古い映画
「僕は・・・君を忘れないよ・・・」
男性の背中越し
その男性はその言葉を残してバスに乗り込む
そして空上からバスが遠くに走っていく・・・・
音が鳴り
画面は徐々に暗くなり
スタッフロールが流れていった
「ふふ、まただね?」
「こればかりは仕方ないだよ・・・」
そういって頬を伝って流れた涙を拭く
「あの時もこのシーンで泣いていてあの時はすこし・・・びっくりしたけど・・・」
彼女はそういって顔を覗き込み
「純粋で・・・優しい人なんだって思ったよ?」
あざとく冗談ぽく小首を傾げる
「ううぅ・・・あまり言わないでくれ・・・恥ずかしい」
「だって~」
そういって彼女は僕を抱きしめる
「そんなあなたが愛しくて好きになったんだよ」
「・・・うん」
そういって彼女のぬくもりを確かめる
どうってことのないバイトの休憩中
彼女とは今まで何を話していいかわからず
いつもただ休憩室にあるテレビを見ていた
「おはようござまいます」と「おつかれさまでした」
その言葉しか交わさない関係
しかしふと
「あ・・・この映画もうやってるんだ・・・」
彼女は小声でつぶやく
そのあとあと少し間をおき僕も何となく
「映画・・・好きなの?」
「え!?あ、はい!」
「そうなんだ・・・ネットでいろいろから?」
「そうですけどなんか映画って特別で」
彼女の言葉に熱が入ってきた
「やっぱり音とかもそうなんですけど物語も深く楽しめるんですよね、映画は!」
「・・・」
彼女の勢いに押されて言葉がでなかった
「あ!ごめんなさい」
そういってすこし落ち着き
「あの?好きな映画ありますか?」
彼女の突然の質問
それに対して
「あるけど・・・古い映画で」
そういってタイトルを告げる
「それみたことないな~見てみたいけど・・・」
「DVDあるけど貸すかい?」
「え?いいですか?」
「別にいいよ、じゃ今度のバイトの日に」
「あの!一緒にみませんか?」
「へぇ?」
「あの・・・映画の話とかしたくて・・・」
突然の言葉に驚いたが
「・・・いいよ、僕でいいなら」
はっと顔を輝かせて
「ありがとうございます!じゃ・・・」
そういって予定を決め
僕の大好きだった古い映画をみた
その境に
「ほかにもありますか?おすすめ?」
それ繰り返したら
沢山の時間を共有していたら
いつの間にかこうなっていた
古い映画から始まった新しいストーリー
そんな言葉はキザかもしれないけど
今日もまた好きなこの映画と彼女との時間
それが続くよう彼女の体を抱きしめ返すのだ




