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第62話 顔合わせと魔王軍解説

 いつもの魔王軍本部基地司令室で、いつもの様に魔王軍定例幹部会議が開かれていた。幹部の内、バルゾラ大陸にいる者は直接出席し、アーカル大陸に出向いている者は『通話水晶』の映像で間接的に出席している。


 ただし本日の会議には、いつものメンバーでは無い者……。はっきり言えば、新メンバーが参加している。今回の定例幹部会議は、その新人の紹介と顔合わせの意味もあった。新メンバーの少女が、緊張気味に、しかしはっきりとした口調で自己紹介を行う。


「皆さん、初めまして! あたしはこの度魔王様の親衛隊副長に任命されました、久遠瑞穂、ミズホ・クオンといいます! 12歳程度にしか見えませんが、これでも15歳になります! よろしくお願いしますっ!」


 一生懸命なミズホの様子に幹部連中は、一部の表情が構造的に出せない者を除き皆、微笑ましいものを見た、と言う様な表情になる。そして幹部連中もまた、彼女に順番に自己紹介を始める。まずはアオイが口を開いた。


「わたしと魔王様はもう知ってるから良いわね。……ああ、役職はまだだったかな。わたしは親衛隊長。あなたはわたしの次席について働いてもらう。頼りにしてる、頑張って」


「僕は魔道軍団軍団長の大魔導師ザウエル・リーグハルト。まあ、魔道軍団でなければできない仕事が多過ぎて、最近は便利屋扱いですけどね、ははは……。いえ、不満なわけじゃ無いですよ。いえ真面目な話で」


『俺は魔竜軍団軍団長の魔竜将オルトラムゥだ。今はアーカル大陸の元『ヴァルタール帝国』領を平定する任に、副将の1人として就いてる。と言っても、もう竜騎士もほぼ全部やっつけたし、たまに対地攻撃支援をするぐらいしか仕事が無いんだがな。

 なあ魔王様、そろそろ魔竜軍団だけバルゾラ大陸に帰っちゃ駄目か?まだ駄目か、そうか……。はぁ……』


『わしは魔獣軍団軍団長の魔獣将ガウルグルクだ。同じくアーカル大陸に、主将つまりは総大将としてやって来ておるのだ。簡単に言うならば、魔獣の長であるのだ。よろしくの、親衛隊副長殿』


『当機ハ魔像軍団軍団長、魔像将ぜろトモウシマス。貴女ニ理解シ易ク言ウナラバ、人工知能ヲ組ミ込ンダろぼっとデス。同ジクあーかる大陸ヘ副将ノ1人トシテ出向シテオリマス。

 魔像軍団ハ、生キタ鎧(りびんぐあーまー)ヤごーれむ、彫像怪物(りびんぐすたちゅー)他、ワタシノ様ナ人工知能ろぼっとヤあんどろいど等々、生命無キ存在ニヨル軍団デス。故ニ死ヲ恐レマセン。ソノ特質ニヨリ、陸戦ニオケル主力ヲ担ッテイルト自負シテオリマス』


『それがしは死霊軍団軍団長、怨霊将伊豆見鉄之丞と申す。魔王軍における不死怪物(あんでっど)、ソレの元締めをやっておる。この身は怨霊と化しても、武士(もののふ)としての誇りは忘れたわけではござらぬ。あ……と。うむ、それとだな。

 それがしも、『りゅうむ・なあど神聖国』には死んでも死に切れぬほどの怨みがある。この身が怨霊と化したのも、それ故よ。聞けばお主も彼の国に怨みがあるとのこと。共に手を携え、怨敵を葬り去ろうではないか』


 ミズホは一斉に自己紹介を受けたことで少々混乱気味であったが、それでも最後の鉄之丞の言葉には反応を見せた。彼女は鉄之丞に向かい、頷く。鉄之丞も満足げに頷いた。


 ここでわたしが、細かい魔王軍の組織他の内情について、ざっと説明を加える。


「あー、魔王軍は軍隊ではあるものの、同時に我が国の政府でもある。いわゆる、軍事独裁政権ってやつだね。その頂点に立っているのがわたし、魔王ブレイドなんだけど。

 ちなみに今の段階では、この国には正式な名称は付いてない。事実上国家としては機能しているけれど、正式に立国を宣言したわけでも実は無いんだよね。アーカル大陸全土を支配下に置いた時点で、建国記念式典を行って、既に決めてある国名を発表する予定」


「国名、決まってるんですね。なんて国名なんですか?」


「あー、うー……。『JOKER剣魔国』だよ。国旗も同時に発表する予定。ま、それはともかく。

 次は親衛隊と各軍団について説明しようか。親衛隊は親衛隊長であるアオイと、その下に就けた戦闘ドロイドで構成されてる。君も今回、ここにアオイの次席として加わった。なおこの戦闘ドロイドは、普通の戦闘ドロイドやアンドロイド、ロボットたちと比べても、今では一回りも二回りも能力が強力になってる。

 まあ、何度も改造強化を施したからね。ゼロよりは弱いけどさ。主任務はわたしの護衛だよ。まあ他にも書類仕事を手伝ってもらったりもするけれど。」


 他の軍団についても、ざっくりと説明しておく必要があるか。


「魔道軍団は、主に魔族、そしてわたしに忠誠を誓った森妖精族で構成されている、魔道士たちの軍団だね。本来の任務は、その魔法による魔法戦闘および新魔法の研究開発、他の軍団への魔法支援等々。

