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第8話 新生魔王軍、旗揚げ

 そして魔王城の城内にあるわたしの自室で、ザウエルは自分を取り戻した。


「はっ!」


「おお、ようやく気が付いたか」


「え、あ、いつの間に……」


「まあ、茶でも飲みたまえ」


 ザウエルの目の前には、わたしが淹れた茶が湯気を立てている。わたしが魔王城のまったく足りてない設備で必死になって作った焼き菓子も、その傍らに置いた。彼は一瞬挙動不審になったが、開き直ったか思い切って茶を啜る。


 わたしは自分も茶を飲みながら、ザウエルに話しかけた。ちなみに飲み方はやはり、顔を上に向けて口に茶を流し込む方法だ。戦闘形態のわたしには唇が無いので、茶を啜ることはできないのだ。なおアオイも一緒に茶を啜り、焼き菓子をかじっている。


「で、だ。わたしを殺して自分が魔王になるのかね?ザウエル・リーグハルト」


「……いえ、その考えは『パーフェクト・ハイド』を見破られたときに捨てていますよ。真正面はおろか、背後からかかっても貴方は殺せそうにありません。それに……」


「それに?」


 ザウエルは苦笑いを浮かべた。


「万一貴方を殺せてしまったら、貴方の中にある知識が失われてしまうじゃないですか」


「君が君の師匠にやってみせた様に、わたしから知識を奪ってコピーしたらどうだね?」


「あれは互いの魔力にここまで大差がついてると、上手くいかないんです。僕が師匠から知識を奪えたのは、隠してましたけど実は僕の方が師匠より魔力が多かったからなんですよ。

 感じ取れる魔力だけで、貴方の魔力は僕の何倍、何十倍あるやら……。魔力量でも天才的って言われてたんですけどねえ、僕は」


「……なんでそう自分の内幕をばらす真似をするのかしら?大魔導師ザウエル」


 アオイの言葉に、ザウエルは首を左右に振りつつ言葉を紡ぐ。


「これは犬が降参の証に腹を見せるのと、たいした差はありませんよ。こうなったら僕は、貴方に降ります。魔道軍団ごと、ね。ですから僕と軍団の忠誠と引き替えに……」


「わかった。できるかぎり時間を取って、君にわたしの知識を伝授しよう。最初は魔法に応用が利きそうな物を選んで。そして魔法以外の知識も追々ね。……契約成立、かな?」


「はい。ありがとうございます」


 緩んだ雰囲気に、アオイが苦言を呈する。


「魔王様、大丈夫なの? 裏切られたりしない? 魔法なりなんなりで精神を縛っておいた方がいいんじゃないの?

 腕前がまだ未熟でも、知識としてはあるんでしょ。強大な魔力に物を言わせて、無理矢理術をかけちゃえばいいんじゃないかな」


「……それを僕の前で、堂々と言いますか」


「うーん、術をかけるのはいいんだけど、彼ぐらい魔法が巧みだとこっそり解除されちゃいそうだしね。だったらそう言った手段を取らずに、きっちり約束させておいただけの方がまだ安心だと思うんだけどね。

 まあもし裏切られたりしても、そうそうは()られるつもりは無いから、そうなったら始末しちゃうから大丈夫さ」


「だから僕の前で堂々と言いますか」


 こうして大魔導師ザウエル・リーグハルトと魔道軍団が、正式に魔王軍に再加入した。魔道軍団は、文字通り魔道士……魔法使いたちの軍団だ。この軍団と、わたしが創り上げたゴーレム、生きた鎧(リビングアーマー)彫像怪物(リビングスタチュー)の軍団……魔像兵団があれば、なんとか魔王軍としての格好がつく。


 これで我々は、新生魔王軍としての旗揚げを行うことができたのである。

 なんとかかんとか、どうにかこうにか、新生魔王軍の旗揚げです。量より質、の軍団ですが、そのうち量も質も揃えて行きたいと魔王様は思っております。でもまあ、そう上手くはいかんのですが(笑)。

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