく気付く。
「ちょ…ちょっといいか?」
「何よ遊次?」
「あのさ。もしかして俺がやってる詩織の真似って……。」
「「「……………。」」」
一瞬黙る魔法少女たちとひぐらし。
そして同時に。
「「「「全然、似てない!!!」」」」
「まぁ〜ですよね〜!」
「4」
〜夜 朝根家 詩織の部屋〜
夕食を食べてお風呂に入り、ベットへ向かってバタリと倒れる遊次。
「今日も疲れたなぁ〜。あの後も…」
家に帰る時間まで遊次は照美たちから「詩織がどういう子だったのか?」のプレゼンと、「女子としての最低限マナー・立ち振る舞い」を教わっていた。
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「ともかく!詩織は優しい子よ!遊次みたいな陰キャムーブは詩織になってる時やめてよね。そーいうとこ詩織のイメージダウンに繋がるから!」
「詩織は自由気楽な子だ。飄々とした所もあってたまに誤解される事もあるが…なんというか…とにかく良い子だよ。弟たちともよく遊んでくれるしね。」
「詩織ちゃんの皮を被ったケダモノさん?私の前で男に戻らないでください。あと詩織ちゃんの身体を汚さないでください。いやらしい目で見ないで、ベタベタ触らないで、セクハラしないで、周りに変な詩織ちゃんを浸透させないでくださいね…?返事は結構です、早く詩織ちゃんを元に戻す努力を…してください?(ゴミを見る目)」
「遊次よ。ともかく詩織の姿で女子らしい生活をしててくれれば……ソレで良いはずじゃ。そうすれば魔法少女としての魔力は徐々に戻り、詩織の力も実戦で使えるはずじゃ。くれぐれもよろしく頼むぞ。」
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「……………なんか1人はアドバイスじゃなくて呪詛送ってきた気がするんだが。はぁ〜、女子らしい生活…か。」
明日はついに詩織が通っている小学校へ登校しなければならない。
詩織のクラスメイト…おそらく友人もいるのだろう。
どう接していくべきか?横になりながらイメトレする遊次。
「しかも学校終わったら「まだ話す事があるから魔法少女ハウスに来い」、と来た。明日も忙しいぞ〜コレ。」
しかも詩織に何があったか?についても聞きそびれてしまった遊次。
だが今はやるべき事が増えてしまったので、その疑問は記憶の片隅へしまう事にした。
「やべっ、眠い……………………明日もぶっつけ本番って感じだな……あ、トイレ……行き忘れ…て……zzz」
小学生の身体だからか。今日一日の出来事を頭で振り返ってるうちに、疲れ果てて深い眠りに落ちてしまう遊次であった。
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〜???〜
「………私の体。ちゃんと大事にしてくれてるみたいね。ありがとう遊次。」
……え?詩織?
って事はこれって……夢…か???
「まぁ〜お風呂入ってる時とか着替えてる時に?ちょ〜っと触ってたりしてたけど?照美お姉ちゃんたちにちゃんと黙っててくれたから…今回は許してあげる。」
おっと……やはり筒抜けだったのか。
ゴメン詩織!つい出来心で……って「こっちの声」は聞こえないんだったか…。
「へぇ〜?出来心ねぇ〜?」
え?
「一応だけど。私、小学生だからね?これ以上は自分自身だとしてもお巡りさん案件だから。」
ちょ…!?え!?聞こえてるのか俺の声!?
「え?うん。おかげさまで魔力がちょっとずつ戻ってきてるし。もう少しで魔法少女としても戦えそうだよ。」
そうなのか………ってかアレ?
何か最初と雰囲気変わったな?詩織。
「……え!?ソ・ソンナコトナイヨー?別に照美お姉ちゃん達と話してるの聞いてたから〜とかじゃないし…?」
え?なんて?
「と・ともかく!明日は学校だね。あんまり目立つような事しないでよ〜?遊次?」
お・おう。
頑張って善処するわ。
「うん。それじゃあ……またね、遊次。」
あっ、ちょっと待て詩織!まだ聞きたい事が………ぐっ…!?また…眩しい…!?
…………………………
……………………
………………
…………
……
…
「ふぅ危なかった〜………でも、あと少し。もう少しであの子の『魂』が目覚めるよ。」
遊次が消えて、1人になった『少女』がつぶやく。
少女の周りから黒いモヤモヤが現れる…。
「はぁ、ホント私がいないとダメなんだから。後処理しなきゃいけないこっちの身にもなってほしいわ。……あの子が目覚めたら、私の代わりに彼女をお願いね。遊次。」
「…あの町を救った大バカ魔法少女、『朝根詩織』を…さ。」
つづく




