第6話 人員が足りない
召喚した国に裏切られた勇者アオイの願いにより、世界制覇へと乗り出すことにしたわたしだったが、問題は山積みである。その中でも、大きな問題は2点存在した。
第一の問題として、人材不足が挙げられる。今現在の魔王軍には、勇者アオイの他の部下としては少数のゴーレムが存在するだけであった。いや、部下がいなければ……。軍勢がいなければ、『魔王軍である!』と威張ったところで何の意味も無いだろ。
第二の問題としては、情報不足がある。こいつに関しては今現在、魔道の術法で作った使い魔をあちらこちらに飛ばして、情報収集を開始している。これだけで十全な情報を集められるわけはないが、まったく無いよりはずっとましだろうと思う。
ここで魔王軍親衛隊長に任命したアオイが、第一の問題点について尋ねてくる。ちなみに親衛隊の隊員は未だ存在しない。
「ねえ魔王様。まずは部下を揃えるって言ったけど、いったいどうするの?」
「とりあえずは、手っ取り早く数を揃えられるゴーレムやら生きた鎧やら彫像怪物を量産するよ。素材と魔力さえあれば、いくらでも創り出せるからね。
その素材なんだが、マッドゴーレムなら泥、クレイゴーレムなら土があればいいし、ストーンゴーレムなら魔王城の建材を使えばいい。生きた鎧や彫像怪物、アイアンゴーレムならば、魔王城の倉に鋼鉄のインゴットが大量にあるのを見つけた。
ちなみに魔力はわたしが問題ないレベルで持ってる。当面必要な数を揃えたとしても、1%も使わないよ。と言うか、四六時中創り続けても自然回復する魔力だけで消耗分を補って余りあるさ」
アオイはフンフンと頷きながら聞いていたが、話の途中で目を見開いた。わたし、何か変な事でも言ったかな?
「!? ……ま、魔王城を解体してストーンゴーレムの材料に使うつもりなの!?」
「え? ……いけないかな?こんな前時代的な建造物、潰して近代的な基地を築こうと思っていたんだけどね。
……まあ残しておけば、後世に歴史的建造物や観光資源として価値が出るかもしれないが。だが後の世の事よりも、今は戦力を揃えないといけないよ」
わたしの言葉に、アオイはあきれた様な顔をして見せるが、反対意見は主張しない。ちなみにこのゴーレム、生きた鎧の量産計画には、実はもう1つの目的がある。わたしが魔道の術やこの世界の魔法を行使するための、基礎訓練である。
ゴーレム等々を大量に創造することで、魔力の運用法や術の行使に関する経験を積もうという考えだ。経験を積まないと、今のままじゃまずいと思うんだ。ひしひしと。
一応元の世界の魔道知識、この世界の魔法に関する知識は莫大な物を持ってはいる。魔力も書類や魔王召喚魔法陣を調査した結果、元からの魔力と魔王召喚で強化された分とを併せて、最低でも先代魔王ゾーラムの10倍以上は持っている様だ。
自分のことながら、規格外にもほどがあるとは思う。だけど……だけど、だ。これだけの魔力を持ってはいても、実際のところ付け焼刃だし。各種術法を実際に運用することについては、わたしは素人に過ぎない。と言うか、今までに簡単な術であっても何度も失敗している。慢心はできない。
頑張らなきゃ。
魔王様、魔王城を解体してゴーレムの材料に……。今までこんな魔王がいたか!?いや、いない!!




