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第64話 現状把握

 わたしたちは魔王軍本部基地の司令室にて、親衛隊の副長に就任したミズホと他幹部の顔合わせを行い、そしてミズホに魔王軍の組織についての説明をしていたところだ。一応これで、魔王軍組織については一通り説明し終えたかな? わたしはミズホに向かって言った。


「これからしばらくは、君は全てが勉強だと思って仕事をしてくれ。ああ、一応本当の勉強もカリキュラムを組んであるからね。わたしが魔法で必要な知識を君の頭脳に植え付けるが、それだけでは上手く知識を活用できないのは、これまでの実例が示している。

 だから知識の上手い引き出し方や活用法を、学校で学んでもらうよ。他の学生たちと一緒にね」


「えっ! 学校に行けるんですか!?」


「ああ、勿論。ミズホも魔王軍の幹部なんだから、必要な知識は山の様にあるさ。あと学校で教育を受けるのは勿論、魔法や剣術、銃の扱いも勉強してもらわないといけないね。特に魔法は、基礎がちゃんと出来てないみたいだから、鍛え直さないとね。

 アオイ、魔法と剣術、銃については教官役頼めるかな?」


「了解。まかせて」


 学校に行けると言う望外の幸運に喜ぶミズホと、自信満々で教官役を引き受けるアオイを見遣りつつ、わたしは今度はザウエルに話を振る。


「紹介と魔王軍の組織説明についてはこのぐらいでいいだろう。ザウエル、次は君から魔王軍および魔王領の現状について頼むよ」


「了解いたしました。ついでに報告すべき事柄もありますから、それも併せて。現在魔王軍では、空戦においては魔竜が、陸上においては自動車歩兵及び砲兵が、それぞれ主力となっております。

 飛行機は今のところ補助戦力ですね。ただしつい昨日の話ですが、全金属製単葉機の試作品が飛行に成功しました」


「質問いいですか? 自動車歩兵って、何ですか?」


「ああ、文字通り自動車、それもタイヤ付きの車両、いわゆる兵員輸送車に乗った歩兵のことです。機動力は従来の歩兵の比ではありませんが、平坦な場所でしか活躍し難いのが難点ですかね。

 銃を使えない普通のゴーレム、普通の生きた鎧(リビングアーマー)、普通の彫像怪物(リビングスタチュー)を除き、最新式の自動小銃と擲弾発射器(グレネードランチャー)、迷彩服、それに迷彩柄の防弾チョッキで武装してます。ちなみに砲兵はトラック牽引式の155mm榴弾砲を使ってますね。」


「はぁ~……」


 ミズホは唖然とした表情をする。さもありなん。召喚前は普通の12歳の女の子だったのだ。軍隊やその兵器に関しては、知ってるどころか興味すら無かっただろうに。


 ザウエルの解説は続く。


「ただしごく最近、魔王様設計の戦車、戦車回収車、装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車、それに自走砲および弾薬輸送車両が生産開始されました。これらは全て、無限軌道(キャタピラ)を装備した装軌車両です。

 悪路、不整地に強いので、今までの自動車歩兵は装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車を用いた機械化歩兵へと移行しつつあります。砲兵も自走砲へ装備変更しつつあり、また戦車兵も新たな兵科として創設されました。

 あとは言うべきことは……。ああ、ありましたね。まだ近距離でしか通じませんが、電話による無線通信が新型の各車両に搭載されるようになってます。遠距離での通信は、無線電信もしくは従軍魔道士による長距離念話ですね。それと有線式の野戦電話も各部隊に配備されています」


 ザウエルは書類を捲る。


「それで、海軍に関してですが……。駆逐艦2隻と駆逐艦の艦体を使った練習艦5隻、大型輸送船4隻が竣工し、就役しました。また駆逐艦2隻と巡洋艦1隻、大型輸送艦2隻、強襲揚陸艦4隻がまもなく進水、艤装工事に入ります。

 これにより従来のゴーレム動力の輸送船は順次退役、民間払下げいたします」


「船乗りの数が足りないなあ。また人工知能型ロボットやアンドロイドを増産するか……。ただ、機関員は生まれたばかりの奴らには、任せられないからなあ。練習艦5隻を大車輪で活用して、人材育成を図らないといけないね。せめて知識だけでも魔法で植え付けておくか……。今までゴーレム動力船に乗ってた奴らは、各艦艇に均等に配分して……」


「魔王様。ゴーレム動力船は民間払下げするので、民間に対する教官役も必要になるかと思いますが」


「ああ、そうだね……。海軍は急ぎ必要なんだけどなあ。コンザウ大陸に対する示威行動を行って、相手の出鼻をくじかないと……。うーん」


 唸るわたしにあきれた様に、ザウエルは言葉を発する。


「必要なのは分かりますが、だからと言って海軍に必要な技能者が沸いて出るわけではありません。まずは沿岸警備などで経験を積ませるのが肝要ですよ。示威行動は、別の手段を取りましょう」


「うん、わかってはいるんだ。だけど愚痴ぐらい言わせて欲しい……」


「さて、魔王軍の現状はこんな物です。親衛隊副長殿、わからない所は?」


 ザウエルは、わたしをスルーしてミズホに訊ねる。……別に、いいけどね。ミズホはザウエルに答えた。


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます、大魔導師殿。でも魔王軍って、こんなに近代的だと思いませんでした。もっとおどろおどろしい物だとばかり……」


「先代魔王の時代とは違いますからねえ。便利になったものです。全て魔王様が努力したおかげなんですがね。」


 そしてザウエルは、唐突にわたしを持ち上げる発言をする。ちょ、照れるからやめてくれ。わたしは爪で、頬の生体装甲板を照れ隠しにガリガリと引っ掻く。


 ……みんな。頼むから、その生暖かい笑みはやめて欲しいんだが。アオイとミズホまでもが、こっちを見て微笑んでいる。やれやれ。

 色々急速に発展させたせいで、たとえば海軍とかの整備がきちんと出来ていません。海軍軍人は、技術職ですからねー。教育に手間暇かかるんですよー。

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