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第9話 魔竜軍団

 わたしは魔王城跡地に現在建設中の新生魔王軍本部基地司令室にて、親衛隊長勇者アオイと共に、魔道軍団長である大魔導師ザウエルの報告を受けていた。


 ちなみに司令室は司令官であり魔王たるわたしの執務室であり、居室である。基地全体や各部隊に指示を出すための発令所である指令室とは、大きく意味が違う。なお、魔王城は既に9割方解体され、ストーンゴーレムなどの素材になっていた。


「ふむ、わたしの旗揚げに際し、魔王領を実効支配している旧魔王軍各勢力に書簡を送ったが、反応は芳しくないみたいだね」


「ええ、残念ながら。先代魔王ゾーラムが斃れたのを良い機会だと捉え、自分こそが新たな魔王たらんとしている様です。魔王様と我ら新生魔王軍は、ぽっと出のよくわからない勢力に過ぎない、と思われてるみたいです。

 まあ僕と魔道軍団が従ったことで、ある程度の評価はされていると思いたかったですが……」


「逆に魔道軍団の評価が落ちているかもしれないな。ぽっと出の勢力に屈したという事で」


 ザウエルは眉を顰めて頷いた。わたしはおもむろに、執務机の上に開いた世界地図を見遣る。その地図には、北、南、東の3つの大陸が描かれていた。このうち東の大陸がもっとも大きく、南の大陸が一番小さい。


 この南の大陸こそが、今現在新生魔王軍本部基地が存在している場所で、人類社会からはバルキーゾ魔大陸、この大陸の住人からはバルゾラ大陸と呼ばれている土地だ。先代魔王の侵攻が起こる以前、魔物たちはこの大陸に閉じこもり、互いに戦国時代さながら争いあっていたらしい。


 今現在、魔王領は北のアーカル大陸、東のコンザウ大陸にまで広がっている。バルゾラ大陸を統一した先代魔王が、張り切って侵攻を行い、そこまで領土を無理矢理に広げたらしい。


 ただし先代魔王が勇者によって討たれてそろそろ1ヶ月。それぞれの大陸に向かった侵攻軍の統率が乱れ、進軍は停止するどころかコンザウ大陸では人類側の反撃により、戦線を押し戻されつつある。


 わたしは新魔王としてアーカル大陸の侵攻軍には侵攻の一時停止と亀のように閉じこもっての防衛戦を、コンザウ大陸侵攻軍には占領地を放棄してアーカル大陸侵攻軍との合流を指示した。


 しかし先ほど口に出した通り、その結果は芳しい物ではなかった。アーカル大陸侵攻軍もコンザウ大陸侵攻軍もこちらの命に従わず、無謀な戦いを繰り広げて被害を拡大しているとの報告が、使者に出した魔道軍団の魔道士から上がっている。


 ここでアオイがぽつりと呟く。


「魔王様、舐められてる。ガツン、と一発やっちゃったら? 一応兵力も数はそろったでしょ?」


「僕もそれが良いかと思いますね。ここで1つ、魔王としての『威』を示しておいた方が良いでしょう」


「ならば目標とするべきは、この勢力だな」


 わたしは地図の1点を右手人差し指の爪先で指し示す。そこにはバルゾラ大陸の東側に連なるカルトゥン山脈があった。そこには魔竜の一族の本拠地が存在する。


 魔竜の一族は、旧魔王軍における一大勢力であり、魔竜軍団はアーカル大陸侵攻軍の主力でもある。そして今現在魔竜軍団の軍団長である魔竜将オルトラムゥは、魔王の座を狙っている者たちの中で最右翼だ。


 支配している領域は魔道軍団を配下に収めた新生魔王軍の直轄領よりも広く、更にその領域を広げるべく、わたしを含んだ競争相手の領土を削り取ろうと周囲に対して無差別攻撃を行っている。


 オルトラムゥ当人の能力であるが、勇者アオイに倒された先代魔竜将ギャリオルゥに、勝るとも劣らない強者であるらしい。


 アオイが眉を顰める。


「魔竜……。正直な話、先代魔王よりもわたしにとっては相性的に厄介な相手だったかな。空からの吐炎(ブレス)での地上掃射モドキの攻撃で、こっちの攻撃は剣がまともに当らないし、魔法での応戦が主になったから。

 それでも普通の魔竜は魔法でなんとかなったんだけど……。ギャリオルゥ相手には、結局3日に1度しか使えない必殺の聖剣技を叩き込まないといけなかった」


「ほう、聖剣にはそんな機能があったのか」


「キーワードを唱えて聖剣を振ると、斬撃の威力が飛ぶの。それも普通に聖剣で攻撃する威力の10倍、ううん、もっとそれ以上のパワーで。……聖剣はあいつらに持っていかれちゃったから、その技はもう使えないけど」


 その話を聞き、わたしは作戦を決める。もっとも作戦と呼べる様なものでは無いが。


「……となると、ゴーレムとかの兵力は連れていかない方がいいな。飛行できる巨鳥型や巨竜型のゴーレムも無くは無いが……。

 わたし、アオイ、ザウエルの3人で真正面から力任せに叩き伏せよう。思い切り暴れて、力の差を思い知ってもらうとしよう。

 それにちょうどいい。相手には申し訳ないが、ついでにわたしの戦闘訓練相手になってもらおうか」


「了解、わかったわ」


「……僕もですか。となると、本部基地の守りはゼロに任せるのですね」


「そうなるな。奴にも良い経験になるだろう」


 先代魔竜将をアオイたちかつての勇者パーティーで討つことができたのだから、中~遠距離攻撃手段を数多く持つわたしならば、当代の魔竜将相手でも本気で全力で当たればそう苦戦はしないだろう。わたしたちは早速、魔王親征の準備にかかった。

 まあ、ドラゴン相手に鈍重なゴーレムとか生きた鎧(リビングアーマー)とか彫像怪物(リビングスタチュー)とかぶつけたら、的になるだけですからねー。それよか、最大戦力である自分たちが出張った方がいい、と言うか、それ以外の選択肢が無いんですが。

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