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第35話 海を越えて来る者たち

 『ゾフォーラ王国』滅亡から2週間が経過した。我が新生魔王軍アーカル大陸侵攻軍は、『タートム連合国』へと攻撃を開始している。占領地の治安維持に取られている人手と、占領地の北部の『ヴァルタール帝国』との国境線に軍を張り付けている分を除いても、その兵力は圧倒的である。


 ちなみに『ヴァルタール帝国』との国境線に張り付いている軍勢はゼロが指揮を執り、『タートム連合国』へ向かった侵攻軍本隊はガウルグルクが率いている。なお、オルトラムゥと彼の魔竜軍団の半数は、その機動力から火消し役として占領地の中央に待機しているとの事だ。


 魔竜には加速魔法『アクセル』を使える個体も少なくない。その加速魔法を使って高速飛行すれば、占領地の何処なりと即座に戦力を展開できるだろう。待機している魔竜は、全てがそういう加速魔法を扱える個体であるらしい。それ以外の魔竜は、無論のこと侵攻軍本隊へ従軍している。


 ただし『タートム連合国』は、そこまで強敵ではないものの潰し辛い相手だ。連合国、と言う名前の通り、この国は中小の都市国家の連合体なのだ。だから中枢となる場所が無く……正確にはあることはあるのだが、たとえそれを潰したとしても次の頭が生えてくるのだ。


 面倒だが、1つ1つの都市国家を丹念に攻略していくしかないのである。しかも魔王軍の支配下に置かれるのがどうしても嫌なのだろう、『タートム連合国』の国軍は必死の、と言うか決死の覚悟で戦っている。死兵の相手は、ぶっちゃけ面倒でしかない。


 そんなとき、1つの報告が飛び込んで来た。バルゾラ大陸の守りに就いている死霊軍団、その軍団長たる怨霊将である鉄之丞からである。わたしは本部基地の司令室で、その報告を受けた。


『魔王様、コンザウ大陸より来訪したらしき船が、バルゾラ大陸東岸にて座礁いたしてござる。当初それがしは、生気を吸い尽くし皆すべて亡者にせんと思っておったのでござるが……。ゆうじぇにぃの申すところによると、何やら様子がおかしいとかで……。

 どうやら、その船には人類は乗っておらぬ模様。いかがした物かと、ご相談に上がった次第でござれば……』


「人類ではない? 具体的には何者が乗っていたのかな?」


『我が参謀たる、きゃめろんによらば……。なんと、りざあどまん、とか申す種族だとのことで……。そやつらは、魔王様に謁見を申し込んでおりますれば』


 りざあどまん……蜥蜴人(リザードマン)か。この世界において、一応は魔物に分類される種族なのだが……。少なくとも先代魔王の時代には、巨人(ジャイアント)族と並んでその支配下に無かった種族だったな。


「……うん、いいよ。会おう。連れて来てくれるかい? 魔道軍団から転移魔法が使える魔道士を借りていって、できるだけ早くその代表者を連れて来て欲しい」


『承知つかまつった』


 こちらに敬礼をして退出していく鉄之丞を答礼で見送り、わたしはアオイに問いを投げる。


蜥蜴人(リザードマン)が、わたしに何用だろうね?」


「……面倒事の気がする」


「たぶんね」


「はあ……」


 アオイは溜息を吐く。しかし本当に、蜥蜴人(リザードマン)が何の目的があって、このバルゾラ大陸まで遥々やって来たのか。まあ考えても仕方ない。どうせすぐに判明することだ。わたしはとりあえず手元にある未決済書類を片付ける事にした。

 この世界の蜥蜴人(リザードマン)は、海とは縁の無い種族です。それが海を越えてやってきました。彼らが語る内容とは。次回をお楽しみに。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔物、魔法、化学、工業、色んな雑学が本格的に詰め込まれてて、読み応えがあります! そして、他でちょっと見ない難しい表現が光りますね! 物語の一大テーマであるアオイちゃんの復讐がまだまだ解…
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