 ただし魔王軍きってのインテリ集団だから、何かあるごとに方々に駆り出されてるんだ。軍団長のザウエルは、便利屋扱いされてるってしょっちゅう愚痴ってるけど、それだけ頼りにされてるんだよ。

 下部組織として、邪鬼(ゴブリン)邪妖精(スプリガン)による諜報工作部隊が所属してる。まあ諜報活動や工作員としての仕事に従事しているのは、魔道軍団本体の魔道士たちもなんだけれどね。本当に、良くやってくれているよ」


「うわあ……。凄いんですね、ザウエルさん」


「それほどでも、あります」


 ザウエル、そこは謙遜するところだろう。


「魔道軍団の次は魔竜軍団かな。魔竜軍団は、その名の通り魔竜の集団だ。魔王軍の空軍として働いてくれている。その任務は、竜騎士などの敵航空兵力の排除、対地攻撃支援など幅広い。同時に魔竜将オルトラムゥはわたしを除けば魔王軍の最大火力として、攻城戦などにも出向く事がある。

 魔竜軍団の下部組織には、最近編成された、初期型の飛行機による航空隊が存在してるよ。まだちょっとした偵察や、着弾観測にしか使えないけれど、新型の飛行機も設計が開始されてるから、そのうちもっと活躍できるようになるだろうって、見込まれてるんだ。

 現在搭乗員は蜥蜴人(リザードマン)半豚鬼(ハーフオーク)の若者、わたしに忠誠を誓った人間族などだね。あと整備士などの技術者として、魔法より科学技術に興味を持った変わり者の魔族や、わたしに忠誠を誓った土妖精(ドワーフ)族や人間族がいるよ」


 ミズホは驚いた顔をする。わたしは説明を一旦とめて、彼女に訊いてみた。


「……どうしたんだい?そんな驚いた顔をして」


「飛行機ですか? 自動車や工場なんかでも驚いたんですが、魔王様って、一体……。いくらなんでもこの世界の水準から離れすぎです。

 それに、魔王様に忠誠を誓った人類種族、ですか? 征服された人々じゃなしに?」


「あー、アオイ。話してなかったのかい?」


「魔王様が話してるかと思った」


「あー、なるほど」


 ひとつ頷いてわたしは、ミズホに説明する。


「わたしは、君が勇者召喚魔法陣によってこの世界に呼びこまれた様に、魔王召喚魔法陣によって元の世界からこの世界に片道で呼びこまれたんだよ。元の世界では、世界制覇を狙う悪の秘密結社が造った改造人間だった。簡単に言えば、こんなところかな。

 ついでに言えば、わたしの補助頭脳にはその秘密結社の超科学技術がいっぱい詰め込まれてる。それを使って、魔物たちの社会を発展させてきたのさ。

 で、わたしに忠誠を誓った人類種族だけどね。元々人類種族の領域だったアーカル大陸や今も人類種族の手にあるコンザウ大陸、そこで迫害を受けてこのバルゾラ大陸に逃げ込んで来た少数民族がいるのさ。

 人類種族は、迫害して追い出したくせに彼らを裏切者扱いしてる。わたしは彼らを保護して教育を与えたんだ。まあ、わたしに忠誠を誓う様な偏った教育であることは否めないけどね」


「そんな人たちが……」


 ミズホは驚いている。わたしは説明を続けた。


「もう1つは、先代魔王の時代に奴隷だった人たちだね。人類種族の領域で、人類種族の手によって奴隷に落とされて魔物に売り払われた人たちだ。彼らはそのことで、人類種族を怨んでいる。わたしは彼らを奴隷から解放して、教育した。

 ちなみに彼らの怨みが個々の人類種族ではなく、彼らを売り払った奴隷商やそれを容認もしくは推奨した政府、国家指導者たちに向かう様に仕向けたけどね。

 ああ、その他にも先代魔王たちが軍人を捕虜にしたり、民間人を掴まえたりとかで、奴隷にされたやつらもいたけれど……。そう言うのは反乱を企てた奴らは表向き死刑。そうでないのは旧式船に乗せてコンザウ大陸へ返してやったよ。こっちに忠誠誓うわけ無いし、居ても面倒なだけだからね。」


「は、はあ……。魔王様は、悪の秘密結社の改造人間ですか……。

 それはともかくとして、やっぱりあるんですね、民族差別問題とか、奴隷売買とか……。あたし、そう言うところは全然見てなかったです……。恥ずかしいです」


「周りのやつらが見せようとしてなかった事もある。わたしも後から、そう言うのを見せられない様にされてたのに、思い当たる点がいくつもあった。だからあなただけのせいじゃない。気にしない方がいい」


 アオイの言葉に、ミズホは小さく頷く。本当に『リューム・ナアド神聖国』の奴ら、勇者を道具としていい様に使う事しか考えて無かったんだな……。


 さて、ちょっとばかり小休止しようか。一気に話しても、消化しきれないだろう。実際、ちょっと頭がぐるぐるしてるみたいだしな。

 まあ、即座に魔王軍組織を理解するのは、15歳(外見と学歴は12歳)のミズホにはまだ難しいでしょうねー。でも、時間かけてでも勉強してもらわないと。

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