帰還
本来なら、パワードスーツの修復を待って、帰路につくつもりだった。
だが、事態は緊急を要し、真白に捕まる形で自宅まで飛ぶ事となった。
「……随分と物々しい雰囲気だな」
街の至るところには武装した集団が配置されていた。
真白の言う理由とは、『悪』の手を借りてでも対処すべき“敵”の事だった。
普通なら、そんな要請を受ける訳にはいかないし、真白も駄目元と言ったところだった。
だが、今回はその事情が違った。
その“敵”とは若月グループ。一週間前、若月光治郎氏が全世界に宣戦布告をした。
「お兄ちゃん……」
「……協力出来るかは、まだわからない。だから、先に行ってくれ。味方でも敵でも今、此処でっていう訳にはいかないだろ?」
「……わかった。でも、ましろはお兄ちゃんを信じてる」
「…………その信頼には答えたいが、まだ俺は信頼に値する事を出来ていない」
「それでも信じてる」
真白の泣きそうな顔を見て、何かをしたい気持ちがあったが、今はまだそれをする訳にはいかなかった。
「……そうか」
それ以上は何も交わさず、家の中に入った。
「お帰り、アクト様!」
ドアを開けた瞬間の出迎えに少し驚いた。
此方が帰ってくるまで、ずっと玄関で待っていたとでもいうのか。
「ミナコ……」
「いやぁ、寂しかったよ、アクト様。帰ってくるの、ずっと待ってたんだからね」
ミナコにすれば一週間前に何も言わずに消息不明になったのだ、その事を考えれば、まだ軽い反応かも知れない。
「それは悪かったな。だが、用事を済ませたら、また出ないといけないと思う」
「えーっ!そうなの!?折角帰って来たんだから、アクト様にご馳走振る舞おうと思ったのにぃ~」
「それは、今回の事が終わってからにしてくれ」




